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ロボットより先に「企画」を作ろう ─ CoRE1ビルダー設計ひとりアドカレ1日目:目標設計

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ロボットより先に「企画」を作ろう ─ CoRE1ビルダー設計ひとりアドカレ1日目

この記事は
「CoRE1ロボット設計 ひとりアドベントカレンダー」1日目である。

  • テーマ:CoRE1の機体を1台設計してみる
  • 流れ:企画 → メカ設計&回路設計&制御設計 → 書類
  • 条件:現物は作らず、設計のみ(終わらなかったらアドカレ延長戦)

「ロボットの記事なら技術の話をしようよ」という声もあると思うが、
1日目はあえて企画の話だけに振り切ることにした。

その理由は、CoREの理念とルーブリックを読むと分かってくる。
CoREは、ロボットのスペックや得点だけではなく、

  • チームとしてどんな目標を掲げたか
  • その目標に向かって、どう設計し、どう活動したか
  • そこで得た学びをどう共有したか

といったプロセス全体を評価しようとしている競技だと感じている。

だからこそ、技術の前に
**「企画=どんな目線を持ってで走るのか」**をはっきりさせておきたい、というのが今回の1日目のテーマである。


自分の立ち位置と今回のチャレンジ

最初に、書き手の立ち位置を軽く整理しておく。

  • 大学
    • ロボコンで自動機の制御設計を担当
  • 社会人
    • 本業:自動車のユニット系設備開発のメカ設計がメイン
    • 必要に応じて回路設計や制御設計も少し触らせてもらっている
  • Scramble
    • JRTで小中学生にロボットを教えつつ、自分もCoRE1に選手として参加
    • 今年からはJRTを卒業した高校生チームがCoRE1に出場するので、そのチームの監督として参加

本業では、工場で年中動き続ける設備を設計・開発している。

  • 壊れず異常が発生しにくいこと
  • メンテナンスしやすいこと
  • 現場で安全に使えること

理由のない寸法線が無いくらい、理論的にガチガチに詰めていく世界である。

一方、ロボコンの設計は少し空気が違う。

  • 競技時間のあいだ安定して動けばよい
  • 限られた期間とリソースの中で、とにかく軽く・速く・魅せるものを作る
  • 壊れるリスクを承知で攻めた仕様にする、という選択もあり得る

この「設備設計」と「ロボコン設計」のギャップを、
小中高生にどう説明し、どう橋渡しするかが、自分の中でずっとテーマになっている。

そこで今回のひとりアドカレでは、

  • いつも作っているアタッカーではなく、あえてビルダーを対象にする
  • 設備設計寄りの考え方で、CoRE1のビルダーを1台分フル設計してみる
  • そのプロセスを、将来の指導に使える「参考書のタネ」として残す

というチャレンジをしてみることにした。


なぜ1日目を「企画だけ」にするのか

CoREの理念と、ルーブリックから見えること

CoREの理念は、ロボットの性能や試合の点数を競うだけでなく、

  • エンジニアとしてどう学び、どう成長するか
  • チームとしてどう目標を立て、どう協働するか

といった部分を大事にしている、という理解である。

この「目標とプロセスを重視する」という思想は、
各賞のルーブリックにかなりはっきりと表れている。

革新的技術賞のルーブリックを例に、企画との関係を見てみよう。

革新的技術賞ルーブリックに書いてあること

革新的技術賞の評価項目の1つ目は「設計思想」で、
そこには次のような内容が書かれている(要約)。

  • チームが何を目標にしているか説明できていること
  • その目標達成のために、どのようなロボットを作ろうとしたか説明できていること
  • 競技課題の趣旨に沿い、勝利を目指す設計思想があること

さらに「達成」のレベルでは、

  • チーム目標がチーム外の審査員にも伝わるように説明されていること
  • 作ろうとしたロボットがチーム目標に合致しており、
    なぜそのロボットなのかが明確・分かりやすく説明されていること

ここで評価されているのは、いきなりすごい技術ではない。

  • どんな目標を立てたか
  • その目標に合わせて、どんな設計コンセプトを選んだか
  • それを第三者にも伝わる言葉で説明できているか

という 「企画と説明」の部分である。

つまり、技術賞であっても、技術の前に
企画と設計思想が筋の通ったストーリーになっていることが土台になっている。

他の賞も、結局は「目標とプロセス」

他のルーブリックも、細かい内容は違うが、
大きな流れとしては同じ方向を向いているように見える。

どれも、

  • 「最初に、どんな目標を置いたのか」
  • 「その目標のために、どう設計し、どう動いたのか」
  • 「結果と学びをどう整理して共有したのか」

という 企画〜プロセス〜共有 の流れを、かなり丁寧に見ている。

だからこそ、このアドカレの1日目は、
あえて技術の話ではなく企画だけに集中する回にしている。


VMVという企画フレームについて

世の中でよく使われるVMVの考え方

ここから先は、実際に企画を言葉にしていくためのフレームとして
VMV(Vision / Mission / Value) を使う。

これは企業や組織でよく使われている、わりと一般的な考え方である。

  • Vision(ビジョン)

    • 組織やプロジェクトが目指す将来の姿・方向性
    • 「どんな状態になっていたいのか」「どういう世界を目指すのか」といった、大きめの方向を示すもの
  • Mission(ミッション)

    • Vision を実現するために、その組織やプロジェクトが担う役割・使命
    • 「自分たちは何のために存在しているのか」「誰にどんな価値を届けるのか」という部分
  • Value(バリュー)

    • Vision / Mission に向かう過程で大事にする価値観・行動指針
    • 「どういう姿勢で意思決定するか」「迷ったときに何を優先するか」の基準になるもの

企業だと経営理念や行動指針として掲げていることが多いし、
プロジェクト単位でも VMV を置いてから計画を作るケースはよくある。


私のイメージするVMV

自分は VMV に次のようなイメージを持っている。

  • Vision
    自分のイメージでは、Vision は大きな夢だと感じている。
    この大きな夢が、三角コーンのいちばん下の土台をつくる。

  • Mission
    Vision という大きな夢に向かって、
    「この数年・このシーズンでどこまで到達できたら成功と言えるか」という目的地

  • Value
    Vision に向かって Mission を目指す途中で、
    「どんな価値観で進むか」「迷ったときに何を優先するか」という
    進み方のルール・判断基準

Vision がぐらぐらだと、上に載せた Mission や Value がすぐ倒れてしまうし、
逆に Vision だけ立派で Mission / Value がないと、
「きれいなことは言うけれど、結局何をするのか分からない」となってしまう。

この三角コーンを先に立てておくと、
あとから要件定義や設計で迷ったときに

「そもそも自分たちは何を目指していたんだっけ?」

と戻って来られる場所になる。
チーム活動をする上でも、目線を合わせておくと合意形成が容易になる。

       / \
      / V \    ← Value(進み方のルール・判断基準)
     /  M  \   ← Mission(あるべき姿・目的地)
    /   V   \  ← Vision(大きな夢・コーンの土台)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

今回プロジェクトのVMV(暫定版)

ここからは、今回の「CoRE1ビルダー設計ひとりアドカレ」企画に対して、
自分が現時点で置いている VMV を書いていく。

あとで変えるかもしれないが、1日目の時点ではこんな感じでスタートしている。

Vision:背中で語れるエンジニアになる

有志活動で関わっている小中学生・高校生たちに、
「エンジニアってこうやって考えて、こうやって設計しているんだな」
という姿を、背中で見せられる大人になる。

  • 完成したロボットだけではなく、
    企画・試行錯誤・ふりかえりまで含めて、プロセスごと見せられるようになりたい。
  • 成功体験だけでなく、失敗や迷いも含めてオープンに共有できるエンジニアでありたい。

この Vision が、自分にとっての三角コーンの土台になっている。

Mission:CoRE1ビルダーの設計プロセスを「参考書のタネ」にする

CoRE1のビルダー機を、設備設計寄りの視点で1台分フル設計し、
そのプロセスを、将来の指導やチーム運営にも使える参考書のタネとして残す。

もう少し具体的に分解すると、やりたいことはこんなところだ。

  • やりたいことを企画として具体的な言葉にする。
  • その企画からロボット仕様・設計思想を落とし込み、
    「なぜこのビルダーなのか」を説明できるようにする。

実機は今回作らないが、
紙と画面の上では最後まで戦えるレベルまでは持っていきたいと思っている。

Value:今回のチャレンジで大事にしたい価値観

最後に、このプロジェクトを進める上での Value(価値観)をいくつか挙げておく。

  • 高校生でも真似できるシンプルさを優先する

    • 「真似した瞬間に地獄を見る設計」にはしない。
    • CoRE1に挑戦する高校生たちが、アレンジ前提で参考にできるくらいの難易度にしたい。
  • 安全とリスクを最初から設計に組み込む

    • ロボット・作業環境・動作試験それぞれのリスクを、後付けではなく企画段階から考える。
  • 目標はできるだけ定量的に表現する

    • 「どんな性能を目指すのか」「どんな行動を評価したいのか」を、数字や条件で言えるようにする。
  • 知識を整理して残す

    • 「誰向けに」「何のために」書いているかを意識し、
      設計ノウハウを単発のTipsではなく、まとまりのある形で残す。
  • 自分のチーム内部の成長と、CoREコミュニティ全体への還元の両方を考える

    • チームの中だけで完結させず、気付きや工夫をコミュニティにも返していく。

この VMV の三角コーンを、今回のひとりアドカレの**「土台」**として立てておく。
2日目以降は、この上に具体的な数字や戦略、ロボットの形を積み上げていくイメージで進めたい。


1日目のまとめ

1日目は、あえて技術的な話にはほとんど触れずに、

  • CoREの理念とルーブリックから見ると、
    「目標とプロセス」がとても重視されていること
  • その前提のもとで、今回の企画に対する
    VMV(三角コーン)= Vision / Mission / Value を暫定で立てたこと

この2点までを整理した。

ロボットの形も、フィールド上での動きも、まだ一切決まっていない。
ただ、この「土台」と「目的地」と「進み方」を決めておくことで、
明日以降の要件定義や設計の話が、かなりやりやすくなるはずだと感じている。


明日の予告

KPI作り(要件定義)・戦略と、それを達成するためのロボットの概要・ポンチ絵

2日目(明日)は、今日立てた VMV をもとに、

  • KPI作り(要件定義)
    • 「この数値や条件を満たせていれば、このビルダー企画は成功と言えるよね」という
      具体的な指標を考える。
  • 戦略
    • CoRE1のルールとフィールドを読み解きながら、
      「うちのビルダーはここで勝ちにいく」という勝ち筋を決める。
  • それを達成するためのロボットの概要・ポンチ絵
    • 詳細設計に入る前に、
      「だいたいこんな構成で、こんな動きをするビルダーになりそうだ」という
      ざっくりしたイメージを絵と言葉で描いてみる。

というところまで進める予定である。

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