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ふりかえりアレルギーだった私が、ふりかえりにチームを救われた件 〜気づいたらチーム今ええ感じやねん〜

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はじめに

突然ですが、私が現在リーダーを務めている弊チーム、とっても良いんですよ。
胸を張って自慢できるチームです。いわゆる「チーム今ええ感じやねん」ってやつです。

しかしこの「ええ感じ」に至るまで、実はかなり紆余曲折ありました。
過去にはチーム内で大喧嘩したこともあるくらいの、紆余曲折です。
それでもここまで良いチームに成長できた背景には、定期ふりかえりの導入があると考えています。

この記事は、チーム随一のふりかえり嫌いだった私が、メンバーの工夫のおかげでふりかえりに救われ、チームがどんどん良くなり、ふりかえり大好きマンになるまでのお話です。

ふりかえり運用について悩んでいる方、定期ふりかえりにテコ入れしたい方へ、
何かしらの参考になれば幸いです!

かつては「ふりかえりアレルギー」なチーム

私がリーダーになるずっと前、かつての弊チームには、定期ふりかえりの習慣がありませんでした。
これは私をはじめ過半数のメンバーが、自身の過去の経験から「ふりかえりアレルギー」、
つまり ふりかえり嫌い だったことによります。ふりかえり嫌いさん達の意見をまとめるとこうです。

  • 結構な時間をとるわりに何も残らない
    • 見積もりが甘かった、差し込みがあった、想定外だった etc... → 仕方なかったね〜の認識を揃えるだけの場
    • 1回60分とか結構な時間を持っていかれる割に、意義や必要性を感じられない
    • 過去の後悔をするより、その時間で次の実装した方が良くない?
  • ふりかえりで出たアクションが形骸化している
    • 色々な理由で、結局やらない or やれないじゃん
    • なあなあになっていつの間にか消えてる
  • なんか暗い気持ちになって終わる
    • 問題や後悔に向き合わなければいけない
    • 問題を掘ると、結局は個人批判に行き着いてしまうことが多い
  • (おまけ)個人的にサンクスタイムが苦手
    • 母の日とか、改まってありがとう言うのめっちゃ苦手なタイプ

※ 上記に特定のプロジェクトや組織を批判する意図はありません。

ふりかえりを疎かにした結果

上記の経験からふりかえりに苦手意識を持つメンバーが多く、ふりかえりを疎かにし続けた結果、
過去の弊チームはどんな状態だったでしょう。

  • 些細な違和感は放置
    • 致命的なズレや問題にまで発展してから"話し合い" (と書いてケンカと読みます)
    • 表面だけ綺麗にした個人攻撃のオンパレード
    • 仲裁にきた他チームの人をおろおろさせる
  • 朝会の雰囲気がピリピリ
    • プロジェクトの問題、コミュニケーションの問題、チームとしての問題が山積み
    • それらの問題に向き合う険悪な空気から一日が始まる
    • 配属直後の新卒がドン引き
  • 繁忙期や想定外が起きるとすぐギスギス
    • 余裕がないので、何かあるとすぐ険悪になる
    • 新しいことに挑戦する機会と余裕がないので、負のループにはまる

改めて見ると酷いですね。誰しも「これはどうにかせねば」と感じるチームです。
ただ誤解を避けるために言うと、決して仲の悪いチームではありませんでした。むしろ当時からワイワイした空気で、何でも言い合える仲ではあったと思います。ただ間違いなく、些細な変化や有事に弱く、プロジェクト進行にも難のある状態ではありました。

では、この状態から脱するために、我々は何をしたでしょうか。


朝会がピリピリすぎて、当時新卒へ送ったフォローチャット。良い後輩を持ちました。

週次でチームふりかえりを開始

先ほど「過半数のメンバーがふりかえり嫌いだった」と書きました。しかし幸いなことに一人だけ、ふりかえりに熱い思いを持ち、かねてより定期ふりかえりを提案していたメンバーがいました。ここでは彼をAくんとしましょう。

Aくんはこの状態を見兼ねて、「週に1時間、効果が出なかったらやめてもいいから、俺が主導するから、週次ふりかえりを始めよう」と改めて強く提案してくれました。ふりかえり嫌いのメンバーも、チームを良くしたい思いは一緒。最初は半信半疑だったものの、みんなでAくんの提案に乗ることにしました。

そして後にこの提案がチームの全てを好転させるきっかけになるとは、当時は思いもしませんでした。

「ふりかえりビギナー」なチームでの工夫

週次ふりかえりを始めるにあたり、Aくんが準備やファシリテーションを買って出てくれました。
そして彼はこの「ふりかえりビギナー」なチームのために、様々な工夫をしました。

  • まず「ふりかえりと言えばKPT一択」をやめた
    • KPTはビギナーには難しい[1]
      • 慣れていないと個人攻撃になりやすい
      • Problemを話して終わるので、気持ちが落ち込んで終わる
      • → ふりかえりビギナーが安易に選んで良い手法ではないと思った
    • ふりかえりには色々な種類や目的があることを知る
      • 関係性が構築されてないチームのための手法「闇鍋[2]」から始めた
  • できれば対面で実施する
    • 特に関係性が十分に構築できていない時、ネガティブな問題に向き合う時
    • 一つのテーブルを囲んで、お互いの顔を見ながら話す
    • ペンと付箋を使い、必要なら途中から立って、みんなで付箋を移動させる
  • 課題や問題に強くフォーカスしない
    • 聞きたいこと・気になること・分かち合いたいことがメイン
      • これについてみんなはどう思ってる?
      • 最近モヤモヤしたことはある?嬉しかったことは?
      • みんなの未来のビジョン、この半年の目標を教えて!
    • 他の人が何を考えているかを知る、新しい視点を得る

ふりかえりと言えば、一時間粛々と「KPTして議論+反省」して終わるのが当たり前だった私にとって、「闇鍋して対話」をする経験は衝撃でした。


実際の闇鍋の付箋。緑が議題、ピンクが話したこと、黄色がアクション。
さぎょイプとかいう懐かしワード。

まずは上記の工夫を徹底し、メンバー間の関係性ができた頃、Aくんは追加で新たな試みを始めました。

  • ふりかえり手法(フレームワーク)を毎回変える
    • フレームワークの特性と用途を理解して使い分ける
    • ふりかえりカタログから、自分たちに合うふりかえりの形を模索した
      • マンネリ化しづらく、ふりかえり経験値を上げられる
      • ふりかえり経験値の低いチームにおすすめ
    • その週の概要とふりかえりで得たいこと(アクションを出したい、褒め合いたいなど)をAIに入れれば、おすすめの手法を教えてくれる
  • 決まったアクションは、可能な限りその日中に動き出す
    • アクションは全員が見れる位置に置く
    • 完了しなくていいから、とにかくすぐにファーストアクションをする
    • カレンダーを入れるとか、チャットするとかのレベルでOK
  • 毎回アクションの進捗確認をする
    • アクションアラートを設置し、次回のふりかえり冒頭でそれをみんなで見る
    • アクションの形骸化防止になる
    • やってみてどうだった?はその後の本編で自然に出てくる

こうしてAくんは、チームに定期ふりかえりを浸透させてくれました。最初は半信半疑で参加していたメンバーも、週次ふりかえりを始めて一ヶ月後には「意義や必要性を感じられない」と言った声はなくなっていました。あんなに根強かったふりかえりアレルギーが、Aくんの工夫で治ったのです。


実際のふりかえり記録。色んな手法を試して、自分たちに合うものも合わないものもあった。


実際のアクションアラート。前週に出たアクションをボットでSlackに流す。

ふりかえりを習慣化してどう変わったか

週次ふりかえりを始めて、チームはどう変わったのでしょう。
弊チームで起こった変化を、大きく3つに分けてご紹介します。

傷やズレが小さいうちに対処できるようになった

  • "話し合い" (と書いてケンカ以下略) まで発展しなくなった
    • 小さな違和感やモヤモヤの時点で議題にあげる
    • 致命的なズレになる前にチームの問題にする
  • 指摘される前に自分たちで課題に気付けるようになった
    • 外部から注意されてからでは遅い
    • リーダーはメンバーの保護者ではない
    • メンバー自身が、自分たちで問題や課題に気付く
  • 結果、プロジェクト進捗に良い影響をもたらした
    • なんとなくスクラムから、自分たちに合ったカンバンに変更
    • 平均リードタイムが短くなった
    • 納期に間に合わないこと、激しく炎上することがほぼなくなった
    • チーム外からの信頼を得て、納期を自分たちで設定できるようになった

対話が増え、仕事が円滑に進むようになった

  • ふりかえりが「チームに向き合う場」として認識された
    • 雑談やペアプロではない、改めた対話の場を設定しないと話せないこともある
    • 仕事を進めるうえで大事にしている価値観などを知れる
    • それらを知らなくても仕事は進むが、知っているともっと円滑に進む
  • メンバー間の期待値コントロールができるようになった
    • 来週のお互いに対する期待値すり合わせの場になる
    • 溜まりに溜まった「なんでこうしてくれないの!?」がなくなる
  • 自然と意識が、個人からチームへと変わった
    • 対話の主語が徐々に「俺が/あなたが」から「チームが」になった
    • 全ての課題が、自分事ではなくチーム事になった

フットワークの軽いチームになった

  • 「まずはやってみよう」のチーム文化ができた
    • 向き直って方針を合意し直す機会が毎週あるので、気軽にアクションがとれる
    • やってみてダメだったら来週また話そ〜!になる
    • 自分が気付いていない課題に気付ける時間になり、現状維持になりにくい
  • つまり、チームのアジャイル性が上がる
    • ❌ アジャイル開発を採用しているチーム
    • ⭕️ 変化や新しいものに躊躇いの少ないチーム

なんという良いこと尽くし。これらは私だけでなく、メンバーも実感していた効果とのことです。

ここで思い出してください。前述の「ふりかえりを疎かにした結果」のチーム状態を。あそこから考えると、本当にすごい変化ですね。中にはふりかえりから直結した変化ではないものもありますが、全ての変化のきっかけには、間違いなくふりかえりでの対話がありました。

ちなみに私の体感として、全くふりかえりをしていなかったチームを前提に、後ろ向きな気持ちが消えるのに一ヶ月、チーム内で効果を実感するのに数ヶ月、チーム外からも分かるほど良くなるのに半年かかったイメージです。

ふりかえりの習慣化を数字で見ると

数字でも変化を見てみましょう。

  • ふりかえり実施数
    • before: 半年で2回(これは"話し合い")
    • after:半年で18回 👉 9倍!
  • ふりかえり起因のアクション数
    • before: 半年で3件(達成したかは誰も覚えてない)
    • after:半年で22件(うち21件実行) 👉 約7倍!

圧倒的変化ですね。特にアクション数の増加、そしてそのほとんどをちゃんと実行できたことが、良いチームへの地道な改善に繋がっていると感じました。

それでも私たちがふりかえりをやる理由(ワケ)

とは言っても、やっぱり定期ふりかえりを継続するのって大変ですよね。せっかく始めたとしても、続けるのが大変。よくわかります。

  • 忙しい時はどうしてもスキップしたくなる
  • 続けていくうちにマンネリ化・ワンパターン・慣れが発生
  • 目的や価値が曖昧になり、参加する意義を見失う人が出る
  • 会話深度がチームの関係性による
  • 気を抜けばアクションは形骸化
  • 個人攻撃・ネガティブな空気になることはある

それでも、私たちがわざわざ週に1時間という時間を割いて、ふりかえりを続ける理由。
それは、メンバーが出してくれたこの付箋に全て詰まっています。


ふりかえりとは:チームのアジャイル性を担保するもの

私たちにとってふりかえりとは、

  • 継続的な改善で、チームのアジャイル性を担保する時間
  • チームの停滞を事前に阻止するもの
  • チームの文化のコアであり土台
  • 私たちのチームを、私たちのチームたらしめるものの一つ

であるという認識を、チーム全員が持てるようになったからです。
いま思い返せば、Aくんが最初に言っていた「効果が見込めなかったらやめてもいいから、まずはふりかえりを始めよう」、これこそまさにアジャイル性の顕現でしたね。

とはいえ、ふりかえりはあくまで、目的ではなく手段。良いチームを作るため、ひいてはユーザーにより良い価値提供ができるようにするためのもの。ふりかえりをすることが一番の目的にならないように、時に適切に頻度やhowは変化させることも必要です。臨機応変に、柔軟でいましょう。

おわりに

私とチームをふりかえりアレルギーから救ってくれたAくんと、Aくんの提案に一緒に乗ってくれたチームメンバーに多大な感謝を。おかげさまで良いチームになりました。

最後に、私がすごく好きな付箋を紹介して終わります。これもうちのメンバーから出た付箋です。


反省会ではないふりかえりに。「ごめん」の場ではない。

長くなりましたが、この記事がふりかえりについて悩んでいる方の、何かしらの参考になれば幸いです。一緒に健全なふりかえりでアジャイルなチームを育てていきましょう!

脚注
  1. あくまで私の主観ですが、同じようなことを話されてる記事がありました:
    https://note.com/hiroki_hachisuka/n/nf708ab45f4e3 ↩︎

  2. 闇鍋とは:思い思いのテーマを付箋に書いて箱に入れ、1枚付箋を引いてそのテーマについて話し、一定時間が経ったら次の付箋に移る。普段話せないようなことや気になっていることについて対話できる、ふりかえり手法の一つ。詳しくはこちらを参照。 ↩︎

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