Aurora Serverless v2 における Savings Plans の損益分岐点を考える
Aurora Serverless v2 のコストを最適化するために、AWS Savings Plans を使った場合と使わなかった場合の損益分岐点を考えます
想定読者
- Aurora Serverless v2 を利用している/検討している人
- Savings Plans の適用でコスト削減を考えている人
一言まとめ
- 「割引前のオンデマンド料金」が、「あらかじめ決めたコミット金額より安くなる」場合、損になる
- それ以外は得になる
Aurora Serverless v2 の料金体系
Aurora Serverless v2 の料金は主に以下の要素で構成されます。
2026/02/11 現在 Savings Plans の対象になっているのは ACU 使用料のみなので、ここでは ACU 使用料にフォーカスします。
| 料金項目 | 一言説明 | Savings Plans 対象 |
|---|---|---|
| ACU 使用料 | 1時間単位での ACU 利用量に基づく課金 | 対象 |
| ストレージ | 保存データ量に基づく課金 | 対象外 |
| I/O | 読み書きリクエスト数に基づく課金 | 対象外 |
| バックアップ | バックアップストレージに基づく課金 | 対象外 |
Savings Plans の仕組み
一言で表すと
「1時間あたりの利用金額(割引後)をコミット(事前に宣言)し、その金額内は割引価格、超過分はオンデマンド価格で課金される」 仕組みです。
参考: AWS Database Savings Plans 公式ページ / AWS 公式発表(2025年12月)
原文: "Savings Plans provide savings beyond On-Demand rates in exchange for a commitment of using a specified amount of compute power (measured per hour) for a one or three year period."
出典: What are Savings Plans?
具体例で理解する
以下の状況を考えます
わかりやすさを重視して適当な値を仮で置いています
-
オンデマンド価格
- $1/ACU時間
-
1ACU を 1ヶ月(30日 × 24時間 = 720時間)稼働させた場合
- $720/月
-
割引率
- 20%
-
コミットメント金額
- $576/月(= $720 × 0.8)
この場合、オンデマンド使用量(割引前)に応じて以下のような動作になります。
オンデマンド料金(割引適用前の料金)が $0 〜 $575 の場合
- 損得
- 損(コミットメント金額を下回るため)
- 状況
- 使用量が少なくても $576 は必ず請求される
- 例
- $400 分しか使わなくても、請求は $576
オンデマンド料金(割引適用前の料金)が $576 〜 $720 の場合
- 損得
- 得(割引が効いている)
- 状況
- 全額が割引価格で計算される(20% OFF)
- 例
- $720 分使っても、請求は $576
オンデマンド料金(割引適用前の料金)が $721 以上の場合
- 損得
- 得(コミット分は割引、超過分はオンデマンド)
- 状況
- $720 までは $576、超過分は $1/ACU時間で加算
- 例
- $1,000 分使った場合、請求は $576 + $280 = $856
表で理解する Savings Plans
使用量と請求額の関係
| 使用量(ACU時間例) | オンデマンド換算 | Savings Plans 請求額 | 差額(オンデマンド比) | 割引額 | 割引率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 360 | $360 | $576 | -$216(損) | -$216 | -60% |
| 576 | $576 | $576 | ±$0(損益分岐点) | ±$0 | 0% |
| 720 | $720 | $576 | +$144(得) | +$144 | +20% |
| 1,080 | $1,080 | $936 | +$144(得) | +$144 | +13% |
| 1,440 | $1,440 | $1,296 | +$144(得) | +$144 | +10% |
ポイント
- コミットメント金額は 割引後の金額 で指定する
- 実際の使用量が少な買ったとしても、コミットメント金額は 必ず請求される
- 超過分は自動的にオンデマンド価格で計算される
- 損益分岐点は、〇〇が〇〇の時、それを下回る料金だと損になり、それを上回る料金だと特になる
コミットメント金額の決め方
AWS 公式ドキュメントによると、AWS のコスト分析サービスである Cost Explorer を使用して、過去の使用量に基づいたコミットメント金額の推奨を確認できます。
Cost Explorer の推奨機能では以下の流れでコミットメント金額が算出されます。
- 過去の使用量(7日/30日/60日から選択)を分析
- その期間に Savings Plans を購入していた場合の請求額を計算
- 最大の節約効果をもたらす コミットメント金額を推奨
原文: "We identify and recommend the commitment value that we estimate will result in the largest savings."
出典: Understanding your recommendation calculations
つまり、AWS の推奨は 「過去の使用量に基づいて、節約効果を最大化する」 ことを目的としています。(今回の例だと $144 を表示する)
個人の見解
AWS の推奨アプローチは「割引率を最大化する」ことを目的としていますが、この場合オンデマンドの利用料がコミットした金額を下回る場合、損をする というリスクを被りやすくなるかなと思っています。
具体的には、想定したコミットよりも使用量が 割引率(この例では 20%)以上 割り込んだ場合、オンデマンドで利用した方が安くなります。
そのため、今後割引率以上の縮小が見込まれている場合は、「少なく買う」という選択肢もありそうだなと思いました。
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