リーダー評価の「放任」を「育成」に変える。CREチーム専用スキルシートによる成長の地図
🎄 この記事は NE Advent Calendar 2025 の21日目の記事です。🎄
この記事では、リーダーとしての「放任」を「育成」へと変えるために取り組んだ、CREチーム専用のスキルシート活用についてまとめています。
- 「自主性を重んじる」が「放任」になっていた過去の反省から出発。
- CREチーム特有のスキルを言語化した「成長の地図(スキルシート)」を作成。
- メンバーの現在地を可視化することで、チーム内に成長のための「共通言語」を確立。
NE株式会社 開発部のCREチームリーダーを2023年から務めております、西山と申します。
本日は、リーダーとして以前より課題として挙がっていた、「メンバー育成」に対して私が実行した方法についてお話したいと思います。
🎄 メンバー育成の壁:「自主性」だけでは通用しない 🎄
私はリーダーとして、いつも「メンバー育成」の課題について指摘されていました。
自身の成長は比較的コントロール可能な部分ですが、他人を成長させるというのはそう簡単ではありません。何しろ、成長のために動くのは本人自身なので、どこをどう伸ばしたいのかというところから一緒に考える必要があります。
それまで、私の育成のスタンスとしては「自主性を重んじる」というやり方でやってきました。自身の介入は最低限に止め、本人がやりたいようにやってもらうというものです。
しかし、この方法は万人に有効な方法ではありませんでした。
自主性を重んじるというスタンスは、裏を返せば「本人の資質に依存しすぎている」ということでもあります。手厚いサポートや道標を必要としているメンバーに対して、適切なガイドを示せていなかったのです。
だからこそ、リーダー評価の際にも 「それは信頼して任せているのではなく、放任(マネジメントの放棄)になっていないか?」 と、図星な指摘を受ける結果となってしまいました。自分の成長はコントロールできても、他人の成長を支援するには、単に見守るだけでなく「確かな地図」を提示する責任がある。そう痛感したことが、今回の取り組みのきっかけです。
🎄 問題の根幹:「メンバーを正確に把握する」難しさ 🎄
成長とは、いうなれば「ポジティブな変化」です。「ここが変化しましたよ!」というためには、当然のごとく「変化する前の状態」を正確に把握する必要があります。
現在CREチームは私も含めて3名ですが、それぞれ経歴が異なるため、持っているスキルや経験はバラバラです。そもそも、自分以外の人のスキルを正確に把握するのは難しいことだと常々思っています。
「あの人は◯◯に詳しい」「あの人は□□に課題がある」などの情報はあまり可視化されず、一緒に仕事をすることでぼんやり見えてくることが多いのではないでしょうか?
しかし、リーダーとしてメンバーの成長に積極的に介入していくにあたり、この「現在地がわからない」という状態は是非とも解消させたいところでした。
🎄 突破口: CREチーム特化型スキルシートの作成 🎄
この現状を打開し、メンバーの現在地を知るために実行したのが、CREチームに特化したスキルシートの作成です。
これを作成した目的は、主に以下の2点です。
- チームが理想とする姿を可視化すること
- メンバーそれぞれの現在地(今どこにいるのか)を可視化すること
CREチームとして、メンバーがどのような姿に向かっていくことが「成長した」と言えるのか。そして何より、メンバーは今どこにいるのか。それを知って初めて目標に向かって進めるようになると感じたのです。
🎄 どのように作ったか:3つのステップ 🎄
このスキルシートは、いきなり項目を埋めるのではなく、以下の手順で作成しました。
-
CREとして必要なスキルの洗い出し(ブレインストーミング)
まずは「技術力」だけでなく、CREの実務で必要とされる「不具合調査のログ解析能力」や「顧客影響の判断」といったソフトスキル・ハードスキルをすべて書き出しました。 -
「レベル」の定義(自走から伝承へ)
各スキルに対して、単に「できる」だけでなく、「自力で完結できる(初級・中級)」から「周囲へ展開・仕組み化してチームに貢献できる(上級)」といった、CREチーム内での具体的な期待値をレベル分けしました。 -
メンバーとの合意形成
作成したドラフトをメンバーに見せ、「この項目は現実的か?」「足りない観点はないか?」を対話し、納得感のある形に調整しました。
スキルシート作成にあたり、全体を通してAIと相談する場面も多かったです。
今の業務からだけではなく、CREとして一般的に求められる行動やスキルなどを参照するのに効果的だったと思います。
<<実際のスキルシートの一部>>

🎄 スキルシートの効果:可視化が生んだプラスの変化 🎄
スキルシートを導入し、定点観測を始めてみてよかった点は多岐にわたります。
- ソフトスキルとハードスキルの両面を落とし込める
- 社内の評価基準よりもチームに特化した解像度の高い評価ができる
- メンバーの弱点や強みを具体的な言葉にできる
- 次に強化すべき点がわかる
実際に作成したスキルシートでは、単なる技術力だけでなく、 CREとして不可欠な『調査の深さ』や『ナレッジの伝承』 をレベル分けして定義しました 。これにより、メンバーは自分の成長の階段を一段ずつ確認できるようになり、チーム全体の技術密度を上げるための共通言語が生まれました。
また、このスキルシートはメンバーを単にランク付けするためのものではなく、 「次に何を学べばチームに貢献できるか」を迷わないようにするための地図 として活用しています。
🎄 運用上の注意点と反省 🎄
この取り組みは効果がありましたが、導入・運用にあたってはいくつかの課題も見えてきました。
- 合意形成の重要性: リーダーからの“押し付け感”や”やらされ感”があると、自主的な成長には繋がらず逆効果になる可能性があります。そのため、スキルシートはメンバーの合意を取りながら作成しました。
- 個別スキルの評価の限界: スキルシートはメンバー共通であるため、個人の突出したスキルを測るのには向いていません。個別に特筆すべき点がある場合は、別の何かを併用したほうが良いと感じました。
- 理想と現実のバランス: 理想を追い求めるがゆえに、現実から極端にかけ離れすぎると、いつまでも初級のまま、進捗がわからなくなってしまいます。何事もバランスが大事です。
🎄 まとめ 🎄
このスキルシートを見て、「ちょっとうちには合わないなぁ」とか「こんなのできて当然でしょ」というご意見もあるかと思います。それは当然です。このスキルシートは、あくまで現時点で私たちに必要なものであり、チームや組織の状態、そのときのミッションによって、絶えず変化していくものなのです。次のステップに進むために必要な第一歩なのだと思います。
個人のみならずチームで成長していくためのツールとして、今後も発展させていきたいと考えています。
チームメンバーの育成に悩むリーダーの方の一つのヒントになれば幸いです。
NE株式会社のエンジニアを中心に更新していくPublicationです。 NEでは、「コマースに熱狂を。」をパーパスに掲げ、ECやその周辺領域の事業に取り組んでいます。 Homepage: ne-inc.jp/
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