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真空管YAHAヘッドホンアンプの製作

に公開

はじめに

昨年末(2023年末)頃からなぜか急に真空管に興味を持ち、真空管といえばオーディオアンプ系の製作が手っ取り早く実用性もあるはず?と思い、製作記事を探していた。そんなときYAHAヘッドホンアンプを見つけた。ほかの記事にもあるように、真空管1球+オペアンプ1石のハイブリッド構成で小型かつ低電圧で駆動できるらしい。製作は今年の3月におこなったので、記憶から消えないうちに書き残そうと思う。オリジナルYet Another Hybrid Amp (YAHA)には回路定数の決め方などTipsがあるので一読すべし。(2024年12月現在ページが消えてる模様。WebArchiveです。)

使用部品

  • 真空管はオリジナルでは6DJ8というものを使用している。6DJ8:Wikipediaによると、ミニチュア9ピンの中増幅率双三極管、つまり2回路分入っている。規格に関しては、6DJ8の互換に6922やE88CCがある。いずれも名前が違うだけでピン配置は同じ。
  • この真空管は2024年現在でも入手は比較的容易である。筆者は秋葉原のアポロ電子様でElectro-Harmonix社のロシア製6922の新品を税込み3,500円で入手した。購入時に、店主さんが専用の測定器で検査してくださった。筆者のような知識のない真空管初心者に親切にしてくれて、とてもありがたかった。
  • 下の表に使用した部品を示す。
名前 規格 個数
真空管 6DJ8(6922/E88CCも可) 1
オペアンプ NJM4580 1
三端子レギュレータ LM317(TO-220) 1
コンデンサ 電解470μF 2
電解100μF 1
積層セラミック0.1μF 2
抵抗 1MΩ 2
(特記なしは1/4W) 47kΩ 2
1.5kΩ 2
220Ω 2
4.3Ω (2W) 1
可変抵抗器 10kΩ Aカーブ 2回路 1
可変抵抗器つまみ 1
ステレオジャック 3.5mm用 1
真空管ソケット mt管用 9Pin 1
DCジャック 2.1mm標準 1
RCAコネクタ 赤・白 1
トグルスイッチ on-off 1回路 1
ユニバーサル基板 C基板 1
金属ケース タカチ電機工業 MB7-5-10 1
ACアダプタ 12V 900mA 1
シールド線 1芯 1m 1
ネジ・導線 適宜

回路

回路はオリジナルとほぼ同じ。変更点は入力の直流カット用コンデンサをなくしたこと、出力カップリングコンデンサの容量変更、出力抵抗を追加したこと。
回路図
作っていて面白いと思ったところは、本来は可変電圧レギュレータであるLM317を定電流回路としているところ。オリジナルのサイトによると、「6DJ8はDC6.3Vの低電圧または300mAの定電流で動作する」と説明がある。この回路では、真空管のヒータに定電流を流して動作させようとしている。この場合はLM317のVoutとADJ端子間に抵抗を挿入することで定電流回路とすることができる。この抵抗R=1.25[V]/0.3[A]=4.2[Ω]の計算式で求められる。問題としては、入力がDC12Vであるので損失が6V程度ある点である。実際にレギュレータは音量にかかわらずかなり発熱する。素子の破壊を防ぐためにケースにネジ止めすることで一応放熱はできるようにしている。

製作

ケースの加工

ケースはタカチ電機工業MB7-5-10を使用した。なるべくコストを抑えつつ、見た目の良さと強度がほしかったのでこの型番を選定した。ケースの前面にはトグルスイッチ・ボリューム・イヤホンジャックの穴を、後面にはRCAコネクタ、DCジャックの穴を、上面には真空管ソケット用の穴を加工した。大きい穴はドリルだけでは開けられないので、リーマー等を使用する。
穴開け加工

基板

特に複雑な配線をしているわけでもないので、基板加工機を使わずに、コンデンサとオペアンプはユニバーサル基板に配置した。出力コンデンサはあとで交換するためにピンソケットに刺せるようにした。

配線

主にオーディオ信号が通る部分(基板 ⇔ 真空管ソケット、基板 ⇔ RCAコネクタ、基板 ⇔ ボリューム・イヤホンジャック)にはシールド線を使用した。

ケースへのグラウンドはレギュレータの固定用ネジにタマゴラグを取り付け、グラウンドループができないように一点だけで接地している。シールド線が思った以上に固くて引き回しに苦労した。ちなみに、普段の製作だと電源投入確認用にLEDをつけているが、今回は真空管のヒーターが点灯するのであえて趣を出すために取り付けなかった。

完成!!

動作確認

一本の値段が3500円する真空管を壊したくないので、配線を間違えていないか、ショートしていないか念入りにチェック!電源を投入すると真空管のヒーターの暖かい灯がほんのりと見える!電源を入れた直後はイヤホンからは音は出ない。30秒ほどして真空管が温まると接続したオーディオプレーヤーの音楽が聞えてきた。これが真空管の音か思うと同時に、「真空管を温める」という行為を人生で初めて体験することができた。

使ってみて

音質に関して、筆者は素人なので善し悪しについて深く語ることはできないが、普段使用しているワイヤレスイヤホンのようなデジタルらしい音ではないと感じた。もちろん、入力ソースはWalkmanなのでデジタル音源ではあるのだが、リニアな出力特性ではない真空管特有の歪みがあると感じた。
改良の余地として、一番気になったのがノイズである。シールド線で配線したのにもかかわらず接続するイヤホンのインピーダンスによってはかなりのホワイトノイズが常に聞えてしまう。一応イヤホンのインピーダンスが大きく(32Ω以上)になると軽減されるが、筆者がメインで使用しているのはインピーダンス16Ωなのでかなり耳によくない。真空管アンプ製作では、ユニバーサル基板よりもラグ板が多く使われているので、その辺の配線の引き回しの影響が大きいのだろうと思われる。

参考にしたサイト

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