【情報収集】情報を目利きする力 範囲
はじめに
対象
- 情報収集を行うITエンジニア向け。
- 特にWebアプリを作るITエンジニア向け。
情報の範囲とは
情報の範囲、ITエンジニアにとっつきやすい言葉だとスコープのことです。プログラミングでは変数に対してスコープが決まっていて、その範囲内だけで有効となります。
同じように情報にも範囲があります。
- その情報が有効なコミュニティ。
- 情報が適用できる技術的な領域。
- 情報を取得可能・可視可能な範囲。
あまり意識したことがなかった方は、この記事で得た知見を元に情報の範囲を意識してみてください。情報を適切な場面で活用することができるようになります。
情報を転がす様々な範囲
有効なコミュニティ
コミュニティとは共同体、目的を共にする人々の集合です。いわゆる内輪ネタは同じサークルメンバーの間だけでしか伝わりませんし、サッカーのルールはサッカー好きの間でしか伝わらないかもしれません。集団によって有効となる情報は異なるのです。
ITエンジニアが情報収集を行うとき、その情報がどのコミュニティで有効かは意識したいところです。そして情報収集するときに、フォルダ分け・タグ付けしておきます。どの会社でも通用するポータブルな知識は整理して固着させ、特定の企業のみの知識は浅めにして切り離せるように。
また社内の情報であっても、社内で有効・部署内で有効・チーム内で有効なもの、と包含関係を意識しながら整理すると脳味噌いい感じです。別チームに異動になった場合は、チーム内で有効な知識を段ボールに詰め、頭の中の押し入れに詰め込んでおくと困りません。
このように知識の種類だけでなく範囲を意識した情報収集について、あまり触れられることがないように思います。しかし異動や転職が多いITエンジニアだからこそ、情報の範囲に合わせて直ぐに使う情報だけを部屋に出しておくのは大事だと考えています。
適用できる領域
よく頭でっかちなITエンジニアがやらかしがちなのは、持てる知識をあらゆる物事に当てはめようとすることです。例えばDRY原則(Don't repeat yourself)を知った後、何でもかんでも重複を避けようとして共通化地獄に陥った経験は自他問わずあるのではないでしょうか。
または新しく知った言葉やウンチクを語りたくて仕方がなく、飲み会や雑談で結構いやかなり遠い話題なのに無理に話を、そっちの方向に持っていったりなど。開発の現場でも、こういうことはよくあるのです。
また違う角度から。別の言語やWebフレームワークの経験があるとき、その知識を前提として実装をしてしまう場合があります。オレオレフレームワークではありませんが、他のフレームワークの流儀でオレオレしてしまうケースですね。
情報は使い方を間違えると痛い目に遭います。特に適用できる領域を見誤ると失敗率が高いです。その領域を見極めるためには、対象の情報をどのようなケースに適用できるのか、運用上の要所も合わせて押さえておく必要があります。
取得可能・可視可能
取得可能とは対象の情報にアクセスできるかということです。例えば英語の記事は本来、英語が分からないと読めません。英語だと微妙ですか。ではアラビア語やルーマニア語ではどうでしょうか。翻訳やAIを通せば何とかなるかもしれませんが、真偽まで判断できるでしょうか。
企業には社外秘の書類があって部外者は読めませんし、同じ社内でも特定の役職以上でないと閲覧できない資料も存在するでしょう。経営陣の頭の中、いや同じチームのメンバーの考えていることさえ、言葉や態度に出してもらわなければ知ることはできません。
どうもITエンジニアという生き物は、自分が全て知った気になるのが早いですが、現実には知らないことの方が圧倒的に多いのです。技術だけは努力すれば何とかなるだけで、実際には可視可能な部分はずっと少ないに違いありません。
これは自分の役職があがった場合も同様です。偉くなって権力を持ってしまうと、周囲が開示する情報は「報告しても良いもの」だけになってしまいます。より現場に近い場所の、末端の生の声を聞く機会を意図的に作らなければ、大事な情報が埋もれてしまいます。
実践的なヒント
記憶を整理整頓する癖を付ける
世界には「記憶の宮殿(マインド・パレス)」を作る記憶術が存在するらしいです。流石に宮殿は広すぎますし、物理的な部屋を脳内の記憶に用意するのはいまいちよく分からないのですが、脳内の知識を棚卸ししたり掃除したりするのは何となく理解できます。
ITエンジニアは頭脳労働であり、情報や知識を駆使して仕事を捌く職業ですから、商売道具であるそれらをメンテナンスせずに汚部屋に置いておくのは非効率的です。きちんと記憶の整理整頓をしておきましょう。
これから頭に入れる知識は随時判断するとして、今まで整理せずに詰め込んだ知識はどうすればよいか。別に難しく考える必要はありません。自分の部屋あるいは家で掃除をするときと同じです。掃除の仕方は人によって微妙に違いますが、上手い人の方法を参考にするのはありです。
もしも忙しくて、あるいは抽象的過ぎて難しい場合は、知識を使ったタイミングで少しずつ片付ければ良いと思います。いつまでも放置してズルズル長引かせるよりは、使用頻度の高い知識からでも手を付け始めることをおすすめします。まず始めねば。
情報は意図的に選択する
今の時代、自分で選ばずとも情報からどんどん入ってきます。それは餌をどんどん詰め込まれるアヒルのようなもので、何もしてなかったら脂肪肝になってしまいそうです。というか既にYouTubeのショート動画やSNSなどで、情報を湯水のように消費するのが当たり前になっています。
一度、スマホをポケットにしまい、30分くらい何も考えずに散歩してみましょう。できれば広告や看板のある町中ではなく、公園や田舎道がよいです。人間の頭に入ってくる情報量なんて、本来はこんなもんです。
そこからどの情報を頭に入れるか選びましょう。図書館で小説や評論を選んでもいいですし、技術書を何冊か買っても良いです。公園のベンチや自宅など、やはり情報量が少ないところで。もちろんスマホやパソコンは一時的に封印しておいてください(緊急時に手の届く範囲で)。
入ってくる知識を選んだ感覚がしませんか。慣れてくれば特別な環境をお膳立てしなくても、自然と情報の取捨選択ができるようになっていきます。
奢らず謙虚に勤勉に
「無知の知」です。自分が知っていることなど、極僅かだと自覚しましょう。
だからこそ自ら情報を拾いに行く必要があります。今知っている知識の範囲外へ、視座の違う場所からの景色を見に。
と偉そうに書いてみましたが、私の視座はまだまだ低い方です。リーダー経験は何回かありますが、それより上となると推し量るしかありませんし。今度はフリーランスとして一人親方しながら、個人開発もしようとしてますから訳が分かりませんね。
なので少し短いですが、この辺で。
おわりに
取得可能・可視可能のところで「その情報はあなたのセキュリティクリアランスには開示されていません」て滅茶苦茶言いたかったのですが我慢しました。技術記事を書いていると、自分の知っている知識で例えたくなるのですが、一部の界隈にしか伝わらないものを書いてもね。
そういうことをチーム開発で技術知識でやらかすと痛いですよね。どのくらい痛いかというと、布団に顔を埋めてバタバタするくらいには痛いですよね。
すると今度は知識を使う絶好のタイミングを逸してしまったり。ままなりませんなあ。
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