【LINE開発】既存のLINEツールと自作LIFFアプリを"併用"し、低コストで「かゆいところ」に手を届かせる方法
気軽にEC『Lea = レア』のPM兼開発を担当している平田と申します。
普段エンジニアとしてLINEツールの開発もしつつ、LステップなどLINEツールを活用したマーケティング支援も行っています。
私自身が開発者であり、一番のユーザーでもあるという立場です。
LINE公式アカウントを運用していると、しばしばこんな悩みにぶつかります。
「今契約しているLINEのMAツール(拡張ツール)はすごく便利だ。でも、あと一つ、この機能だけが足りない…!」
例えば、高度なセグメント配信ができる機能が既存のツールにあったとしても、さらに深く、LPを「どのLINEユーザーが」「どこまで見たか」をヒートマップ的に正確に計測したい…!と思っても、ツールがその機能に対応していない。
かといって、今さら高機能なツールに乗り換えたり、ましてや配信や応答の仕組みをすべてゼロから自社開発するのは、コストも工数もかかりすぎて現実的ではありません。
この記事では、そんな「0か100か」ではない、第三の選択肢。
既存のツールを活かしつつ、足りない機能だけを「自作のLIFFアプリ」で賢く補う、現実的な併用テクニックを紹介します。
結論:既存ツールと自作LIFFツールを「併用」すること
いきなり結論から言うと、既存のLINEツールと、あなたがこれから作る自作のLIFF(LINE Front-end Framework)アプリを併用することで
あとちょっと足りないかゆいところに手が届くようになります。
その最大の理由は、
「同一チャネル」なら、ユーザーIDは「同一」になる
ためです。

つまり、ツール側が管理している「友だちAさん」のユーザーIDと、自作LIFFが取得した「友だちAさん」のユーザーIDは全く同じもの。
これにより、自作LIFFで取得したデータを、既存のツールが持つ顧客データと後から紐づけることも可能になります。
💡 実践例:LPの閲覧ユーザーを「自作LIFF」で特定する方法
では、この「併用」テクニックを使った具体的な実践例をご紹介します。
課題
多くのLINEツールでは、配信したLPのURLが「何回クリックされたか」という全体の数値は分かります。しかし、「どの友だちがクリックしたか」までは特定できないケースがほとんどです。
これでは、せっかくクリックしてくれた熱心なユーザーに対して、特別な案内を送ったり、その後の行動を分析したりすることができません。
解決策(実践フロー)
ここで「自作LIFF」を**「計測用のクッションページ」**として使います。
-
計測用の自作LIFFページを用意する
まず、非常にシンプルなLIFFアプリを1つ作ります。
このLIFFアプリの役割は、「アクセスしてきたユーザーが誰なのか(LINEのユーザーID)」を把握し、すぐに本来の目的ページ(LP)に転送(リダイレクト)させることだけです。 -
ツールで配信するURLを「LIFFのURL」に差し替える
次に、既存のMAツールでメッセージを配信します。
このとき、LPへの誘導ボタンに設定するリンクを、本来のLPのURLではなく、先ほど用意した**「計測用LIFFのURL」**に差し替えます。 -
ユーザーの体験はほとんど変わらない
ユーザーがメッセージ内のボタンをタップすると、どうなるでしょうか。- (1) 一瞬だけ計測用LIFFが起動し、「Aさんがアクセスした」という事実が裏側で記録されます。
- (2) ユーザーは即座に本来のLPへ転送されます。
後述する「認証が不要」という大きなメリットのおかげで、ユーザーは途中で許可画面などに引っかかることなく、スムーズにLPを閲覧できます。ユーザーの体感としては、通常のリンクをクリックした時とほとんど変わりません。
この実践例で得られるもの
この一手間を加えるだけで、ツール側では「クリック数」という曖昧な数字しか分からなかったものが、自社では「どのユーザーIDがLPにアクセスしたか」という具体的なリストとして把握できるようになります。
これにより、「LPを見たけれど購入しなかった人」だけに絞って次のアプローチをかけるなど、既存ツールだけでは不可能だった、より精度の高いマーケティング施策が打てるようになります。
✨ 併用する上での最重要ポイント
このテクニックが成立する最大の理由であり、最も重要なポイントが「認証のシームレスさ」です。
👉 「認証が不要」になる
「自作LIFFを挟むなら、ユーザーに『許可する』っていう認証画面が出て、離脱されちゃうんじゃない?」
そう心配するかもしれませんが、その心配は不要です。
なぜなら、**「片方のLIFFで認証していれば、別のLIFFでも認証が不要になる」**というLINEプラットフォームの仕様があるからです。
ユーザーは、あなたが契約している既存のLINEツールを使い始めた時点で、(それがLIFFを使っているツールであれば)一度はLIFFの認証画面で「許可する」ボタンをタップしているはずです。
同一チャネル(同一プロバイダー)内であれば、この認証状態は他のLIFFアプリにも共有されます。
そのため、私たちが後から追加した「計測用の自作LIFF」が起動しても、ユーザーには認証画面が一切表示されません。これが、先ほどの実践例で「一瞬だけ起動してリダイレクト」というユーザー体験を損なわない処理が成立する理由です。
⚠️ たった一つの注意点:Webhookの制約
ただし、この「併用」テクニックにも一つだけ大きな注意点があります。
それはWebhookです。
👉 Webhook URLは「1つ」しか設定できない
-
LIFF(フロントエンド)
ユーザーが能動的に開く画面(LIFF)は、1つのチャネルに複数登録できます。既存ツール用、自作用A、自作用B…と増やすことが可能です。 -
Webhook(サーバーサイド)
一方で、友だち追加、メッセージ受信といったLINEサーバー側からの通知を受け取るWebhook URLは、1つのチャネルに1つしか設定できません。
そして、その貴重なWebhook URLの管理権限は、当然ながら「既存のMAツール」が握っています。
結論として、併用する際の住み分けはこうなります。
-
✅ 得意なこと(併用が容易)
- LIFFを使った機能追加(今回のLP計測、アンケートフォーム、会員証表示など、ユーザーがタップして開く機能)
-
🚫 苦手なこと(原則として困難)
- Webhookが絡む処理(メッセージへの自動応答、友だち追加時のあいさつなどを自作したい場合)
(補足:ツールによってはWebhookの「転送機能」を持つものもありますが、専用のサーバーを建てたり、MAツール側に意図しない警告が出たりするケースもあるため、基本はLIFFで完結する機能追加に絞るのが安全です。)
🚀 まとめ
既存のLINEツールを「0か100か」で考える必要はありません。
- 既存ツールと自作LIFFは、**「同一チャネル」**で運用すれば簡単に併用できます。
- 最大の理由は、ユーザーIDが共通であり、認証状態も共有されるためです。
- この仕組みを使えば、「LP閲覧者の特定」など、ツールに足りない機能を低コストで追加実装できます。
- ただし、Webhookはツール側に握られるため、LIFFで完結する機能追加に留めるのが賢明です。
今お使いのツールに「あと一歩」の不満があるなら、まずは小さなLIFFアプリを作って、その「かゆいところ」を補うところから始めてみてはいかがでしょうか。
Discussion