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統計検定準1級合格体験記:時間が限られる社会人の戦い方

2025/03/15に公開

はじめまして、Naoです!
2025年3月に統計検定準1級に無事合格しました。自分も受験前に各種合格体験記を読ませていただいたので、自分も恩返しもかねて合格体験記を書いてみたいと思います。
「優秀成績賞」を取っているような優秀な方の体験記は多くありますが、自分はちょうど合格点前後で戦ってきたので、平日フルタイムの社会人が合格点を取るためにはどういう勉強をすればいいかを語りたいと思います。

対象読者

  • 社会人など、時間が限られる中で統計検定準1級合格を目指す人

記事を読むメリット

  • 合格に向けて短いルートで勉強する方法を知れる
  • 試験勉強や試験中のマインドを知れる

本質的な理解をせずに合格点が取れればいいのかという批判はあると思いますが、時間が限られる社会人はとりあえず合格することをベンチマークにしないとおそらく途中でやる気を失います笑
それくらい範囲が広い試験ですし、いったん合格まで勉強すればその学びをベースに必要に応じて学べばいいのではと思っています。


これまでの受験経歴

  • 2024/8/24 統計検定2級に合格
    →勉強開始
  • 2025/2/23 統計検定準1級に不合格(58点)
  • 2025/3/3 統計検定準1級に合格(62点)

1回目と2回目が誤差ではないかと言われるかもしれませんが、問題の体感からして明らかに2回目の方が難しかったので成長してるはずです(と信じたい😅)


スペック

  • 社会人2年目、都内のJTCメーカーで営業系の仕事をしています。
    (一応IT関連、ただ実務で統計を触ることは全くない)
  • 大学時代は経済学部で、多少Pythonを触ってはいましたが、統計検定で問われるような細かい統計手法はほとんど使っていません。行列の計算はExcel丸投げなのでほぼ理解していませんでした。
    (強いて言えばクラスタリングだけちょっとやったことがありましたが、理論は理解せずライブラリをそのまま使っていました。)
  • 数Ⅲは高校時代一瞬理系にいたので少しさわりはやっていましたが受験では使っていません。

きっかけ

Xなどでお見掛けするつよつよデータサイエンティストの方の多くが準1級を持ってらっしゃるので、自分もある程度のデータサイエンスへの理解の証明として合格したかったから。
データサイエンスを勉強し始めて最初の目標にしていたKaggleのソロメダルを取れたので次は統計検定にチャレンジしたいなと思っていました。
あとは、ライブラリをそのまま実装することが多い中で、その背景理論をしっかり理解できる素養を持っておかないと本格的なDSとしては不足だと思っていました。


学習の履歴

総勉強時間は200時間少し超える程度だと思います。
実際の勉強期間は24年11月+25年1月後半から2月の計2.5~3か月程度です。

2024年9月

ワークブックを読み始め、半分くらいはぼーっと斜め読み。
しかし、あまりにも意味不明すぎていったん勉強を先送りする。
「こんなの本当に理解できる日が来るのか」と思ってました笑

2024年11月:とけたろうさんの解説動画を3周くらい見る(80時間)

とけたろうさんの解説講座を購入して本格的に勉強を始める。
このあたりでようやく分野の全体像が見えてきました。

(このあと、諸事情で1か月半くらいお休み)

2025年1月~2月前半:Kawaguchi Yuyaさんの講座を2周見る(80時間)

ここまでは紙には書かず理解することだけを意識していました。

2025年2月:Kawaguchi Yuyaさんの解説動画を見ながら自分なりの解答を作る+とけたろうさんのチートシートで暗記の最終確認(約50時間)

自作の解答を作るという方法はKawaguchiさんがおすすめされている方法です。 この段階でやっと本格的な解法暗記を行いました。
最初は解答を作る作業は結構大変なのかなと思っていましたが、これくらいまで理解度が上がっていれば思ってたほど大変な作業ではありませんでした。
(不思議とワークブックがぎゅっとまとめられてて便利な存在に感じられるようになる。)
ある程度の解説を見ながらでもいいので自作の回答を作り、赤字でメモを追加することで直前確認にも活用できました。

  • 自作解答のイメージ

解法暗記を1か月足らずという短期間でぎゅっと詰め込んだ理由についてはこの後解説します。
このレベルになると、最初は数式の羅列で意味が分からなかったとけたろうさんのチートシートのありがたみがわかるようになります😄


利用した学習教材

書籍

  • 「統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック」
    言うまでもなく必須の一冊。
  • 「日本統計学会公式認定 統計検定 準1級 公式問題集」
    一応購入しましたが、実質的に使ったのは直前の確認のみ。

有料講座

有料講座ですが、時間の限られる社会人なら圧倒的に満足できるはずです。
この2つなしでは絶対に合格できなかったですし、最初の理解のとっかかりがなさ過ぎて多分早々にあきらめていたと思います🧐

  • とけたろうさん「統計検定準1級講座【note+YouTube】」
    初学者には最適でした。ちょっとお高めですが、素人が最初に理解するには最短経路だと思います。
  • Kawaguchi Yuyaさん「統計検定®準1級対応問題集「統計学実践ワークブック」解説講座 厳選19問(非公式講座)」
    無料部分であるYouTubeと合わせて、ワークブックの例題をほぼすべて解説してくれている神講座です。
    試験直前の解法暗記フェーズで活躍しました。とけたろうさん講座で全体的な手法を理解し、実問題への当てはめ方をこの講座で理解しました。

その他役立ったサイト

  • とけたろうさん「【完全網羅】統計検定準1級チートシート」
    試験直前確認で役立ちました。ただ具体的な数値がなく式でまとめられているので、ある程度頭に入った終盤で活用すべき。
  • えびかずきさん「統計学実践ワークブックの解答」
    途中式の理解に活用したのと、Kawaguchiさんの講座と別の書き方で解答を見ることでより本質的な理解に近づけました。
  • DeepTamaさん「各種確率分布のまとめ」
    期待値関数や母関数の直前暗記に最適になっています。
  • こすとさん「統計検定準1級 統計学実践ワークブック 感想まとめ」
    ワークブック各章の読み方を教えてくれます。
    自分の考え方があっているのか、自分が理解すべき、切るべきと思ったところがあっているのか確認していました。
  • 生成AI(Perplexity)
    自分の理解の仕方があっているのかを聞いていました。プロンプトの入れ方に慣れれば聞き放題の家庭教師になってくれます。
    自分はソフトバンク契約で無料で使えるPerplexityを活用していました。

学習のポイント・意識したこと

ワークブック+解説動画でかなり学習時間を短縮できた

すでに多くの記事で言及されていますが、初学者がワークブックを読んだだけで理解するのはまず不可能です。
また、試験はうまくできていて、ワークブックの例題を丸暗記しただけでは合格できないようになっています。
一方で、多くのサイトではワークブックだけでは不十分で各分野固有の参考書を買って勉強するのがいいという意見がありますが、個人的には超本質的な理解を求めないのならそこまでは不要、動画講座でショートカット可能だと思います。
本を1冊読むのもものすごい労力がかかりますし、ワークブックだけの学習であっても例題に大きく過学習していなければ合格点は十分取れます。

イメージとしては、

  • 「例題を8割方自力で解けるようにする+例題に出てこない本文部分を半分理解する」

でちょうど合格点な印象でした。自分としてはワークブック+解説動画でちょうど合格点レベルに達した印象です。
(もちろん超本質的な理解をしたいならほかの参考書に取り組むべき。)

過去問についても、あくまで力試ししたいとか現状の点数を確かめたいなら使うという程度で、過去問をやったから点数が伸びるという類でもないかと。
なんだか有料講座の宣伝みたいになってしまいましたが、広告ではありません笑

範囲があまりに広いので、短い期間に詰め込んで覚えた方がいい

準1級は正直範囲が広すぎて、早めから細かい公式などを暗記していってもまず忘れていってしまいます。
(私も本番は2級レベルである2集団の差の分母のt検定の公式を忘れてしまいました)
個人的にやってよかったと思ったのは、最初は解き方の方針とか各手法の全体的なイメージを理解することに焦点を当てて、直前2週間~1か月くらいかけて解き方や公式を暗記する方法です。

CBTなので選択肢からの逆算や消去法で解ける場面も多い、難しい計算力を高めるくらいなら理論的な理解をした方がよさそう

試験の内容自体には触れられないのであまり詳細は話せませんが、実際のところCBTなのでものすごく細かい微積分を求められる試験ではないと思います。
CBTを受けたことがある人はわかると思いますが、計算用紙もホワイトボード2枚を交換していくのでそこまで細かい数式が書きやすい環境でもないので結構配慮していただけてるのかもなと。

細かい計算より、本質的な手法理解しているかを重視していた印象ですし、時間についても、余るわけではありませんでしたがそこまでギリギリではなかった印象です。

また、計算問題系については、選択肢から逆算してあり得るものを探すことができる問題や消去法で解ける問題も選択式である以上必然的に生じてきます。
(旧大学入試センター試験を受けたことある方は、そのイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。)

数Ⅲの微積分公式については、例題に出てくる程度を理解できていれば、すべて完璧に覚えていないから無理だということでもないと思います。(もちろん覚えるに越したことはないですが、、)

(都内や関東近郊なら)直前でも申し込めるテストセンターがある

テストセンターによって申込締切がまちまちで、1週間前締切のところが多いのですが
都内や関東近郊であれば3~4日後のスケジュールで申し込めるテストセンターが一部ありました。
行けそうだと思ったらすぐ申し込める場所を探すのもいいと思います。


まとめ

軽い気持ちで準1級の勉強を始めてしまいましたが、まとまった時間がとりづらいかつデータサイエンティストじゃない普通の社会人にはかなり大変な試験だと思います。自分もこの半年は残業ゼロだったので何とか詰め込めたレベルです。
ただ、努力と引き換えに希少性があると思うので差別化できるのは間違いないです。
皆さんの合格を祈念しています。

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