Claude Code Max(100ドル)を会社支給にするまでに考えたこと・試したことまとめ
2026年の年始から、Claude Code Maxプラン($100)をマナリンクの開発チーム全員に会社支給とすることにしました。
当記事ではそこまでに至る経緯と、決定した理由、今後の展望などをまとめます。
誰向けの記事なのかよくわからない内容になりそうなのですが、
- 会社支給内容を決める側の立場の方
- 小規模の開発組織(弊社のような)でAIコーディングを活用するにあたって、どういうスタンスを取っているかが気になる方
- 色々な会社のAIコーディングへのスタンスを知って、今後のキャリアの参考にしたいエンジニアの方
といった方々に読んでいただきたいです。
これまでの流れ(ざっくり)
開発環境系に限って会社支給内容を振り返ると、以下のようになります。
2024年ごろ: IDE利用料(選択可だがJetBrains推奨)、GitHub Copilot、ChatGPT Plus
2025年ごろ: IDE利用料、Cursor Proプラン($20) + 多少OverしてもOK、ChatGPT Plus
2026年から: Claude Code Maxプラン($100) + ChatGPT Plus
という感じで、これまで全くAI開発環境を支給してこなかったというわけではないのですが、市場の中から10〜20ドルに収まりそうなものを優先して選んできた背景があります。
ちなみにこの流れを経たからというと変ですが、Codexも普通にPlusプランで使えるので、Claude Codeにガツッと実装させてCodexにレビューさせるみんな大好き(?)な業務フローも支給範囲内で組めます。
また、重要な点なので最初に明記しておくと、弊社の開発チームは創業当初からずっと5人以下という少人数体制を続けています。
100ドルは、高い
世の中にはもっと大盤振る舞いの会社もあると思うのですが、個人的にはやっぱり月額100ドルは高いです。
後述しますが私は昨年秋ごろから個人開発などでClaude Code Max($100)を契約して使っていましたが、それでも会社で支給する判断にするには数ヶ月の検討期間を要しました。
一定以上の金額の支給を決めることのデメリットとして、たとえばサンクコストが働きやすいことが挙げられます。Cursor Pro($20)でもそこそこ書けるし、今後も進化すること等も考えると、たとえば$100支給を決めたそばから別のツールが大外からまくってきて、でも今更後には引けないよなってなり、Claude Codeに不本意ながらしがみつくようなことにならないのか。とか、
あとは一定以上高額だと、会社としても色々活用してよ〜と思ってしまう(思うべきですよね)ので、メンバーに使ってもらうためにあれやこれやする、でも使わない人もいる、みたいな虚無の時間軸が発生する可能性、とか($20くらいなら支給額だけ決めて好きに使っていいよって言ってもいいと思いますが$100になるとさすがにツールも統一したいですし)考えると、まあなかなか決断できなかったという感じでした。
前提として、100ドルがとても高いと思っているので、次節以降に書くようにやたらと慎重に検討しているというふうに読んでいただければと思います。
個人的に使ったAIコーディングエージェントとその感想
少なくとも2025年中〜2026年年始までに、私は個人的な課金および会社支給を併せて以下のようなコーディングエージェントを検証しました。
- Cursor
- Codex
- Opencode(+ZLM 4.7 ※実は今もZ.ai Coding Plan加入中です)
- Opencode(+Codex)
- Opencode(+Opus4.5 ※禁止が公言されるまでの一瞬の間、正直言うと試した瞬間があります。今はもうやめたほうが良いらしいですね)
- Junie(PHPStormについてくる。追加で課金すると割と使える)
- Zed(個人的に期待しているエディタ。AI利用のためのPaid Planがある)
- Google Antigravity
- (あと2025年中となると嘘ですが最近Kimiも使ってみました)
社のソースコードは(基本的には)会社支給のAIコーディングエージェントにのみ触らせていますが、幸いなことに私は個人開発もやっているし、開発したいけど手が回っていない個人開発アイデアのストックが山程あるので、個人開発のコードをこういった様々なエージェントで、同じようなタスクを振ってみて比較したり、様々なMCPと連携させたうえでの挙動を見たり、あえて雑に振ってみてどう振る舞うか見たり、UIデザインなど言語化しにくい領域にどの程度のどんな内容の成果物を上げてくるかなど観察しました。
長くなるのでざっくり所感をまとめつつ、最終的にClaude Codeに行き着いた判断に話を進めていきます。
Cursor:良いところも多いが、決め手に欠けた
Cursorの良いところは以下の通りだと感じました。
- composer-1はとにかく行動が速い。
- Browserを開いて検証モードのようなもので指定するとエージェントに渡せる機能があまりにも便利
- 直ぐに他のコーディングツールの仕様を取り込んで全部行けるよ、というスタンスが割り切っていて逆に素敵
- VSCodeベースなので、VSCode好きな人にはたまらないと思われる
逆に、欠点だと感じたところは以下の通りでした。
- Claude.mdもAgents.mdもいけるといった仕様が仇となり、何が読み込まれて何が読み込まれないのか徐々にわからなくなってきた(これは、チーム開発に導入かつ、Codex利用者もいれば、Claude Codeを試してみたよっていうメンバーもいるといった状況下で発生)
- 割と毎日重くなる時間帯が有る
- composer-1がQuotaに達したときにAutoが一応使えるが、Autoのレベルがあまりにも低い(いっそ使えないほうがマシ説)
- マナリンクではバックエンドがPHPなのですが、そもそもVSCode自体がPHPの設定をJetbrains並みにするのが難しい。これに関連して、創業以来ずっとPHPStorm漬けになっている我々(特に私ですがw)にとって、VSCodeを強制されるのが辛い
- 課金プランにおいて、$60のプランが中間にあるが、説明が不明瞭
- Usageを最大$10に設定していても、使っていると$10.83になっている、みたいなことが多くて、ちょっっっっとお金周りの信頼度が低いと思ってしまった
Codex:相当良いけど、”これ一本”で行くには、エコシステム度が低く感じる
ほぼこれの裏返しがClaude Codeを選んだ理由では有るのですが、
- 大前提として、Codexのコーディング能力は相当高いと思う
- 何からやったら良いかわからないくらいの問題に対して慎重にでも確実に論点を漏らさず進める能力が高い
という長所と引き換えに、
- コミュニケーションを取れば取るほど、お馴染みのGPT節(「それ、やっぱり本質。」「このバグに”刺しに行く”実装です」)が出てきて、得も言われぬ辛さを感じる
- ここはルーズでいいからとりあえず前に進んでよ、という局面でも毎回確認を求めてくる
- Claude Codeと比較すると、エコシステムの巻き込みがまだ追いついていない印象(これはあくまでSkill等のトレンドを作るのが上手なのが、Claudeの方、というただの印象論です)
という感じと、
- $20の次が$200なので、さすがにちょっと高すぎるというか遠すぎる
感覚があって、これも会社支給なら$20の方にとどめておくかなぁという印象でした。
他のツール
Google Antigravityは相当良かったです。個人開発が相当捗った記憶があります。Geminiの性能も高いです。ただ、最後発ということもあって、使い始めてすぐにここの作りが甘いな、というところとか、大量に使っているとすぐに重たくなってくるとか、そしてそういうのがなかなか改善されないとか、そういったCursor、Claude Code等と比べた本気度みたいなところで、会社支給には出来ないな、という立場に至りました。
あと、Google Antigravityで新規サービス組ませるとめっっっっちゃUIが良いです。個人開発したいけどデザイン自信無いニキ各位に於かれましては一度試してみると良いかもしれません。
Opencodeはモデルそのものというよりハーネス?としての仕組みの完成度が高いですし、個人的にはこれからも見ていきたい(特にコマンド実行時にCI=trueつけて実行するとかは、賢いアプローチだなぁと思ってみてます)のですが、まあ、Antigravityと近くて、ちょっとメインストリームから外れているし、外れていることから起算してアプローチを取っているタイプのツールを会社支給にはできないかなという感じです。
(書いていて思ったのですがOpencodeの支給って言葉が変ですね。Z.ai Coding Planとかを支給して、Opencodeを通して使うことをデファクトとしてチームに広める、というのを指していると解釈してください)
要するに安くて同等以上の性能を謳うモデルは今後もたくさん出てくると思うのですが、別にOpus4.5自体が性能低下するわけではないので、余程のことがない限りClaude Code自体をやめましょう、にはならないんじゃないかな、でも$100プランを$200にするくらいなら他のモデルと併用して感性を磨き続けておくのは良いかもね、みたいな気持ちです。
Opus 4.5が一番人間に近いと感じた
一通り触った結果、Opus4.5が一番人間に近いと感じました。年末年始に実家に帰ったときに、Opus4.5に「えきねっとで帰りの新幹線探して」と依頼したとき、Chromeを操作してかなりの数の一般常識を問われる&えきねっと特有の超高難度UIを突破して、「翌日の早朝6時発なら空いてますけど現実的じゃないですよね。ほかは全部埋まってます」と言ってきたときに、こりゃもう人間じゃないかと思いました。
また、これは合う合わないがあると思うのですが、Claude Code全体的に、「雑に指示したときや、雑に向き合ってもいい命題のときは雑にこなして、しかし、高難度の依頼とか、道中で意図しない事象に出会ったときには、しっかり手を止めて確認してくる」の塩梅が、弊社の開発の温度感とかなり近く、若干スタートアップっぽい開発スタイルの方に迎合してくれている印象を受けました。
他のモデルまたはコーディングエージェントは、どこかまだAIとやり取りしている感じを受けます。まあ、Codexに関してはもう人間の言語で表現できる知性を超えつつあり、愚かな人類に向かって頑張って人間の言語を使ってくれているっていう話かもしれませんが。。。
会社支給にした理由
ではここまででClaude CodeおよびOpus4.5自体の優位性の説明はそこそこできたので、それはそれとしてMaxを会社支給にした理由というのを述べていきます。
前提: 朝から晩までずっとAIコーディングの状態に耐えうる最低ラインが$100である
Codexは割と大盤振る舞いですが、Claude Codeの$20とか、Cursorの$20とかは、間違いなく、朝から晩までAIコーディングできるQuotaではありません。つまり、これくらいの金額帯の支給かつ、それに素直に開発者が従った場合、本当にほとんどすべての開発をAIコーディング以下に置くという世界線にはどうあがいても持っていけないことになります。
前提その2: AIコーディングのお陰で問題解決できたケースと、AIコーディングのお陰で工数が大幅短縮できた例の両方が積めた
前者は、ネイティブアプリのちょっとややこしいバグを踏んで、React Nativeのありえないほどの数のIssueを見て回りつつ手元のコードと突合して原因特定しないといけないようなケース。こういう場合に役に立つケースがしっかり実績として弊社内で積めてきたこと。
後者は、SEOサイトマップなど、とにかく大量の実装が必要だけど、形式自体は標準化されているもので、しかしたまに急に実装しなきゃいけなくなったらそのフォーマットを思い出すのに一定工数かかって面倒だっていうものに対して、従来の感覚からはありえないほどの効率を出せたこと。
そして、そういった種別のタスクが、弊社内での開発タスクでは、一定以上の確率で起きるタイプの事業、事業規模、チーム規模、問題解決スタイル、事業フェーズであるということ。
その辺の考えや実績が進んで、よりAIコーディングに会社として向き合う合理性が生まれてきました。
メンバーが自発的にClaude Codeを使い始めた
CursorとChatGPT Plusの支給だけにしているうちに、開発メンバーが自発的にClaude Codeも試し始めました。ただ個人で$100払うのはさすがに厳しいので、全員が$20で試して、Opus4.5をあまり試せずに、Sonnet系だけで試して、これはCursorと大差がないかもな、といった結論に至っていたりしたのです。
そこでOpus4.5の人間度を知っている自分からするともったいないというか、これはもしかして、Opus4.5を知っていてかつ、ほとんど手打ちコーディングしないレベルでぶん回している人と、そうではない人の間にもそこそこの壁があるのではないかという気がしてきました。それに、CLIベースで閉じてAIコーディングするのはちょっとキャラが濃いかなと思っていてGUIのほうが優しいか〜と自分なりに思っていたのですが、各自が自分でClaude Code試すくらいなので、CLI中心にしましょうというのも提案してチームに浸透しやすいのかな、と思えてきました。
今後のIT企業の一つの形が見えてきた
最後にこれが一番大きな理由なんですが、「比較的少人数の開発チームで、従来できなかった規模のサービスを開発運用する」というのが今後のIT企業の1つの形であろうということ、そしてその形と今の弊社がそこまで乖離しておらず、ここでAIコーディングをチーム全員で取り組むことが、チーム全員のキャリアに、今後含めてその選択肢を取った企業でのキャリアを積める選択肢を提供できそうだと思えてきた、ということがあります。
なんか長ったらしい説明になったのですが、要するに「少人数でAIコーディングで爆速開発しつつその課題に向き合っていく経験っていうのは、今後のキャリアで無駄にならなさそうだから、全メンバーにおすすめできる」という見解に至ったということです。
このテーマについて詳しく書くと色々とあれなので割愛するのですが、簡単に説明すると、
- 現時点で、すでにエンジニアが100人いる組織が、慌てて10人に減らすことはない(し、より大人数ならではの課題解決に取り組むことになると思う)けど、
- 現時点で、エンジニアが10人いる組織が、慌てて100人規模に成長させるぞ!って思うケースは、従来よりは減りそう(もちろん必要なビジネスモデルもあると思いますよ)
- このとき、選択しなかったケースの組織が、一定人数以下の開発組織で、より安いコストと高いアジリティでサービスを提供し続ける選択肢を採る
みたいな考え方です。
そしてここから先はあまり言語化できていないのですが、そういった世界線だと人間の脳が認知できる仕様の量がボトルネックになったり、同時並列で捌けるセッション数がボトルネックになったり、自分の不得意領域に関してAIが出力した結果を過度に盲信してしまう悪い認知バイアスがボトルネックになったりすると思うので、そのへんに向き合って仕組み化したり、実績や修行を積んでいくというのが必要になりそうかなと思っています。
そしてこの辺の課題を解決できれば、従来より安定した経営環境下で広い領域のサービス開発をしながらも、一方でSkills等の形で自分の専門分野について極めて、極めたものをチーム内にGiveしていくようなことができると思われます。得意領域を持ちつつ、機能開発は幅広く行いたいT字型のスキルセットにおいては、より良い時代になっている可能性があると思っています。
事実、Claude Code正式導入後1ヶ月満たないうちから、テスト基盤やテスト戦略を考えるのが得意なメンバーが、agent-browserやMaestro MCP等を用いて、AIが自律的に自分が開発したタスクを即座にローカル環境で演習して動作確認してくれる仕組みを整えて、E2Eテストでサポートできない部分を拾ってくれる仕組みにチャレンジしています。
最後に
最後にもう1つお気持ち的なことを書いておきます。それは、AIコーディングは必ずしも速度向上だけが嬉しいというわけではないということです。
他の企業に当てはまるかわからないのですが、とにかく爆速で大量に開発しても、テストが追いつかなかったり、ユーザー向けの告知が追いつかなかったり、そもそも品質が落ちてバグが増えて満足度が落ちたり、良いことばかりではないはずです。
そこで自分がチーム内に伝えていることは、「同じ時間でより高品質なものを作る」ということにAIコーディングを使うという考え方も有りでしょう、ということです。
従来1日かかって作っていたものをAIが1時間で作ったからと言ってそのまま1時間で出すだけが正義じゃなくて、じゃあ余った7時間のうち、3時間を監視・ロギング・よりカバレッジの高いテスト・高パフォーマンス・多様なユーザーデータの考慮等々に当てて、さらに1時間を実装前に複数の設計案を横並びで熟慮する時間に当てても、なんと5時間で、従来自分たちがやるよりも幅広い観点でより安定した運用ができそうな機能に仕上がるわけです。
かくいう私も、今週AIにガツッと書かせたコードを、この程度の施策なら普通に大丈夫だろうと思ってリリースしようとしたらすんでのところで思いっきりバグっているのに気がついて、冷や汗かきながら全部破棄してSubAgentとSkillを書き足して再生成させて、よしよしこれで良いだろう...みたいな動きをしたので、精進します。
ということで定番のやつ
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