サイバーエージェントの新卒エンジニア1年目の振り返り ー 自己分析と今後のキャリアを考える
こんにちは!2024年にサイバーエージェントに入社し、早1年が経ちました。年齢を重ねるほど時間というのは自分の感覚的に短くなっているのですが、今年は過去1で過ぎるのが早かった気がします。どうやらこの現象に法則があるらしく、ジャネの法則と呼ばれてるみたいです。どうりで、、、
さて、今回も前回書いた「サイバーエージェントの新卒エンジニア1年目が入社して半年までで学んだこと」に引き続き、入社してから1年間の振り返りしようかなと思います。今回は、就活の時によく用いられる「自己分析フレームワーク」を活用して振り返っていこうかと思ってます。今回もメインは自分のアウトプットですが、これから新卒として働くみなさんや就活を控える皆さんにとって参考になれば幸いです。
はじめに
自己紹介
以前こちらの記事で紹介させていただいてるのでご参考にお願いします。
本記事の目的
本記事では、サイバーエージェントで1年間働かせていただいて、自分が楽しいと思ったこと、得意だなと思ったこと、逆に苦手だなと思ったことなど「感情面」から振り返ります。また、一年間で技術・知識面でどういう成長があったのか「技能面」から振り返っていこうかと思います。振り返りを参考にして、今後のキャリアおよび2年目どのような働き方が自分に合っているのかの考察を行なっていきたいと思います。
想定読者
以下の読者を想定しています。
- これから就活を始める方
- これから新卒として働き始める方
「情」の振り返り ー モチベーショングラフによる1年間の振り返り
これは、1年間の自分のモチベーションの変化を可視化したグラフです。改めて見返してみると、思っていたよりモチベーションの波が大きく、自分でも少し驚いています。
今回は、グラフを振り返りながら、当時なぜそのモチベーションだったのか、どんなことに楽しさを感じていたのか、逆に何に悩んでいたのかを、月ごとにまとめてみようと思います。
4月〜5月:刺激と新鮮さの中でのスタート
新卒として配属されて最初の2ヶ月間。優秀な同期たちと一緒に働ける喜びがある一方で、「この環境についていけるのか?」という不安もあり、とても刺激的な期間でした。
配属直後の研修は非常によく設計されており、自然とモチベーションを引き出してくれる内容だったため、楽しみながら取り組むことができました(研修運営の皆さんに感謝です)。悩みはほとんどなく、フレッシュな気持ちで毎日を過ごしていた印象です。
6月〜7月上旬:成果がモチベーションに
正式に部署に配属され、新卒向けに難易度を調整してくださったタスクを担当しました。ちょうど自分のスキルにマッチした内容だったため、順調に進めることができ、良い成果を出すこともできました。
毎月、新卒の中で特に目立った成果を出した人に贈られる表彰もいただき、自己肯定感・モチベーション共に非常に高かった時期です。この時期も、大きな悩みなく、仕事を楽しめていました。
7月中旬〜9月:一気通貫タスクとの出会い
この頃から、担当するタスクの難易度が一段階上がりました。詳細は以前書いた記事こちらにまとめてありますが、機械学習エンジニア兼データサイエンティストとしての、はじめての「仮説検証から提案、実装までを一貫して担当する業務」でした。
内容も非常に面白く、やりがいも大きかったため、モチベーションは引き続き高いままでした。一方、進める中で「どの手法を使えばよいか?」「この道で合っているのか?」と悩む場面もありました。それでも、トレーナーやチームメンバーのサポートに支えられて、一歩一歩進めることができました。本当に感謝です。
10月〜1月:自信を失いかけたが、最も学びの多い時期
タスクの難易度はさらに上がり、「既にあるデータを分析し、プロダクトの改善にどうつなげるか?」という、より抽象度の高い業務を担当しました。
「課題発見 → 仮説立て → 検証 → 分析結果からの提案 → レビュー」といったサイクルを何度も回す業務でしたが、モチベーショングラフからも分かる通り、この時期は気持ちが大きく落ち込んでいました。
今振り返ると、いくつかの「不足」が重なったことが、その原因だったと思います。
データサイエンスに関する知識の不足
専門的な知見を持つ人への相談・ヒアリング不足
提案内容への説得力を持たせる力の不足
(ほかにも色々と…)
とはいえ、これらの「足りない部分」があるなりに、自分なりに考えてタスクを進められたと思っています。成果としては大きなプロダクト改善には至らなかったものの、学びは非常に多かったです。例えば、
プロダクトのドメイン知識の理解
一般的なデータサイエンス手法の習得
Google Cloud の基本操作や知識の習得
など、自分の技術的なベースを広げる貴重な時期になりました。
アウトプットの手応えとしては物足りなさもありますが、視野が広がり、現場のリアルな難しさと向き合った経験として、振り返ってみると「苦しかったけど楽しかった」と思える期間です。
2月〜3月:集中と連携の交差点
この時期は、ビジネス側のメンバーと連携しながら進めるタスクに関わりました。ただ、実際にはトレーナーの方が対外調整・連携部分を担ってくださり、自分は実装と追加要件への対応に集中することができる恵まれた環境でした。
直接的な連携業務は現在(4月時点)になってようやく経験し始めていますが、当時は「集中できる環境で成果に向かって努力できる」という、ある意味でぜいたくな時間だったのだと今は感じています。
2月には再び表彰もいただけて、成果・モチベーションともに高い状態を保てた期間でした。とはいえ、連携において何度かディスコミュニケーションが起こり、手戻りが発生してしまったことは反省点です。今後は、認識合わせや情報共有のタイミングを意識し、よりスムーズな連携を目指していきたいと思います。
月毎に振り返ってみて
振り返ってみると、自分が「楽しい」「得意」と感じる瞬間には、いくつか要素がありました。
- 実装や分析に集中できている状態
- 詳しい人へのヒアリング、そこからのフィードバック
- アウトプットとしての資料展開(まとめる過程)
- 叩き台を作り、課題提案する
中でも、「詳しい人がすぐ近くにいる」という環境は、今の会社ならではのありがたさだと感じています。インプットの質やスピードが格段に違い、仕事を進めるうえでも、自分の成長という観点でも非常に大きな意味がありました。
一方で、「苦手だな」と感じることも明確になってきています。
- 他者への適切な情報共有(資料展開、業務連携など)
この中でも難しさを強く感じたのが“資料展開”です。これは自分にとって「楽しいこと」と「苦手なこと」が同居しているテーマでした。もう少し具体的に言うと、「資料として整理してまとめる」プロセスは楽しく感じられる一方で、「その資料を使って相手にわかりやすく伝える」「伝わった状態をつくる」という部分が非常に難しいと感じています。すなわち、「自分の中で『これが良い』と思うことを形にする力」はある一方で、それを他者が理解し活用できるように“言語化・構造化”して伝える力がまだ弱い、ということかもしれません。会社はチームで成果を出す場であり、それゆえ「伝える力」や「他者と協業する力」は欠かせません。今の自分にとって、「ここを苦手なままにしておくのは、ちょっと致命的かもしれない」と感じており、2年目以降で最優先に取り組むべき課題だと認識しています。
「知」の振り返り
学んだハードスキル
こちらの項目については1年間で主に学んだ技術・知識を箇条書きで書いていこうかと思います。どういう技術を学べば良いかの参考になれば幸いです。
- Google Cloud
- kubernetes
- argo workflow
- Gradio
- tableau
- Github
- 統計学
- データ可視化学
- 認知バイアス
- LLM・VLM
- 広告ドメイン知識
学んだソフトスキル
エンジニアとして必要なソフトスキルがこちらのサイトにまとまっていましたので、リストアップされた観点(+αで自己ブランディング)から振り返っていこうと思います。
コミュニケーション能力
プロジェクトを進めるうえで、認識の齟齬が生まれるかどうかは、私自身の「伝える力」が試される場面でした。今年は打ち合わせ後や共有会で「意図が伝わっていなかった」というケースがいくつかあり、そこからは「言葉で雑にまとめない」「確認を怠らない」ことの大切さを再認識しました。
また、ガントチャートをベースに期初に引いたスケジュールが、途中で認識違いによってズレることもありました。今後は、計画初期の段階から相手の理解を得るコミュニケーションをより強化していきたいです。
プロジェクト管理
特にデータサイエンスの仕事では、最初の問題設定でプロジェクトの成否が決まる場面が多々あります。今年挑戦した複数のタスクにおいて、後になって「そもそもこの問いで良かったのか?」と振り返ることになった反省もあり、適切な問題設定の重要性を身をもって学びました。
問いの立て方を改善するため、今後はユーザー目線・ビジネス要件の両方を踏まえた視点の精度を上げ、チームとの初期ディスカッションをもっと丁寧に行っていきたいです。
意思決定
意思決定そのものの機会は限られていましたが、レビュー時の指摘内容は、私の視野の広さや想定力を測る良い指標でした。特に「この観点抜けてない?」といったフィードバックをいただいた回数が、自分の準備の甘さを物語っていたと思います。
とはいえ、共有・レビュー頻度を高める中で、スピードとクオリティのバランスを自分なりに模索できたのは良い経験でした。コードに対して一発LGTMをもらえた数が増えたことは、丁寧な設計と課題理解の積み上げの結果だと思いたいです。
クリティカルシンキング
ブレストやチームメンバーの共有会など、他の人の発表に対してフィードバックを返す場面では、「自分ならこう考える」という視点を持ち、意見を出すよう心がけてきました。瞬発力はまだありませんが、日々の情報インプットや会話の解像度が、自分の思考の幅を少しずつ広げている感触があります。
問題解決能力
メインタスクにおける問題解決は、地道な試行錯誤の継続が鍵でした。ステークホルダーから期待される内容と実現可能性の間で揺れる中、一歩ずつ検証を重ねて形にできた案件もあり、自信になりました。問題に直面したとき、「まず自分でどこまで分析できるか」を意識し、自分ではちょっと難しい、わからないものは詳しい人に聞くなど、行動に落とす習慣がついてきたのは成長ポイントでした。
リーダーシップ
ポジション上、大きなチームを率いる場面はありませんでしたが、チーム内での簡易的なタスクリードの場面では、自分が前に出て動くことを意識してきました。自分がやるべきことに加えて、周りが動きやすいように情報を共有し、雰囲気作りに努める機会もありました。
次年度以降は、より積極的にチーム全体を巻き込むマインドセットとスキルを磨いていきたいです。
自己管理
新卒として慣れない環境の中で、自分のモチベーションとパフォーマンスをどう維持するかは大きなチャレンジでした。体調含めコンスタントに稼働できたことは評価したいポイントです。
また、分析や学習がバッチ実行されている間の時間を、学びの時間や他サブタスクの時間にし有効活用できました。
自己ブランディング
新卒時期は、「名前が知られていく実感」を得られた点かもしれません。社内の横断プロジェクトへの参加や、小規模ながら発表の場を持てたことで、徐々に他部署からの認知が生まれました。
今後は、より発信力・発言力を意識して、「あの人に聞いてみよう」と思ってもらえるよう、自分の立ち位置を明確にしていきたいです。
今後のキャリア・学びと2年目への展望
振り返りの結果から、自分は将来どうなっていきたいのかのネクストアクションを考えてみます。まず好きな事、得意な事は前述のように以下になります。
- 実装や分析に集中できている状態
- 詳しい人へのヒアリング、そこからのフィードバック
- アウトプットとしての資料展開(まとめる過程)
- 叩き台を作り、課題提案する
一方で需要として会社から求められていることは公式サイトでも述べられているように以下になるかと思います。
- 技術を用いて事業やサービスを牽引すること
- ユーザー視点を持ちプロダクト開発すること
- 新しい技術や得意領域外の技術も積極的に触る気概を持つこと
- チームとして成果を出すこと
- 若いうちからどんどん成長し続けること
技術を用いて事業やサービスを牽引するためには、実装や分析に集中すること、そしてその結果や課題を自分なりに整理し、周囲に分かりやすく伝える力が不可欠だと感じています。これは自分の「好き・得意」としても挙げた部分なので、今後も引き続き磨いていきたいポイントです。
また、ユーザー視点を持ってプロダクト開発に関与するためには、単なる分析や実装だけでなく、「なぜそれをやるのか」「どんな価値を届けられているのか」を常に意識する姿勢が必要だと思いました。今までは目の前のタスクに夢中になることが多かったので、今後はアウトプットの“その先”まで考えを巡らせ、事業視点・ユーザー視点で自分の仕事を語れるようになりたいです。
さらに、得意領域外の技術や新しい分野にも積極的にチャレンジし、自分の守備範囲を広げていく必要も感じています。1年目は「自分の得意なこと」を中心に動いてきましたが、2年目からは未知の領域にも一歩踏み出し、インプット→実践のサイクルを回していくつもりです。
そして何より、チームとして成果を出すためには、「自分ひとりで完結する」姿勢を脱し、他者への情報共有・巻き込み・協働にも積極的に取り組む必要があると痛感しました。自分が苦手と感じている「言語化して他人に伝える」という課題も、その重要性を再認識しています。2年目はこの部分の克服・成長を最優先事項として掲げ、具体的には資料やレビュー、ちょっとした情報交換の場でもアウトプットの質・量ともに意識的に増やしていきたいです。
総じて、2年目は
- 技術力×事業貢献の両立
- ユーザー視点・事業視点を持つ習慣化
- 新しい分野への積極挑戦
- チームワーク/コミュニケーション力の強化
をテーマに、自分から動き続け、成長し続ける1年にしたいと思います。
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