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【Rails初心者向け】Rails 開発時の any? メソッドの使い分け

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ラブグラフでインターンをしているあさいです!

Rails開発をしているとよく使うメソッドの一つにany?があります。しかし、any?にはRubyのany?とActiveRecordのany?の2種類があり、それぞれの動作や用途が異なります。

実際に使ってみて「思った通りに動かない」と感じたことがある方もいるのではないでしょうか?

この記事では、Ruby の any? と ActiveRecordの any? の違いについて、具体的な例を交えながら解説していきます。同じ名前のメソッドですが、それぞれどういう場面で使うべきなのかを話していきます。

比較

まず、それぞれがどのような立ち振る舞いをするのかを確認しましょう。

Rubyの any?

Rubyの any? メソッドは、正確には Enumerable#any? と呼ばれる、Ruby本体に備わっている組み込みライブラリの Enumerable モジュールのメソッドです。

基本的な使い方は、他の方の記事でも紹介されているように,

オブジェクト.any?{ |変数| 条件式 }

のように使用できます。このメソッドは、対象のオブジェクトのすべての要素が偽であるとき false を返すという挙動をします。逆に言えば、対象のオブジェクトが1つでも真である場合は true を返すということです。
また、ブロックを省略した場合は、

オブジェクト.any?

のように使用します。この時は、対象のオブジェクトの中にオブジェクトが存在すれば true を返すという挙動をします。

使用例

any?メソッドをオーソドックスに理解するならば、Array がわかりやすいと思います。

# ブロックあり
array = [1, 2, 3, 4]
puts array.any? { |n| n > 3 }    # => true(少なくとも1つの要素が3より大きい)
puts array.any? { |n| n > 4 }    # => false(すべての要素が4以下)

# ブロックなし
array = [1, 2, 3, 4]
puts array.any?    # => true(配列が空でないため)

他にも、Hash、Range、Enumerator 等のクラスで、Enumerable モジュールはインクルードされているので、そこでも同様に使うことができます。

Hash の場合

h = { a: 1, b: 2, c: 3 }

puts h.any? { |key, value| value > 2 }    # => true
puts h.any? { |key, value| key == :d }    # => false

Range の場合

r = (1..10)

puts r.any? { |n| n % 2 == 0 }    # => true
puts r.any? { |n| n > 10 }        # => false

Enumerator の場合

e = (1..5).each

puts e.any? { |n| n > 3 }    # => true(少なくとも1つの要素が3より大きい)
puts e.any? { |n| n < 1 }    # => false

このように、any?メソッドは、配列以外にもハッシュ、範囲、Enumerator など、Enumerable モジュールをインクルードしているさまざまなデータ構造で使用できます。

ActiveRecord の any?

ActiveRecord の any? メソッドは、ActiveRecord::Relation オブジェクト(データベースのクエリを表すオブジェクト)に対して使用されます。このメソッドは、データベースに該当するレコードが少なくとも1つ存在するかどうかを効率的に確認するためのメソッドです。

使用例

# Userモデルにレコードが1つ以上存在するかどうか
User.any? # => SELECT 1 AS one FROM `users` LIMIT 1

# 特定の条件を満たすUserレコードが存在するかどうか
User.where(age: 20).any? # => SELECT 1 AS one FROM `users` WHERE `users`.`age` = 20 LIMIT 1

ActiveRecordの any? は、Rubyの any? とは異なり、コレクション全体をメモリにロードするのではなく、データベースに対して効率的な存在確認クエリを発行します。これにより、大量のレコードが存在する場合でも、非常に効率的に存在確認を行うことができます。

使い分けのポイント

ここまでで両者の any? メソッドがどのように使えばいいのかが把握できていたと思うので、実際のRails開発においての、使い分けの例を解説します。

メモリ上のコレクションに対しての評価

既にアプリケーションのメモリ上に展開されたコレクションに対して、特定の条件を満たす要素が存在するかどうかを評価したい場合は、Rubyの any? を使用します。ここで言及している「コレクション」とは、Controller で取得済みのモデルインスタンスの配列などが該当します。

def index
  @users = User.all
  if @users.any? { |user| user.age > 30 }
    # 30歳以上のユーザーがいる場合の処理
  end
end

データベースレベルでの存在確認

一方、データベースに特定の条件を満たすレコードが存在するかどうかを、まだデータをメモリにロードする前に確認したいケースでは、ActiveRecordの any? を利用します。このメソッドは、データベースに対して効率的な存在確認を行い、条件に合致するレコードが1件以上存在するかどうかを判定します。

if User.where(status: :active).any?
  # アクティブなユーザーが1人以上存在する場合の処理
end

この例では、User モデルに対して直接 where メソッドと any? をチェーンすることで、アクティブなユーザーが存在するかどうかをデータベースレベルで効率的に確認しています。

注意点

ActiveRecord::Relation に対して誤って Ruby の any? を使用すると、その Relation が示す全てのレコードが一旦メモリにロードされてから評価されるため、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。特に、レコード数が非常に多いテーブルに対してこの操作を行うと、アプリケーションの応答性が著しく低下する可能性があります。

Ruby の any? を Relation に対して使用するのは、既に Relation に対して何らかの加工(例えば、limitoffset を適用した後など)を行っており、その結果に対して存在を確認したいといった、比較的限定的なケースに限られるものの、データベースにレコードが存在するかどうかだけを確認したいというユースケースにおいては、ActiveRecord の exists? メソッドを使用することがより安全で効率的です。

まとめ

  • Ruby の any?
    • メモリ上の配列やハッシュで、要素の存在や条件を満たす要素の有無を確認。
  • ActiveRecord の any?
    • データベースに条件を満たすレコードが1つ以上存在するかを効率的に確認。

主な違い

Ruby はメモリ、ActiveRecord はデータベースを扱う。

使い分け

メモリ上のデータにはRuby, DBの存在確認にはActiveRecord(または exists? )。
DBの存在確認には、より効率的な exists? の方がよい。
ActiveRecord::Relation に Ruby の any? を使うと非効率になる可能性あり。

参考

https://docs.ruby-lang.org/ja/latest/method/Enumerable/i/any=3f.html
https://railsguides.jp/active_record_querying.html#オブジェクトの存在チェック
https://e-words.jp/w/コレクション.html

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