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LuupのEMとして今考えていること

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こんにちは!株式会社LuupでEngineering Managerをしている瀧川です。

この記事はLuup Developers Blog Advent Calendar 2025 14日目の記事です。

Luupでは電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を提供しており、日々多くのユーザーに利用いただきながらサービスを成長させています。
その中でソフトウェアエンジニア組織についても、よりよいアウトカムを生み出すために、開発プロセスや組織体制のアップデートを日々重ねています。

私がLuupにジョインしたのは2025年5月で、今で7か月ほど経ったところなのですが、現在UserProduct GroupというLUUPのモバイルアプリ開発を担うエンジニア部隊のマネジメントを担当しています。

BtoBのWeb業界で長くエンジニアをやってきた私としては、Luupの事業・組織・技術はどれも新鮮で、戸惑うことも多いです。
今回はそのギャップも含めて、年末の振り返り兼ねて、私がLuupのEMとして今(2025年12月時点)考えていることをまとめてみようと思います。

組織づくり・開発プロセスについて悩んでいるEMの方やLuupについて知りたい方に少しでも参考になれば幸いです。
※ ずばりこれをやって良かった!というナレッジ記事ではないので、共感はできても参考にはならないかもしれませんが汗

前提となるLuupのソフトウェア開発体制

現在、Luupのソフトウェア開発は、PdM, Designerが所属するCOO室、モバイルエンジニア(iOS, Android)と通信するバックエンドのエンジニアが所属するUser Product Group、そして開発体験やアプリの品質担保、技術支援を担っているPlatform Groupという3つの組織が協調しながら開発を進めています。

Platform Groupは、2025年7月から正式に組織化しており、ミッションの明確化やリソースの集中、Platform Group内のチーム連携強化などを通して、より効果的に作用するように働きかけをしています。

組織体制

※ "Ops"はLUUPのサービス維持・向上のために発生する様々なオペレーションを最適化するための社内アプリケーションです。少し毛色が違いますが、現在はPlatform Groupに属しています。

LuupのEMとしての関心事

EMの職務は一般的にも多岐にわたりますし、LuupにおけるEMという職能も定義されているわけではありませんが、目指すところはシンプルで「ソフトウェアの開発を通したアウトカムを最大化する」ということに尽きるかなと思います。

そのための手段として、ピープルマネジメント、テクノロジーマネジメント、プロジェクトマネジメント、プロダクトマネジメントと幅広く分類され、それぞれに対してどの程度コミットするかが組織や人によって変わるのだと考えています。

私が現在Luupで重心を置いているのは、開発プロセスの改善、技術投資戦略、採用戦略であり、それらに関わる関心事を具体的にいくつか挙げていきます。

1. 開発の自己組織化

現在、LuupではPdM、Designer、Engineerによるクロスファンクショナルなチームを編成し、スクラムに倣った開発プロセスを回しています。
かなり安定した開発サイクルを実現できている一方で、いくつか課題も感じています。

エンジニアの主体性

現状、機能開発に際してはPdMがPRD(Product Requirements Document)を記述し、「Why(なぜ作るのか)」「What(何を作るか)」を明確化しています。
このPRDをPdMが記載し、共有するプロセスは非常に素晴らしいです。
一方で、Whatはエンジニアの技術的専門性や批判的思考を活かして、よりよいものにできると考えているものの、今の開発プロセスではまだまだ伸びしろがあるように捉えています。

また関連して、エンジニアがロードマップに対して、目まぐるしくタスクをこなしている状況もあり、上記課題を増長させているように感じています。
安全対策、グロース施策、利便性向上、新規PoCなど幅広いテーマについて少人数で開発を進めているため、上述のような状況になりやすいのはLuupの特徴でもあるかなと捉えています。
これはコンテキストスイッチも大きいですし、ふとしたときにメンバーがバーンアウトに陥るようなリスクも感じています。

これらの課題に対しては、PRDについてDesigner, Engineer含め議論する時間をとるような会議体の工夫や、なにかしらの境界(目指している指標ごと、など)でチームを分けるなどの工夫も必要だと考えています。

計画の柔軟性

ロードマップに対して目まぐるしく開発していると少しネガティブな表現をしましたが、実は今の開発組織の素晴らしいところでもあります。
これまで期初に立てたロードマップから大幅に修正が必要になったり、未達したりといったことはほぼ起きていません。
これは開発チームとして、大切な責務を果たしているといえるため、計画精度の高さ・実行力が素晴らしいと考えていて、維持すべき組織のケイパビリティだと考えています。

一方で、不確実性の高い機能開発が増えている現状では、ロードマップを守る意識が強すぎると機能検証のサイクルを回しきれないというリスクもあると考えています。

柔軟に計画変更できるようにトップダウンのロードマップと、ベロシティに基づいて実行計画を都度立て直す運用の両立へとシフトしていきたいと考えています。
そのために開発に関わるデータ取得・可視化の仕組みづくりや、それらを活用した会議体の設計に現在力を入れています。

2. モバイルアプリ開発の最適化

LUUPは多くの利用者を抱えるアプリとなり、必要十分な機能は提供できていると考えています。
一方で、今後については、非連続なユーザー価値創出などを狙って難易度が高く、不確実性も高いものに挑戦していくことが重要だと考えています。
そして良い機能を早くユーザーに届けるには、アプリ開発速度の向上と検証効率の向上が非常に重要になってきます。
そのうえでモバイルアプリの開発について、いくつか考えていることがあります。

ネイティブ開発の現状と課題

現在、iOS・Android両方ともネイティブで開発しています(Swift, Kotlin)。
LUUPアプリでは、MapやBLE(Bluetooth Low Engergy)などを利用することが多く、またUI/UXを重視していることもあり、安定性やパフォーマンスが高いレベルで求められます。
そのため今のところネイティブで開発していることは、合理的な判断だと考えています。

しかし、これから不確実性の高い機能開発が増えると考えると、2つのプラットフォームで同時に開発することは検証結果いかんでは手戻りが大きく、リソース効率が悪いというシチュエーションが増えそうです。

それに対して「Flutterなどクロスプラットフォームは?KMM(Kotlin Multiplatform Mobile)は?」という問いがあるかと思います。

仮に上記意思決定をした場合に、前述した通り安定性・パフォーマンス・開発生産性を維持できるか、モバイルエンジニアと議論してきましたが、三者三様の意見があり現状で明確に舵を切るのは難しいと感じているのが正直なところです。
※ 中長期では検討テーブルには乗りますが🤔

ではどうするのかですが、現在は片側先行開発を採用しています。
これはiOS, Androidどちらかのプラットフォームを優先して開発・検証をし、一定結果がでてからもう一方のプラットフォームも追従するという方針です。

これはリソース効率という意味ではある程度課題が解消できているのですが、一方で追従する側のモチベーションや、チームとしての提供価値をどうしていくのかが、私にとっては強く関心を持っているところになります。

ジャストアイディアではありますが、これからはまず追従する速度を上げることとマインドシェアを減らすことが重要ではないかと考えています。
同じ期間開発していては本当に追従するだけになってしまうので、要件・仕様がFixしていて、参考になるコードがあるわけなので、あまり考えずにすぐに追従できることで余力を生み出すようにしていきたいです。

そしてその余力が大きくなれば、両方のプラットフォームで別の施策を動かしていくこと(プラットフォームが別れていることで効率の良い検証ができないか、など)や、片方のプラットフォーム開発にリソースを寄せてしまうなど、戦略の幅が生まれるのではと考えています。

理想論のように聞こえるかもしれませんが、AI技術の台頭で現実的にもなってきている肌感があるので、積極的に探っていきたいと思っています。

3. Platformとの協働

前提で記載した通り、Luupのソフトウェア開発部隊はUser Product GroupPlatform Groupがあります。
Platform Groupは主にDevEx(開発者体験向上)、Tech Enabling(技術開発・支援)、SRE・QA(品質担保・向上)を担っています。

AI技術の台頭含め、いかに開発速度を向上させるかは重要ですし、中長期のサービス価値向上のための技術開発・検討も重要です。また、いつでも安心・安全に使えることがLUUPの大切な価値でもあるため品質も重要です。
重要なことばかりなので、組織を切り出したという背景があります。

組織が分かれることで生じる課題

組織として切り分けると、いくつか問題も出てきます。

アプリ開発(User Product Group)はマイルストーンに基づき、2週間のスプリントという枠組みで開発を進めています。
そのなかで優先度をつけ開発していますが、どうしても重要度は高いが緊急度が低い施策が落ちがちなので、これをTech Enablingの文脈で実施できると良さそうだと考えられます。

ただそういった施策を、いつどういったタイミングでPlatform側はキャッチアップしていくのか、User Product Groupとしてはどうやって依頼していくのか、そういった座組がまだまだ整っていないと感じています。
現状はマネージャーや担当者が適宜コミュニケーションを取れているため、大きな問題はありませんが、今後より効果的に機能させるには会議体・ドキュメンテーションなど情報共有・連携の仕組みを整える必要がありそうです。

SRE・QAとの連携強化

別の話で、スピードと質の両立のためによりSRE・QAとも連携していく必要も感じています。
今後の開発では検証スピードの向上が重要だとここまでで述べてきましたが、ではどういったプロセス・基準を作れば価値提供スピードと品質を両立する開発プロセスにできるのかを考えていく必要があります。

品質とは技術面の非機能要件(パフォーマンス、不具合)だけでなく、デザインを始めとするブランディングなども含みますが、すべてをいつでも求めるのは効率が悪そうです。

例えばですが、開発プロセスとして、社内テストやオープンテスト(特定セグメントへの限定公開)などを明確化して、それぞれに対して様々な観点で"当たり前基準"を作っていくのが良いのではと考えています。
その基準策定はアプリ開発側(PdM, Designer, Engineer)とSRE・QAといっしょに作っていくことを想像しています。

4. 採用強化(ブランディング)

LUUPはモビリティを「借りて、返せる」アプリで伸びしろあるの?と言われることがあります。

しかし実際は伸びしろが大きく、事業戦略上もソフトウェア開発の重要性は高いと捉えています。
直近で中長期を見据えた経営戦略が社内で示されたのですが、そこでもソフトウェア開発を通して実現すべきことが明確にあり、その実現のために動き始めています。

そのために組織もスケールさせていく必要があり、技術広報・ブランディングにも力を入れてエンジニア採用を強化していきたいと考えています。

また別視点ではありますが、LUUPはサービスのレピュテーションという観点ではまだまだ課題が多く、利用者の方や関心を寄せていただいている方にとって価値のある情報を伝えきれていないのではと感じております。
ソフトウェアの領域に関してもできる限りアウトプットすることで、LUUPを信頼して利用いただけるようにしていきたいとも考えております。

上記思いもあり、今年はLuup初のカンファレンスのブーススポンサーをさせていただきました!

【イベント】LuupはSRE NEXT 2025に初ブース出展しました!

iOSDC Japan 2025 にスポンサーブース出展してきました!

Luupの開発ブランディングの悩み

LuupはIoTプロダクトとしての面白さ、BtoCのリアルサービスとしての面白さ、それに伴った事業・組織・技術の課題と、かなり魅力が多い会社だと自負しています。

積極的に取り組みをアウトプットしたいとは思うのですが、事業上の機密事項も多く、社会貢献性の高い事業でもあることを鑑みると、公開してよい内容か判断が難しいケースが多々あるのが悩ましいと感じています...

上記に関して、アウトプットして良いラインをある程度明確化していくことが重要だと考えており、今後取り組んでいきたいことの1つとなります。

ただ現状でも面談・面接であれば、できるだけ多く・素の内情をお話していきたいと考えておりますので、ぜひ興味あれば以下より話しましょう!

※ また本記事に共感した!情報交換したい!と思っていただいた方もいればぜひ 🙏

Luupのアプリ開発についてお話します!瀧川

さいごに

今回は、LuupのEngineering Managerとして現在考えている課題や取り組みについて書かせていただきました。
7か月ほど前に入社しましたが、Luupの開発体制・開発プロセスはかなり成熟していて、感心することが多かったです。
そのうえで、よりよいアウトカムをチームで生み出すために、改善を進めていこうと考えています!
また進捗や得られたナレッジがあれば筆をとろうと思います。

同じような課題に取り組んでいる方や、興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、ぜひ意見交換させていただければ嬉しいです!


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