
証券システムと、それを取り巻く世界
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個人投資家が「注文ボタン」を押すと、その注文は証券会社のシステムを経由して取引所へ送信されます。条件が合えばすぐに約定することもありますが、板の状況によっては約定せず注文が板に並び続けることもあります。ほんの一つの注文の裏側では、余力の仮拘束、取引所とのプロトコル通信、板寄せやザラバでのマッチング、清算機関(JSCC)でのネッティング、ほふりでの株式振替など、驚くほど多くのシステムが連携して動いています。 本書では、この一連の流れを「注文 → 約定 → 清算 → 決済(受渡)」の順にシステムエンジニアの視点で丁寧に整理しました。 ▼ 本書で得られる知識 ・証券取引を支えるプレイヤー(証券会社・取引所・JSCC・ほふり)の役割と全体像 ・注文管理システム(OMS)やフロント/ミドル/バックオフィスの構造 ・余力管理・与信チェック・冪等性など、システム設計上の勘所 ・DVP決済やネッティングなど、決済インフラの仕組み ・NISA対応・株式分割・権利確定日処理といった実務寄りのトピック ▼ こんな方におすすめ ・これから証券システムに関わるエンジニアの方 ・証券ドメインに興味はあるが、全体像がつかめずにいる方 ・証券外務員資格などを取得したものの、システム側の流れがイメージできない方 ▼ 本書についての注意点 著者は証券の実務経験を持たないエンジニアです。公開資料・公式仕様・関連書籍を徹底的に調査し、できる限り出典を明記した上で整理していますが、実務とは異なる部分があるかもしれません。「証券システムの全体像をつかむための第一歩」として読んでいただければ幸いです。
Chapters
はじめに
投資家から見た登場人物と全体フロー
開発者から見た登場人物と全体フロー
OMS とフロント/ミドル/バックオフィス構造
【トピック】証券コード体系 ── 銘柄を識別する仕組み
注文の出発点 ── 余力(買付可能額)を理解する
入出金の仕組み ── 証券口座へのお金の出入り
注文の受付 ── 与信チェックと余力の仮拘束
与信チェックを支える仕組み ── 排他制御・冪等性・金額計算
注文が取引所に届いてから板に並ぶまで
市場データの配信 ── QUICKと情報ベンダーの役割
約定(売買成立)と約定後の処理
約定から受渡へ ── JSCCの清算と債務引受
株と現金が届くまで ── ほふり・日銀ネット・受渡タイムライン
DVP ── 株とお金を同時に動かす仕組み
バッチ処理とオンライン処理 ── 証券システムの二本立て
Fail(受渡不能)── T+2に株やお金が届かないとき
約定ベース vs 受渡ベース:二重管理の世界
売却の場合はどうなるか
差金決済規制 ── 現物取引の回転売買制限
権利確定日と権利付き最終日
株式分割 ── コーポレートアクションとシステム処理
NISA制度 ── 非課税投資のシステム的な影響
全体の振り返りと証券システムエンジニアの守備範囲
STP ── 注文から決済まで人手を介さない自動処理
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