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[Cisco]ルーティングについて!#2-②(ダイナミックルーティング)

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ダイナミックルーティングを自分なりに解説その②

自分なりにダイナミックルーティングを解説します~

ルーティングプロトコルの分類

  • それぞれのルーティングプロトコルで使用場面や動作が異なり、いくつかに分類できる。
  • これらを自分なりに解説していきたいと思います。

IGPとEGP

ルーティングプロトコルは使用される場面で分けると2つに分けることができる。

IGP(Interior Gateway Protocol)

  • IGPは自律システム内(Autonomous System、略称:AS)で経路情報を交換するためのルーティングプロトコル。

🔧 代表的なIGPの例:

  • RIP(Routing Information Protocol)
  • OSPF(Open Shortest Path First)
  • EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)
  • IS-IS(Intermediate System to Intermediate System

EGP(Exterior Gateway Protocol)

  • EGPは、異なるAS(自律システム)同士で経路情報を交換するためのルーティングプロトコルです。ASごとに運用ポリシーや内部構成が異なるため、AS間の通信には専用のプロトコルが必要になります。
  • 実際に現在使われているEGPはほぼ BGP(Border Gateway Protocol) 一択です。

🏢 AS(自律システム)ってなに?

  • AS(Autonomous System)は、1つの組織が管理しているネットワークのまとまり。
  • インターネット全体を1つ1つのルーターで管理するのは大変なので、AS単位で管理することで効率化している。

アルゴリズムによる分類

ルーティングプロトコルは、最適なルートを計算する際の考え方が異なる。
この考え方をルーティングアルゴリズムといい、IGPに分類されるルーティングプロトコルは、大きく

  1. ディスタンスベクタ型
  2. 拡張ディスタンスベクタ型
  3. リンクステート型

に分けられます。

ディスタンスベクタ型

  • ルーターは「自分から見てどのネットワークまで何ホップで行けるか」を近くのルーターに伝える方式。
  • 「距離(Distance)」と「方向(Vector)」の2つの情報からルートを選ぶのでこの名前がついている。
  • 情報は定期的に送信され、隣接ルーターからの情報を元に、ルーティングテーブルを更新していく。

🔁 ルート情報のやり取りの特徴

  • ルーター同士でルーティングテーブル全体を交換する(変更があってもなくても)。
  • 自分が知らないネットワークを、隣から「〇〇に行けるよ!」と教えてもらって学ぶ。

❗デメリット(問題点)

  • 経路の変化に対して収束(反映)が遅い。
  • **ルーティングループ(無限ループ)**が起きやすい。
  • 例:RIPは最大ホップ数が15(16は到達不能)と制限がある。

拡張ディスタンスベクタ型(ハイブリッド型)

  • ディスタンスベクタ型の改良版。Cisco独自のルーティングプロトコルであるEIGRPがこの分類。
  • 基本的な動作はディスタンスベクタ型と同じだが、リンクステート型の特徴も取り入れている。
  • 通常の距離と方向だけでなく、帯域幅・遅延・信頼性などのメトリクス(経路の評価値)を使って、より精密なルート選択が可能。
  • ルーティングループの防止や、高速な収束など、ディスタンスベクタ型の弱点をカバーしている。

🧠 情報交換の仕組み

  • 変更があった時にのみ、影響のあるルーターに情報を伝える「トリガード更新」を使う。
  • 必要なときにだけやり取りするので、ネットワーク負荷が軽い。

❗ デメリット(注意点)

  • Cisco独自のプロトコルであり、マルチベンダー環境では使いづらい(※現在は一部オープン仕様あり)。
  • 内部の動作(DUALアルゴリズムなど)がブラックボックス的で、理解が難しいと感じることがある。
  • ネットワークが複雑になると、トポロジテーブルやメトリクスのチューニングが大変。
  • EIGRPの管理者やエンジニアの知識依存が高くなる傾向がある(RIPやOSPFより一般的でないため)。

💡EIGRPの特徴

  • Cisco製品でしか基本的に使えない(でも最近は一部オープン化されてる)。
  • ルーティングテーブルとは別にトポロジテーブルを持っていて、そこから最適なルートを選んでいる。

リンクステート型

リンクステート型ルーティングプロトコルは、ネットワーク全体の構造を各ルーターが自分で把握して、最適なルートを自分で計算する方式です。

🔍 特徴

  • 各ルーターは、自分の**直結しているルーターやネットワークの情報(リンクステート)**を他のルーターに伝える。
  • 全ルーターが同じネットワーク構造の地図(トポロジー)を持つことで、**最短経路(Shortest Path)**を自力で計算する。
  • ネットワークに変化があったときだけ、**変更部分の情報(LSA)**をやり取りするので効率的。

❗ デメリット(注意点)

  • 各ルーターがネットワーク全体の構成を記憶する必要があるため、メモリやCPUの負荷が高くなる
  • 初期同期や再計算時に大量の情報(LSA)をやり取りする必要があるため、大規模ネットワークでは慎重な設計が必要。
  • エリア構成、DR/BDR選出、LSAタイプなど、設定が複雑で理解に時間がかかる
  • ネットワーク構成を誤ると、不適切な経路選定やループの原因になることがある。

🧠 情報のやりとりの流れ(ざっくり)

  1. Helloパケット送信
    • お互いを「隣のルーター」として認識(ネイバー関係の確立)
  2. LSA(Link State Advertisement)交換
    • 自分のリンク情報を他のルーターに伝える
  3. LSDB(Link State Database)の構築
    • 各ルーターがネットワークの地図を作る
  4. SPFアルゴリズムで最短経路を計算
    • 「ダイクストラ法」というアルゴリズムで、最短ルートを導き出す

🔧 代表的なリンクステート型プロトコル

  • OSPF(Open Shortest Path First)
    • IGPの中で広く使われている
    • エンタープライズネットワークでよく登場
  • IS-IS(Intermediate System to Intermediate System)
    • 通信事業者の大規模ネットワークで使われることが多い

ここまでのまとめを表にしてみた

分類 主なプロトコル 情報交換方式 メリット デメリット
ディスタンスベクタ型 RIP 定期的に全体を送信 シンプルで設定が簡単 遅い・ループしやすい
拡張ディスタンスベクタ型 EIGRP 必要時に差分を送信 高速・ループに強い Cisco依存・複雑
リンクステート型 OSPF, IS-IS 状態情報を広く共有 高速・安定・大規模対応 負荷が高い・設定が難しい

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