仕事が遅いなりに工夫してどうにかしてること

これはなに
こんにちは、仕事の遅いもりたです(自己紹介)。
生まれてこのかた、仕事を素早く進められた試しがありません。そんなわたしですが、直近プロジェクトを担当してすこし忙しい時期がありました。どうしても仕事を早くこなしたいがために試行錯誤しているうちに、これまでの仕事はやる気や精神力に頼りすぎていたのでは? と気づくことになりました[1]。
今回はそこらへんをお伝えします。
構成
構成
構成は以下です。
- 仕事が遅くなる仕組み
- 仕事が遅いのは精神力に頼っているから?
- 対策
- 環境作り
- 準備
- 履行
- おわりに
最初に仕事を遅くする要因を整理し、続いて今回の記事のメインテーマとなる「精神力で仕事をこなそうとすると大変」というポイントについて説明します。
その後、今回私が実施した対策を列挙し、おわりという流れです。
それでは参ります。
仕事が遅くなる仕組み
最初にAs-Isの状態を示すことで、仕事を効率的にこなす上での障壁がどこにあるのかを明らかにしたいと思います。
仕事を進める上でのブロッカーにはいろんな種類があります。例えば難しい仕事を前に悩んでしまうことだったり、特にみる必要もないのにSlackのtimesチャンネルばかりを追いかけてしまうようなものもあるでしょう。
ただ、理屈で行くとこれらは二種類に分けられるはずです。

さらに細分化してみましょう。まずは「時間を投下していない」です。

続いて、「時間は投下しているが、効率が悪い」についても考えましょう。

ここで前提として「やらなくても良い仕事をやっている」や「効率の悪いツール・開発手法を使っている」などの問題ももちろん出てくるわけですが、今回主眼におきたいのは個人の作業効率の話であるため、取り扱いません[2]。
仕事が遅いのは精神力に頼っているから?
上記のような問題を見渡したとき、「やる気や精神力に頼っているから仕事が遅いのでは?」という観点からアプローチするのが今回のご提案です。これはどういうことでしょうか?
先ほどの問題点一覧に対して、インラインで補足を入れてみましょう。
まずは「時間を投下していない」から。

続いて、「時間を投下しているが、効率が悪い」。

いくつかの例外はありますが、タスクの履行中に現れる様々な問題点に対して、やる気や精神力で乗り切ろうとする場面が多すぎますよね?
わたしはこれまで、上記のような問題はやる気や精神力で乗り切るものだと思っていました。周囲はやる気にまつわる問題があっても気力でどうにかしており、そこで気持ちが切れる自分は怠惰なんだろうなあと感じることが多かったです。
世の中には、寝食忘れて何かに打ち込めるのが良いだとか、やる気がなくてもプロとして仕事をしろだとかの言説[3]に一定の支持が集まります。後者はやる気に頼っていないように見えて、やる気がなくてもその代わりとなる精神力でどうにかしろと言っており、実は似たような考え方です。この背景には、人間を行動に駆り立てるなんだか分からない意志の力があるという考え方があるのだと思います。
ただ、それって幻想なのでは? と今回考えてみることにしました。
もしこれらの問題を精神力に頼らず解決できたら、仕事の効率は上がりそうです。
以降ではそんな対策方法について考えていきます。
対策
というわけで、「仕事の履行上に現れる問題」を精神力なしに片付ける方法を考えてみましょう。戦略は三つ「環境作り」「準備」「履行時の注意」です。かつ基本的な考え方として、「問題が起きないようにする」というポイントにも気をつけています。
環境作り
まず初めに環境作りです。
みなさん「ナッジ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? これは行動経済学などにおける概念であり、人の意思決定には環境が影響を与えるとしたものです。これ自体はかなり広い概念なんですが、今回の例だと、環境に目をむけることで「仕事の履行で必要になる精神力」を軽くすることができます。
例えば、以下の問題です。
- 着手するまでに腰が重い
- 着手するが、途中で他のことをやっている
これらの例には作業者を仕事から遠ざける「悪いナッジ」が隠れています。具体的には仕事のデスクでスマホばっかり見てるってことなんですけど、仕事机にスマホがあるのがダメだと思いませんか? スマホがあり、通知がくるというのが悪いナッジになっているというわけです。
悪いナッジ回避のために、わたしは自室の入り口横にスマホを置くためのスペースを作りました[4]。iPhoneのスクリーンタイムアプリで確認したところ、一日で1時間分、スマホを見る時間が減っていました。
スマホの置き場所を変える以外にも実施したことはあります。デスク周りに積み上がっていた書籍や仕事に関係ないものを作業机から移動させました。これらは仕事中の集中力を削ぐ要因になっていたため、これらを視界からなくすことはすぐにできる簡単な一歩だと思います。
準備段階
続いては準備です。「仕事は段取りが九割」みたいなフレーズ、聞いたことありますよね。よくある段取りの内容は以下のようなものです。
- タスクの着手前に、そのタスクが何をやるタスクなのか整理する
- タスクを細分化して、見積もる
- タスクをスケジューリングする
これらも意思決定に必要な精神力を減らす役割があります。ひとつずつ見ていきましょう。
タスク内容を整理する
最初に挙げるのは「タスク内容を整理する」ということです。
この作業で具体的に行なっているのは「不明点の洗い出し」「依頼者との合意」です。タスクに着手したはいいものの、依頼内容があやふやだったり、他のタスクとコンフリクトしているといった状況、ありますよね。しかもその確認のためにまず依頼内容を理解して、書いてない相手の気持ちを推察し、すり合わせのためにメッセージを書いて...そんなことをして終わってしまった午後がみなさんにもあるのではないでしょうか。
人の気持ちは代表的な不確実性です[5]。その不確実性に向き合いながら意思決定をやろうとすると、心理的に大きな負荷がかかり、悩んでしまってタスクがスタックする要因になりがちです。
確認が必要な物事は最初に洗い出し、依頼者と合意することで、あとはやるだけの状況を作れます。
タスクの細分化と見積もり
タスクを細分化し、それぞれどれくらい時間が必要なのか見ていく作業です。
細分化には以下のようなメリットがあります。
- どんなタスクなのかのイメージをつけやすい
- 一つ一つが小さくなるので、着手時の心理的な負担が軽い
- 実施する上でも細分化されていると見積もり時間を目指して作業しやすい
この細分化の際に重要なのが、意思決定と作業の分離です。
人が悩むのは意思決定が発生したタイミングです。単純な作業でも途中にいくつもの意思決定が挟まれば、その都度集中状態から抜け、意思決定し、またやる気を出して集中しなければいけません。
しかし、意思決定が必要なタスクをあらかじめ明らかにして分離しておくことで、作業をなるべくまとめてることが可能です。また、どんな意思決定タスクがあるのかわかっていれば、そこで詰まりやすいと周囲もわかるし、困ったら相談しようと気楽な状態で進めることもできます。このように作業と意思決定を分離することで、作業と意思決定どちらも楽に進めることができます。
また細分化の際の注意点として、サブタスクは実行順に作った方が良いという点があります。
例えば、実際の作業が「作業①→相談→作業②」と進むのに、サブタスクを「作業→相談」と分解してしまうのはよくあることです。これをやると、「作業②は相談の内容を反映させるだけだから...」などと工数を計上し忘れることにつながります。
サブタスク一覧を見た時にきれいに分解できていないと感じても、実施の予定を愚直にずらずらと並べた方が履行しやすいとわたしは感じました。
スケジューリング
最後の準備はスケジューリングです。
これはシンプルなようでとても大切な行為です。スケジューリングにはいくつものメリットがあります。
- 今日どの順番で何をどこまでやるかが明確になっているのは大切
- 着手する瞬間に何するか悩んだり、今日どこまでやればいいのかの判断が不要
- 履行できなかった際、進め方を振り返ることができ、改善の起点となる
特に上2つがわたしは気に入っています。机に座った瞬間に何をすればいいかわかっていると、すぐに仕事を始められますし、仕事を終えるタイミングも掴みやすくなり、ちょっと頑張るきっかけがもらえたり、逆に今日はもう休んでいいんだと切り上げるきっかけになったりもしています。
履行
さて、ここまでの環境作りと準備は全て、履行段階で集中して物事を進めるためのTipsでした。環境を整えることで集中を切らすものを身の回りからなくし、意思決定と作業を分離することで悩む要因を排除するというものです。
その上で履行中に気をつけたいのは、大きく2点です。
- 気持ちが途切れないような工夫
- 気持ちを高める工夫
まずひとつ目の「気持ちが途切れないような工夫」について。
ここではポモドーロテクニックの手法が使えます。これはキッチンタイマーを使って25分の作業+5分の休憩をワンセットにしてタスクを進める手法のことなんですが、作業中の重要なルールとして、ひとつのタスクをやっている最中は他のタスクに絶対に手を出さないというルールがあります。
たとえば、なにか考え事をしている最中にどうしても郵便受けになにか届いてないか気になってしまうこととかあると思うんですが、それを許しません。かわりにタスクリストの一番下にそれを書きます。
人間はメモを取ることでメモリを解放できるので、メモをとるとあまり気にならなくなります。
次に「気持ちを高める工夫」です。
これはやる気自体を増す工夫なんですが、最も効果のあったモチベーションの向上方法は「仕事をやる」でした。
科学的に証明された すごい習慣大百科によると、人間のやる気というのはスイッチのように入るのではなくキックスターターで指導するエンジンのようなもの。最初に強制的に動かしてやるとエンジンが回転し始めます。高いモチベーションが常にあるからやれるのではなく、とても簡単なレベルにまで細分化されたタスクが目の前に置いてあれば、自然と手を伸ばしてやり始め、次第にやる気も増してくるというわけです。
そのほかには緊張感を持たせるという手法もあります。例えばアジャイルを導入しているならばスプリントプランニングでそのスプリントのタスクを確約し、毎日の朝会で進捗を確認しましょう。そうやって履行に対しての緊張感を与えるとやる気も上がってきます。
おわりに
以上、もりたが最近気がついたタスク履行のコツでした。
これまではタスク履行中にやる気を出して解決しないといけないことが多かったんですけど、意思決定をタスクから排除し、なるべく作業に集中できる環境を作ることでやる気を出すタイミングを減らすことを意識しました。また、やる気の必要になりがちな意思決定は悩みやすいポイントなので、抱え込まずに適宜人に相談するなどして進めちゃうのがいいかと思います。
そんな感じで、今後も頑張っていこうと思っています。Bye...
参考
- 『決定版 仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』
- 段取りが九割本
- 『科学的に証明された すごい習慣大百科』
- 良い書籍でした。最初の30ページくらい読むだけでも十分嬉しい
- 『エンジニアリング組織論への招待』
- 不確実性についてなんか書くと常にこれを参考書籍にしてしまう
- 『ポモドーロ・テクニック入門』
- なんでもいいんですがこれを自分は読みました
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あと夏休みに子どもの勉強を見ているうちに、タスクの進め方ってこうだな...と気がついたのもある ↩︎
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ただし本来もっとも手を入れるべきなのはそこ ↩︎
-
充電器をそこに置いた ↩︎
-
『エンジニアリング組織論への招待』に書いてありました ↩︎
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