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GitHub Copilot はサポートエンジニアこそが使い倒すべき!

に公開

Azure IaaS サポートエンジニアから Azure 製品営業にロールチェンジしたTomoyaです。
(IaaS には、Azure VM(OS含む)、Azure Storage 管理、Azure ハードウェア基盤などが含まれます)

私個人が思っていることを綴った記事です。

はじめに(結論)

まず、結論から申し上げると、私は世の中のコードから生まれる全ての製品のサポート、職種名でいうとテクニカルサポートエンジニアといわれるような人には GitHub Copilot を全員に使ってほしいと思っています。(暴論)

理由はシンプルで、Github Copilot は「開発者のための道具」であることはもちろんですが、むしろ、サポートという “見えないゴールを探索する仕事” を加速する道具として素晴らしい相方になると考えています。

サポートエンジニアの仕事の実態

「サポートエンジニアは社内情報見て、ソースコード読んで、そこからすぐにトラブルシューティングできるデショ」とお客様や非技術職の人などから思われていることが多いですが、実態はかなり泥臭い お仕事です。

  • 状況整理(何が起きてる?いつから?何が変わった?)
  • 切り分け(原因候補を並べて、潰していく)
  • 検証(コマンド実行、ログ確認、再現)
  • 連絡(顧客への依頼、進捗、結論)
  • エスカレーション(上位部隊に投げるためのサマリ作り)
  • ナレッジ化(同じ問題、事故を減らす)

そして、サポートエンジニアの時間・精神を消耗するのは「難しい判断」よりも、「反復作業」と「文章作成」です。
回答文を作成するのはもちろんのこと、回答前のレビュー、エスカレーションするときは詳細な調査内容を順を追って作成し、上位部隊に伝えるための文章作成なども行います。
これらが1つのケースで何度も繰り返されます。
同じような問い合わせでも、毎回状況が "微妙" に違うため、完全にテンプレ化できない上、テンプレ化できないので、毎回 “書き直し” が発生します。
このようなことから、地味にHP(体力)が削られていきます。

「その気持ちわかるぅ」と思っていただける方に GitHub Copilot を使ってほしいです。

サポートエンジニアの価値

持論ですが、市場価値の高いサポートエンジニアは「正解を知ってる」より「最短で正解にたどり着ける」スキルを持ち合わせる人だと思っています。

サポートの価値(勝ち筋)は、博識さ(知識量)だけじゃないということかなと。
当然、知識は武器ではありますが、現場で必要とされるサポートエンジニアは、知識量と正解にたどり着くまでの思考に長けていると思います。
1文でまとめるとこんな感じ。

「不確実性の霧の中で、最短距離で原因に寄っていける力」

現実の問い合わせはだいたいこういう性質を持っています。

  • 情報が足りない(再現手順が曖昧、ログがない、環境情報が不明瞭)
  • 事象が複雑(複数コンポーネント、複数変更点)
  • 解決までの時間的制約に縛られる(影響範囲、優先度、顧客の温度感)
  • “確率”で動く必要がある(100%の確信を持ってから行動すると遅い)

つまり、サポートの仕事は「答え合わせ」ではなく、 探索のお仕事 かと思います。
探索を速く回せる人が強く、探索のループ回数を稼ぎつつ、無駄打ちを減らせる人が強いというのが価値あるサポートエンジニアです。

ここで重要なのは、「知ってること」だけで勝負しないこと。
現場では、知識があっても情報が足りなければ答えまでたどり着けないし、逆に知識が薄くても探索の回し方が上手ければ、答えに早く寄って行けるかなとおもいます。
私はどちらかというと回し方(ハンドリング力)でどうにか仕事をしていました…。

GitHub Copilot は何を速くするのか?

GitHub Copilot を コードを書くためのAI としてだけ見ると、サポート業務では過小評価しがちです。
(当たり前である)
しかし、実際は、サポートが苦しみがちな作業をかなり得意としています。

  • ログ調査の補助(大量なログバンドルからサマリ分析、ログ解析結果の壁打ち)
  • 叩き台を作る(文章、手順、コマンド、チェックリスト)
  • 観点を増やす(原因候補、確認ポイントの洗い出し)
  • 形式を整える(エスカレーションサマリ、ナレッジ構成、説明文)

要するに、サポートエンジニアの業務の中で行う、探索ループ処理 で発生する 「ログの分析」「手を動かすだけの工程」 の時間・思考を圧縮できます。

探索ループの中身を理解すると分かりやすい

サポートの探索ループをざっくり書いてみます。

  1. 仮説を立てる
  2. 確認手段を決める(何を見る?何を聞く?何を実行する?)
  3. 実行して証拠を集める
  4. 仮説を更新する
  5. 顧客に共有する(依頼・進捗・結論)

GitHub Copilot は1〜5どのフェーズでも効果を発揮できます。
仮説を立てるときに、いくつかの案の中から確率が高そうなものを壁打ちして選択し、
仮説のもと、対象となるログバンドル(ログファイルの集合体)を一括で Agent mode で調査する。仮説に誤りがあれば、再度仮説を壁打ちし直し、顧客向けの文章をGithub Copilot に考えてもらう。こういった使い方をすると、探索ループ全体の効率化が見込めます。

壁打ちの際には、「どんな観点があるか」を先に視野を広げてくれるので、ジュニアなサポートエンジニアの人でも、視野が広がることにより、確認漏れの確率も下がります。
(もちろんゼロにはならない。そこは現実)

人間は判断と責任、AIは壁打ちと反復:分業が一番強い

GitHub Copilot は優秀ですが、サポートエンジニアの現場でやらかしやすい罠があります。

  • それっぽい嘘(存在しないコマンド、微妙に違う設定名)
  • 断定口調の文章(顧客向けに送ると事故る)
  • 前提の取り違え(OSや権限、構成を勝手に補完する)

そのため、役割分担を決めるのが安全です。

人間がやること

事実確認、優先度判断、仮説の採択、リスク判断、顧客への最終表現、責任を持つ決定

AIにやらせること

叩き台作り、観点列挙、テンプレ生成、文章整形、反復作業の短縮

  • GitHub Copilot を「正解製造機」にすると事故ります。
  • GitHub Copilot を「下書き製造機」にすると猛者になれます。

この違いは言われたらそりゃそうだよね、と思うかもしれませんが、結果に直結します。
X とかでもよく、「ChatGPTはこう言ってますよ?」という投稿見かけますよね。
愚かな発言だな、と日々思います…

探索ループ効率化で 「次の一手」 の高速化

私は、GitHub Copilot の活用で本当に変わるのは、
作業時間が数分減ることだけではなく、以下の点があると考えています。

  • 初動の返信が速くなる(必要情報の依頼文を早く出せる)
    • 仮説の壁打ち回数が増加するため
  • 切り分けが整理される(観点の棚卸しが早い)
    • 異なる視野からの助言をもらえるため
  • 上位エスカレーション時のスムーズさ(必要情報が早く揃う)
    • 多くの視野からの見解を得ることができるため、必要情報が早めに揃った状態になる
  • ナレッジ化が進む(解決を資産にしやすい)
    • どういうプロセスで思考したのかが GitHub Copilot とのやり取りに残る

つまり、「次に何をすべきか」を決めるまでの時間が短くなります。
サポートは“次の一手”が遅いほど苦しくなる仕事なので、ここが縮む恩恵は大きいです。

極端に言うなら、サポートの仕事は「入力(情報)」と「出力(判断と次の一手)」の往復ですので、
GitHub Copilot はこの往復を補助してくれるため、回転数が上がるイメージかと思っています。

使う前に決めておく安全ルール(最低限)

ここまで読んで「じゃあ何でも投げればいいじゃん」と思った人に、釘を刺しておきますが、サポートは信頼業なので、安全運転が大前提です。

  • 機密情報は入れない(顧客情報、契約、トークン、内部情報)
  • 出力は検証する(公式ドキュメント、実行結果、実ログで裏取り)
  • 断定口調は自分で直す(顧客向け文面は特に)
  • 前提を明確にして依頼する(OS・環境・制約・目的)

これを守ると、GitHub Copilot は “危ない近道” ではなく、安全なショートカットになります。

まとめ:Copilot を使うべき理由(サポート視点で)

最後に、言いたいことをまとめますが、世の中にはソフトウェア製品が溢れる昨今、それに付随してサポートエンジニアと呼ばれる製品を守る人たちがたくさんいます。
どのような会社であっても、「AIを使ってサポートを効率化できないのか」というお達しが上から降ってくることは必然ですので、私の思っていることを綴りました。

  • サポートの価値は「正解を知ってる」より「最短で正解にたどり着くこと」
  • GitHub Copilot は 正解にたどり着く速度を上げる
  • 人間は判断と責任、AIは下書きと反復 で分業すると強い

AI は魔法ではありませんが、サポートの “地味にHPが削られる重い仕事” を粉砕するハンマーではあると思います。

みんな Github Copilot 早く使おうぜ!!

** 第2部につづく:じゃあ具体的に何ができるの?
次の第2部では、実際に「サポートのどの場面で、どう使うと効果的か」をユースケースでご紹介したいとおもっています。初動ヒアリング、切り分け、ログ観点、など。
(いつになるか、、、)

Tomoya

Microsoft (有志)

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