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6万円で合同会社を作ったらGoogle Playのテスター20人集めから解放された話

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はじめに

「かえたお」というタオル管理アプリを個人開発しています。iOS版をリリースした後、Android版も Google Play に出そうとしたところ、ある壁にぶつかりました。

クローズドテスト要件 ── 新規の個人デベロッパーアカウントでは、本番リリース前に「12〜20人のテスターを集めて14日間クローズドテストを実施する」ことが必須になっていたのです。

個人開発者にとって、これはなかなかの無理ゲーでした。

結果として私は 合同会社を設立 し、組織アカウントとして登録することでこの要件をスキップしました。この記事では、その判断に至った経緯と、法人化のリアルなコスト・メリットを共有します。

Google Play のクローズドテスト要件とは

2023年11月以降に作成された 個人デベロッパーアカウント には、以下の要件が課されています。

  • 12〜20人のテスターがオプトイン(テスト参加に同意)すること
  • 14日間連続でクローズドテストを実施すること
  • これを満たさないと本番トラックへのリリース申請ができない

Google がアプリの品質向上とスパム対策のために導入した施策ですが、個人開発者にとっては大きなハードルです。知り合いに頼んで20人集めるのも大変ですし、14日間ちゃんとテストしてもらう必要があります。

組織アカウントならスキップできる

このクローズドテスト要件は 個人アカウントにのみ適用 されます。組織(Organization)アカウント であれば、この要件は免除されます。

組織アカウントを作るには D-U-N-S番号(Dun & Bradstreet が発行する企業識別番号)が必要です。取得方法は2つ:

  1. 個人事業主として取得する ── 開業届を出してDUNS番号を申請(無料、ただし反映まで2〜3週間)
  2. 法人を設立する ── 法人登記すると、DUNSが自動付番されていることがある

私の場合は合同会社を設立したところ、DUNSが既に付番されていました。申請の手間すらなかったのは嬉しい誤算でした。

法人設立のリアルなコスト

合同会社 vs 株式会社

個人開発者が法人を作るなら、合同会社(LLC)がオススメです。

合同会社 株式会社
定款認証(公証人) 不要 約5万円
登録免許税 6万円 15万円
設立費用合計 約6〜10万円 約20〜25万円

合同会社なら 最低6万円 で法人が作れます。Google Play の組織アカウント登録においても、合同会社と株式会社で差はありません。

資本金について

別途、資本金の準備が必要です。法律上は1円から設立可能ですが、法人口座開設の審査を考えると、ある程度の金額を入れておいた方が無難です。私は100万円にしました。

ただし資本金は「消えるお金」ではありません。会社の口座に入るだけで、事業の運転資金として自由に使えます。

法人口座の開設

法人口座は ネット銀行系が審査に通りやすい です。私はGMOあおぞらネット銀行で開設しました。メガバンクは設立直後の合同会社だと審査が厳しいという話もあるので、まずはネット銀行で開設して実績を作るのが現実的です。

法人化のハードル一覧

正直に書くと、法人設立は個人事業主に比べて格段に手間がかかります。

ハードル 内容
定款作成 事業目的、本店所在地などを決めて作成
法人登記 法務局に申請(合同会社なら登録免許税6万円)
法人口座開設 ネット銀行推奨。審査あり
資本金準備 1円〜可能だが、口座審査を考慮すると数十万〜
法人住民税均等割 売上ゼロでも年間約7万円
税務届出 税務署・都道府県・市区町村への届出
社会保険 役員1人でも加入義務あり
決算・確定申告 個人より複雑(ただし後述のとおり対策あり)

特に 法人住民税均等割 は要注意です。アプリの売上がゼロでも毎年約7万円かかります。個人事業主なら所得ゼロ=税金ゼロなので、ここは明確なデメリットです。

税理士なしでもやれる時代

「法人は税理士必須でしょ?」とよく言われますが、私はつけていません。

freee や マネーフォワード などのクラウド会計サービスを使えば、仕訳・決算書作成はかなり自動化できます。法人税の申告は個人の確定申告より複雑ですが、小規模法人(売上が少なく取引もシンプル)であれば自力で十分対応可能です。

最近は freee の MCP サーバー もリリースされ、Claude などの AI と連携して会計処理を効率化できる時代になりました。テクノロジーの力を借りれば、税理士費用(年15〜30万円)を節約できます。

ただし、不安な方は最初の1期だけ税理士に相談するのもアリです。法人税申告の全体像を一度掴んでおけば、2期目以降は自力でやりやすくなります。

それでも法人化をオススメする理由

ハードルを正直に書いた上で、それでも私は アプリで稼いでいくつもりがあるなら法人化をオススメ します。理由は以下の通りです。

1. DUNS番号が勝手についてくる(ことがある)

個人事業主の場合、DUNSの申請〜反映まで2〜3週間かかります。法人なら登記した時点で自動付番されているケースがあり、実際に私もそうでした。

2. Google Play と Apple 両方で組織アカウント

アプリ開発者がAndroidにも出したいということは、多くの場合 iOS でも出している(または出す予定がある)はずです。法人なら Apple Developer Program でも組織として登録でき、両プラットフォームで統一感のあるデベロッパー情報になります。

3. 後から法人化すると移行コストが大きい

個人で始めて後から法人化すると、以下の移行作業が発生します。

  • デベロッパーアカウントの移管手続き
  • 銀行口座・決済情報の変更
  • 契約の巻き直し
  • ストアに表示されるデベロッパー名の変更

最初から法人で始めていれば、この手間は全てゼロです。

4. 税制メリット(売上が伸びた場合)

個人事業主の所得税は累進課税(最大45%+住民税10%)ですが、法人税は利益800万円以下で約23%程度。アプリの売上が伸びてきたとき、法人の方が税負担が軽くなる分岐点があります。

5. 信頼性

ストアに表示されるデベロッパー情報が法人名になることで、ユーザーからの信頼感が増します。特にサブスクリプションや課金を扱うアプリでは、個人名より法人名の方が安心感があります。

個人事業主 + DUNS で十分な人

公平を期すために書いておくと、以下に当てはまる人は法人化する必要はありません。

  • 趣味でアプリを1本出したいだけ
  • 売上は期待していない
  • 維持コスト(年7万円〜)を払いたくない
  • とにかく早くリリースしたい

この場合は 開業届 + DUNS番号申請 で組織アカウントを作り、クローズドテスト要件をスキップするのが最もコスパの良い選択です。

補足:ストア手数料15%は法人化と無関係

よく聞かれるので補足しておきます。

  • Apple の Small Business Program(手数料30%→15%)── 前年売上$1M以下なら個人でも法人でも対象
  • Google Play の15% Service Fee Tier(最初の$1Mまで15%)── 同じく個人でも法人でも対象
  • Google Play のサブスクリプション ── 売上額に関係なく最初から15%

手数料の優遇は法人化のメリットには含まれません。個人でも同じ条件で受けられます。

まとめ

個人アカウント 個人事業主 + DUNS 合同会社
設立コスト 0円 0円(開業届) 約6万円
DUNS取得 不要 申請(2〜3週間) 自動付番の場合あり
テスト要件 20人×14日必須 スキップ スキップ
年間維持コスト $25のみ ほぼゼロ 約7万円〜(均等割)
将来の拡張性 移行必要 法人化時に移行 そのまま拡大可

アプリで食っていくつもりがあるなら、法人化は「コスト」ではなく「投資」です。

合同会社なら6万円で設立でき、DUNSが自動付番されていれば Google Play の組織アカウントもスムーズに作れます。freee と AI の力を借りれば税理士なしでも運営できます。

趣味で1本出すだけなら個人事業主 + DUNS で十分。でも、2本目、3本目を出して、売上を伸ばして、いずれ本業にしたいなら──早めの法人化をオススメします。

参考リンク

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