画像生成基盤の構築形態によるコストの比較検討
はじめに
近年、生成AI技術の発展により画像生成の需要は急速に増加しています。
特に広告業界、ECサイト、エンタメ産業、画像認識研究など幅広い分野で利用されています。
一方、画像生成には計算資源が必要であり、その供給基盤としてクラウドコンピューティングの重要性が増しています。
本記事では AWS における画像生成基盤の構築方式によるコストの違い を比較した研究内容を紹介します。
背景
クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でコンピュータリソースを利用できる仕組みです。
柔軟性・拡張性・安全性に優れており、多くの企業や研究機関で利用されています。
世界最大級のクラウドサービスである AWS(Amazon Web Services) では画像生成を行う方法として、主に以下の2種類が存在します。
-
クラウドAPI型:Amazon Bedrock を利用
→ 環境構築なしで即時に画像生成が可能 -
ユーザー構築型:EC2 インスタンスに Stable Diffusion を導入
→ 利用者が構築作業を行う必要あり
本研究では、この 2 つの方式のコストを比較します。
目的
クラウドAPI型(Amazon Bedrock)とユーザー構築型(EC2)の
画像生成環境構築を含めた総合コストを比較することを目的としました。
公平な比較のため、以下の条件を統一しています。
- モデル:Stable Diffusion
- プロンプト:
"a photograph of an astronaut riding on a horse"
評価実験
🔧 使用サービスとモデル
■ Amazon Bedrock(クラウドAPI型)
- 生成AIのフルマネージドサービス
- 複数の基盤モデル(SDXL、Titan、Claude など)を環境構築なしで利用可能
- UI から直接画像生成も可能
■ Amazon EC2(ユーザー構築型)
- 仮想サーバーを起動し、GPU インスタンスで Stable Diffusion を実行
- Stable Diffusion の導入作業が必要
- 手作業のばらつきを避けるため 起動テンプレートを作成
■ モデル:Stable Diffusion
オープンソースの画像生成モデルで、API型・ユーザー構築型どちらでも利用可能。
評価指標
ユーザー構築型について、以下を評価しています。
- 構築時間:OS 起動時間 + サーバ起動時間
- 構築コスト:構築時間 × 利用料金
- 1枚目生成コスト:構築コスト + 生成単価
Bedrock では構築が不要なため、生成単価のみ評価対象としました。
結果
🔹 Bedrock(クラウドAPI型)
- 1枚あたり 0.08 USD
🔹 EC2(ユーザー構築型)
- インスタンス:g4dn.xlarge
→ 0.71 USD / hour - 1枚あたりの生成コスト:
0.00108 USD - 構築時間の計測より、1枚目生成時点の総コストを算出
※換算レート:1ドル=147.32円(2025/9/10 時点)
コスト比較
▼ 1枚目生成時点の比較
構築コストを含めても、ユーザー構築型の方が低コスト。
▼ 1000 枚生成する場合の比較
| 方式 | コスト |
|---|---|
| クラウドAPI型(Bedrock) | 80 USD |
| ユーザー構築型(EC2) | 1.1 USD |
大量生成時には EC2 の優位性が際立ちます。
考察
-
ユーザー構築型(EC2)
- 構築の手間はあるものの、大量生成・長期間運用において圧倒的に低コスト
- GPU インスタンスを使うため高い自由度を持つ
-
クラウドAPI型(Bedrock)
- 環境構築が不要で、すぐ使える利便性が高い
- 本来は API 利用を想定しているが、UI からのテスト利用も可能
- 少量生成・カジュアル用途に適する
今後の展望
- Bedrock で Stable Diffusion を 時間刻みで利用できる課金方式の可能性
- 他モデル(Titan、Claude 3、Canvas など)でも同様の比較を実施
- より大規模な生成タスクでのスケーリング比較も視野に入れる
おわりに
本記事では AWS における画像生成基盤の構築方式によるコスト比較 の研究内容を紹介しました。
手軽さを重視するなら Bedrock、大量生成なら EC2 が有利という結果となりました。
アドベントカレンダーの記事として、どなたかの参考になれば幸いです。
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