【PDF翻訳】PLaMo™翻訳のPDF翻訳機能を試して、Readableと比較してみた
はじめに
こんにちは!
株式会社松尾研究所でインターンをしている田代です。本記事は、松尾研究所 Advent Calendar 2025の記事です。
現在、修士1年であり、インターンでは医療AI関連のプロジェクトに参加させていただいております。
先日、株式会社Preferred Networks(以下、PFN)から、PLaMo™翻訳のPDF翻訳機能がリリースされました。PDF翻訳の類似サービスである、Readableを日常で1年以上使用しておりますので、それと比較してレビューできればと思います。
今回は以下のResearch Questionを元にレビューをします!
- PLaMo™翻訳のPDF翻訳機能の実力はどの程度か?
- Readableからサービスを変更できるか?
⚠️あくまで私個人の感想ですが、以下の結論となりました。
※1:見開き表示については、今後対応予定だそうです。
PLaMo™翻訳の概要
PLaMo™翻訳は、PFN が開発する大規模言語モデル「PLaMo」をベースとした翻訳サービスです。
主な特徴は以下の2点です。
- Chrome拡張機能を含むブラウザ翻訳が可能
- 多種類のファイル形式に対応したファイル翻訳が可能
今回テストしたPDFでは、段組みや図表の位置関係をほぼそのまま維持しつつ、自然で読みやすい日本語に翻訳されており、高い品質が確認できました。
Readableの概要
英語のPDFファイルを、レイアウトを維持したまま日本語に翻訳できるサービスで、3年以上のサービス実績があります。
主な特徴は以下の3点です。
- レイアウトを崩さずに翻訳されたPDFをダウンロード可能
- 翻訳前後のファイルを見開きで確認可能
- 独自の翻訳エンジンで約30秒で翻訳可能
比較結果
今回は、生成AIで最も有名な論文の一つである「Attention Is All You Need」[1]を元に比較しました。
定性的な比較
以下が翻訳結果です。

図1:アブストラクトの比較(左:PLaMo 右:Readable)
上図から、PLaMo™翻訳のPDF翻訳機能(以下、PLaMo)は、Readableと比較して以下のような特徴があります。
具体例:見開き対応
- 見開き表示には未対応(※1)(図1)
- Readableは見開きで日英を同時に確認できるため、気になる英語の文章を容易に確認できる。
- ※1:PFNの開発者の方から「見開き表示」に将来的に対応予定だと伺いました。以下のような形になると考えられます。
具体例:黒文字以外への対応
- 赤字の注意書きを3行すべて文章として正しく認識し、同様に赤字で表現(図2)
- Readableは3行目を図として認識してしまう

図2:黒文字以外への対応
- Readableは3行目を図として認識してしまう
具体例:テキスト抽出能力
- 著者名や脚注などのテキスト要素を正しく抽出(図3)

図3:テキスト抽出能力
具体例:フォントや文字サイズ
- 英語・日本語間でフォントと文字サイズが統一されており読みやすい(図4)
- Readableは文字スケールの不一致など、部分的に読みにくさがある

図4:フォントや文字サイズ
- Readableは文字スケールの不一致など、部分的に読みにくさがある
具体例:専門用語の翻訳能力
- 翻訳文の品質も高く、論文特有の専門用語や文脈も自然に訳されている(図1, 表)
| 原文 | PLaMo | Readable |
|---|---|---|
| The dominant sequence transduction models | 現在主流の系列変換モデル | 優勢な配列伝達モデル |
| Recurrent neural networks | 再帰型ニューラルネットワーク | リカレントニューラルネットワーク |
具体例:表や数式の認識
- 表や数式を文字と認識しており、図が高解像度である(図5)。したがって、数式のコピペなどが可能であり、応用性がある
- Readableでは、図や数式が、低解像度で、貼り付けられる傾向がある

図5:表や数式の比較。コピペ可能であることを示すために、一部テキスト選択を実施(左:PLaMo 右:Readable)

図6:Readableでは、テキストでなく画像であるため低解像度である
具体例:レイアウト
- レイアウト崩れは少ないが、一部背景が黒くなるなどの軽微な崩れも確認(図7)

図7:表のレイアウト崩壊や参考文献(左:PLaMo 右:Readable)
具体例:参考文献のスタイル
- 参考文献には、著者などは英語のままで、タイトルは追加で日本語訳がある形式で、より一貫性を持つ(図8)
- Readableでは、著者が翻訳されたりされなかったり、一貫性が不足

図8:参考文献のスタイル
- Readableでは、著者が翻訳されたりされなかったり、一貫性が不足
翻訳速度
次に翻訳速度を比較しました。
今回は、PLaMoの無料版(月当たり最大1件のPDF翻訳)を使用しているため、n=1での評価を実施しました。
結果として、Readableは20倍以上の早い速度で翻訳されたPDFを得られました。
| PLaMo | Readable | |
|---|---|---|
| 翻訳速度 | 約420秒 | 約17.5秒 |

図9:PLaMoでの翻訳速度のログ
料金体系
年額料金はPLaMoの方が200円高いです(個人利用)。また、翻訳回数が、Readableでは無制限ですが、PLaMoは5件と少ないです。リリース初日であり、今後変更があるかもしれませんが、論文サーベイなどの用途に利用する場合はこの件数制限が課題になる可能性があります。一方で、PLaMoはブラウザ翻訳機能もついています。Google翻訳のように、ページ全体を翻訳できる点は、Readableとは大きく異なります。
| PLaMo翻訳 (Liteプラン) | Readable (プロスタンダード) | |
|---|---|---|
| 料金 | 9800円/年(キャンペーン) | 9600円/年 |
| 翻訳回数 | 5件/月 | 無制限 |
| 入力ページ制限 | 無制限 | 100ページ |
| 入力データ制限 | 50MB | 50MB |
| ブラウザ翻訳 | ページ・文字数無制限 | - |

図10:料金の比較(2025/12/02での比較)(左:PLaMo 右:Readable)
まとめ
今回、PLaMo™翻訳と Readable の PDF 翻訳性能を比較した結果、品質(翻訳精度・レイアウト保持)では PLaMo、速度と細かい機能(見開き機能など)では Readable という構図が明確になりました。
PLaMo™翻訳は、
- 段組み・図表・数式を高精度に復元
- 英日で統一されたフォントとサイズ
- 図ではなく「文字」として認識されるためコピペも可能
といった点で、従来の PDF 翻訳サービスを一段引き上げるクオリティでした。
一方で、
- 翻訳速度が非常に遅い
- 月 5 件という件数制限
- 見開き比較ができない(今後アップデート予定)
といった現時点での弱点もあり、実運用では気になる場面があります。
総合すると、
- 品質重視 → PLaMo™翻訳
- 速度・作業効率重視 → Readable
という使い分けが現実的だと感じました。
PLaMo の PDF 翻訳はリリース直後であり、今後のアップデートで速度改善や UX の進化が期待できます。サービスの成熟度が上がれば、PDF 翻訳のスタンダードが大きく変わる可能性があると感じました。
今後のアップデートにも注目していきたいと思います。
参考文献
-
Vaswani, Ashish, et al. "Attention is all you need." Advances in neural information processing systems 30 (2017). ↩︎
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