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マルチクラウド環境やストレージとコンピュートの分離が必要なケース

2025/03/04に公開

1. マルチクラウド環境で柔軟に運用したいケース

(1) 災害対策(DR: Disaster Recovery)

  • 課題: 1つのクラウドプロバイダー(AWS, GCP, Azure)に依存すると、サービス障害時に業務が停止するリスクがある。
  • 解決: 主要なデータはSnowflakeを利用し、AWSとGCPの両方にデータを分散して保存。障害発生時に別のクラウドからデータを利用可能にする。
  • 例: 金融機関や医療業界の企業が、99.999%の可用性を確保するために活用。

(2) 法規制・コンプライアンス要件の遵守

  • 課題: 国や地域によってデータの保存場所が制限される(GDPR, CCPA, APPI など)。
  • 解決: EUデータはAzure、米国データはAWS、日本のデータはGCPに保存し、Snowflakeを活用して統合分析を実施。
  • 例: グローバル展開しているEC企業が、各国の規制を遵守しながらデータ分析を行う。

(3) クラウドコスト最適化

  • 課題: すべてのワークロードを1つのクラウドに置くとコストが高騰する可能性がある。
  • 解決: 高負荷なバッチ処理はGCP(BigQuery)、リアルタイム処理はAWS(Redshift)、ストレージはAzure(Blob Storage)など、各クラウドの強みを活かして運用。
  • 例: データ処理のワークロードが多い企業が、コストを抑えながら最適なパフォーマンスを得る。

(4) ベンダーロックイン回避

  • 課題: 1つのクラウドプロバイダーに依存すると、価格変更やサービス変更の影響を受けやすい。
  • 解決: Snowflakeを利用し、データウェアハウスはどのクラウドでも動作可能にし、適宜クラウドを変更可能な環境を構築。
  • 例: テクノロジー企業が、クラウドコストや機能の最適化を図るために、異なるクラウドに移行できる柔軟性を確保。

2. ストレージとコンピュートを完全分離したいケース

(1) 大規模データの長期保存と分析コストの最適化

  • 課題: データが増加するにつれ、DWHのストレージコストが高騰する。
  • 解決: Snowflakeのアーキテクチャを利用し、ストレージは安価なオブジェクトストレージ(S3, GCS, Azure Blob Storage)に保存し、必要なときだけコンピュートリソースを割り当てる。
  • 例: eコマース企業が過去10年間の購買データを安価に保存し、必要なときだけ分析する。

(2) リアルタイム処理とバッチ処理の分離

  • 課題: バッチ処理とリアルタイム処理を同じリソースで実行すると、リソース競合が発生し、パフォーマンスが低下する。
  • 解決: Snowflakeのコンピュートクラスターを分けて運用し、リアルタイムクエリ用とバッチ処理用で別のリソースを利用。
  • 例: SNSプラットフォームが、リアルタイムのユーザー分析と、広告配信のバッチ処理を分離して運用。

(3) 異なるチーム・プロジェクトでのリソース分離

  • 課題: 複数のチームがデータを分析する際、計算リソースを奪い合うことでパフォーマンスが低下。
  • 解決: Snowflakeの「仮想ウェアハウス」を活用し、各チームに独立したコンピュートリソースを割り当て。
  • 例: 大企業が、マーケティング、財務、製品開発の各チームに分かれてデータ分析を行う。

(4) 高負荷なデータ処理と通常のBIレポーティングの分離

  • 課題: 機械学習モデルのトレーニングやETL処理が、BIダッシュボードのクエリ速度に影響を与える。
  • 解決: Snowflakeのコンピュートを分離し、データサイエンス用とBIレポート用で異なるワークロードを実行。
  • 例: AIを活用する企業が、モデル開発と経営指標の可視化を並行して行う。

まとめ

  • マルチクラウド環境が必要なケース: 災害対策、法規制の遵守、コスト最適化、ベンダーロックイン回避
  • ストレージとコンピュート分離が必要なケース: 長期データ保存、リアルタイム/バッチ処理の分離、チームごとのリソース分離、高負荷ワークロードの最適化

どのケースも、企業のデータ戦略や業務要件に応じて最適なDWHを選択することが重要です。

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