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保守的な人々が騒ぎ始めたら相場の天井説を検証する

2022/03/20に公開

着想

以前読んだ本に「保守的な人々が騒ぎ始めたら相場の天井が近い」という一節があり、非常に納得しました。確かに2013年のアベノミクスや2017年の仮想通貨ブームでは、普段お金に疎い人たちも色めきだっていた印象があります。
さて、普段投資に興味のない人が投資に興味を持ったら、まず投資信託を買おうするのではと考えました。よって、投資信託の販売量が市場の行方を示すという仮説を立ててみます。

注意

この分析は私が2018年頃に実施した研究です。最新のデータではまた違った結果が導かれる可能性もあります。

データ

投資信託協会のページからデータが入手できます。
https://www.toushin.or.jp/statistics/statistics/data/

観察

公募の投資信託の販売額と解約額の差と、日経平均株価の推移を重ねてプロットしてます。

こちらは2012年末から2013年にかけてです。
13年5月は一気に投資信託が伸びており、それと同時期に日経平均株価には大きな調整局面を迎えます。これは仮説通りの振る舞いだと思います。余談ですが、この頃はテレビやスポーツ紙でアベノミクス特集が盛んだったと記憶してます。
13年4月は投資信託が落ち込んでいるが株価は伸びています。これは、ある程度上がったことに満足して売った人が多かったためでしょうか。

別の時期です。
2007年6月には投資信託販売額が過去最大のピークを迎えています。
株価も程なくして(同年7月末に)ピークを迎え、このあとリーマンショックへ突入していくことになります。

検証

さて今、仮説の当てはまりがよい時期を観察しましたが、全体を通して関連性があるかを評価してみます。

過去約20年間において、
x = 投資信託の販売額と解約額の差の月次差分系列
y = 日経平均株価の月次差分系列
としたときのx, yのピアソンの相関を評価したところ、-0.15 (p値=0.02)でした。

ということで、投資信託がよく売れるようになってきたら、株価は下がりやすいフェーズになっているという説は、まぁ合っているかなと思います。
ただしこれは一致性の指標であることを確かめただけで、先行性(予見性)があるわけではないです。
また、本分析では考慮していないですが、投資信託の統計は集計後の発表までタイムラグがあるので、実際はもっとシビアです。

雑感

  • 統計データは鮮度が古いのであまり意味がなく、投資信託を売ってる人 (銀行の人とか) に、売れ行き具合やリアルなお客さんの反応を聞くと効果があると思います。
  • 話がそれますが、一般に先行性があると言われている経済指標は、人の所感に基づくデータだったりします。ISM景況指数や景気ウォッチャーはまさにそういう指標です。

データのプロットにはSuperMjographをしています。

Discussion

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