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【情報収集】情報を目利きする力 鮮度

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はじめに

https://zenn.dev/noranuko13/articles/b30c8ed65e8e27

対象

  • 情報収集を行うITエンジニア向け。
    • 特にWebアプリを作るITエンジニア向け。

情報の鮮度とは

鮮度というと野菜や魚肉などの生鮮食品が思い浮かぶのではないでしょうか。鮮度がよいと新鮮で美味しい、鮮度が悪いと味が落ちて臭みが増し、もっと酷いと食中毒などの危険があります。

同じように情報にも鮮度があります。

  • その情報がいつ書かれたものか(生産日・製造日)。
  • どのくらいの期間食すことが可能か(可食期間)。
  • 美味しく・安全に食べられるのはいつまでなのか(賞味期限・消費期限)。

あまり意識したことがなかった方は、この記事で得た知見を元に情報の鮮度を意識してみてください。古い情報を食べてお腹を壊すことがなくなります。

鮮度を表すパラメーター

消費期限(期限を過ぎたら食べない方が良いんです!)
賞味期限(おいしく食べることができる期限です!)
消費期限と賞味期限:農林水産省

生産日・製造日

情報が作られた日です。例えばブログ記事であれば公開日、厳密にいえば書かれた日がこれにあたります。書籍であれば発売日が公開日ですが、出版物として世に送り出すまでに長い期間を経ているでしょう。情報を得るときは、それらのタイムラグを意識する必要があります。

例えば障害情報は鮮度が命です。地震速報やサービスの障害発生などを伝えるときですね。刻一刻と変わる状況の中では、その情報が何時間前に発信されたかも貴重な情報です。

Webフレームワークやライブラリに関する記事では、バージョン情報がこれに相当します。記事の公開日や書かれた日よりも重要です。薬や酒でいえばロット番号やヴィンテージワインの年にあたります。製品に重大な欠陥が見つかったとき、回収の案内が出るあれです。

もしもバージョン情報が書いていない技術記事があるとしたら、それはいつ製造されたか分かりません。そのような記事は話半分で頭の片隅に入れておき、どうしても他の解決策が見つからなかったときに、藁にも縋る思いで使うくらいだと思っていてください。

可食期間と賞味期限

情報が機能する期間、といえばいいでしょうか。例えばスーパーの特売チラシは、特売日当日までに得なければ機会を逃してしまいます。特売日以降にも過去のチラシを見て、曜日ごと・週ごとの統計を取ることはできるかもしれませんが、情報の旨味はずっと少なくなる筈です。

Webアプリを含めシステムやソフトウェアにはサポート期間が存在します。塩漬けしてオフラインで動かしている等特殊な場合を除けば、EOL(End Of Life)を迎えたものに関する情報は、旨味の少ない情報ということです。これを仮に可食期間の基準で中程度としましょう。

可食期間が長い情報もあります。例えばnginxやgitなどの安定性が重視されるソフトウェアは、比較的大きな変化が少なく、情報も長持ちです。セマンティックバージョニングでいえばメジャーバージョンが長年変わっていないか、互換性を重視したバージョンアップがされています。

可食期間が短い情報は、最近ではAI関連でしょうか。翌月には別のサービスが台頭していて、こまめに追っていないと置いてかれそうです。フロントエンドの情報も割とコロコロ変わるので流行りが短いですね。先月の情報が役に立たないこともあります。

消費期限

情報の消費期限とは何でしょうか。「食べない方が良い」情報で、「安全に食べられる期限」を過ぎた情報とは何でしょう。実のところ情報に明確な消費期限はないのかもしれません。

情報はどんなに古くなっても、記録として残り続けます。大昔の貴重な情報を発掘し、過去に起きた出来事を調べるのが考古学です。分野がITに変わっても、昔の情報は時に思わぬ形で役に立ちます。温故知新とはよく言ったものです。もはや酒やアイスの類です。

初期不良や取り扱いによって、壊れる・食べられなくなることはあります。道具や機械が壊れたり、食品を床に落としてしまったり、生モノを常温で放置してしまったり。発信された情報が誤報やデマなこともあれば、情報を公表するのが遅れて非難が殺到するのを見ますよね。

しかし誤った情報であったという事実も含めて情報であり、内容を変えて語り継がれていくことになります。もっとも次々に無料のホームページサービスが終了し、貴重な情報が失われ始めているため、未来永劫ということはないかもしれませんが。

https://togetter.com/li/2576614

実践的なヒント

自分が今いる時点を決めてから動く

少しSFチックな話になります。私達が欲している情報は常に、この歴史の最前線のものでしょうか。答えはNOです。

Webアプリの開発中に調査を行うとき、調査対象のライブラリやフレームワークのバージョンを確認し、そこを起点にして情報収集を開始する必要があります。

例えば親切設計な公式ドキュメントであれば、バージョン選択できるプルダウンがあります。これを必ず自分が使用しているバージョンと合わせてから読みます。また動きの早い技術の場合は、検索エンジンの期間を設定し、古すぎるものが出てこないようにします。

AIを相手に質問する場合も、バージョン情報を渡した方が情報の正確性は上がります。ただ気になる点として、やはり文章やコードの推測をしているに過ぎず、別のバージョンの書き方や存在しない筈の書き方を出力することがあるので、注意した方が良いと思います。

必ず書かれた日とバージョンを押さえる

とても昔のニュース記事が突然トレンドに出現したり、いにしえの2chスレがまとめサイトに取り上げられ、あたかもつい最近のことのように浮上したり。もういっそブラウザの機能で明確に情報の起源をでかでか表示するようにしたらいいのに。

技術記事も同様、記事が書かれた日と公開された日は厳密には違います。例えば以下の記事は、はてなブログから引越したものなので、警告メッセージを記事の先頭に置いています。また検証した環境のバージョン情報も載せています。リライト時に新しいバージョンで確認しました。

https://zenn.dev/noranuko13/articles/6b2eedc383825d

検証環境

  • macOS 15.5
  • git version 2.49.0

このように公開日または書いた日、そして検証時のバージョン情報が書かれているのが最低条件です。もしバージョンが分からない場合は、自分で検証するなり裏を取るなりして、下処理してから食べましょう。

鮮度を見誤ったときどうなるか

野菜や果物に食べ頃があるように、情報にも適切な頃合いがあります。それはこれまで説明してきた通り、価値の高いうちに情報を活用することや、バージョンを自分が調べているものとあわせることです。

では鮮度を軽視し、あるいは意識せず、情報をただ漁るとどうなるでしょうか。

まず最新技術のキャッチアップが不得意になります。情報を処理する要領が良い人は、新鮮なうちに情報を仕入れて食べ頃になったら美味しくいただきます。タイミングを逃さないか、逃さないために早く動くということをしています。

また参考にしたコードがバージョン違いで動かないなど、トラブル発生や作業効率の低下も見過ごせません。新しいバージョンの追加機能は古いバージョンでは動きませんし、非互換な変更があったAPIを使用しようとしても動く訳がありません。

おわりに

四次元的にものを考えるんだ。君が3日前に戻れば、そのバナナはちょうど食べ頃だった筈だ。

SFのところをもう少し補足すると、ここでいう食べ頃というのはできれば同じバージョン、次点マイナー・メジャーバージョンが一致している情報です。そして今自分が使用しているバージョンが古いバージョンならば、そこに戻って情報収集する必要があるんですね。

特に経験が浅いと、バージョンを指定せずに調べてしまうことがあります。Minecraftだってバージョンが違ったら全然違うので、Webアプリがバージョン違いで動かなくなるのは、ある意味当たり前の話。

情報の鮮度に気を付けて、的確な情報を仕入れられるようにしましょう。

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