期待ってどうかければ良いの?と悩むリーダー・マネージャーへ
期待をかけるって難しいですよね。
日常生活においては、何事も期待しない方がマイナスの感情になることも少なく、心穏やかに過ごせたりします。
一方で、会社で人の上に立つような立場になると「期待」を使いこなす必要が出てきます。
会社の研修でも「メンバーに期待を伝えましょう」と教えられたり、メンバーからも「自分への期待値を教えてください!」と求められることもあるでしょう。
そういった状況に対し「期待って言っても、メンバーは既に十分やってくれているし、そのままでいいんじゃないかな?」と思ってしまったりします。少なくとも私はそうでした。
しかし、それではマネージャーの責務を全うしているとはいえないでしょう。
なぜ期待をかける必要があるのか。どうすれば期待をかけることができるのか?
この記事が「期待」に悩む人の気付きになれば幸いです。
なぜ期待をかける必要があるのか
答えは明確で 「人を成長させるため」 です。
マネージャー(特にピープルマネジメントを行っている人)は、人を育てる責務を担っているため期待をうまく扱う必要があります。
期待が成長を促すことはピグマリオン効果[1]など理論として体系化されています。
また、これは私の独自解釈ですが、「期待」は「目標」を生み、「目標」は「成長」を促すと考えています。

期待・目標・成長の関係性
目標は、「期待」に対していつまでにどれくらい応えるかの宣言です。
こう捉えると、例えば「リードエンジニアになって欲しい」という期待があった時に「リードエンジニアに近づくため、3ヶ月以内にアーキテクチャ特性について学び、チームへの共有会を開催する & 担当システムのアーキテクチャ特性を可視化する」といった目標を設定することができます。
また、「目標が成長を生む」という関係性も、目標設定理論[2]など体系化された理論によって説明されています。
ここまでで「期待が成長を生む」こと、そして「期待は目標を生む」ことにも繋がり、さらに成長に繋がることを示してきました。
では、期待はどこから生まれるのでしょうか?
また、目標は期待からしか生まれないのでしょうか?
次はこの疑問について考えていきます。
期待はどこから生まれるのか
期待は役割から生まれます。
例えば、レストランに入った時。店員が誰も席に案内してくれなかったらどうでしょうか。きっと多くの人が不満に思うことでしょう。これは「店に入ったら店員が案内してくれる」という「期待」を店員という「役割」に対して抱いているということです。
役割から期待が生まれるという考えを裏付けしてくれるものに 役割理論(Role Theory) があります。
この理論は、社会学や社会心理学において、人間の日常的な行動や社会の仕組みを「役割(Role)」という概念を用いて説明・理解しようとする理論のことです。
役割理論の中には役割期待(Role Expectation)という概念があり、人は特定の立場にいる人に対して、「こう振る舞うべきだ」「こういうことをしてほしい」と期待すると示されています。
もしあなたが、他者へどう期待をかけたら良いかわからなくなっていたら、相手の役割を見直しましょう。
相手の役割はなんでしょうか。その役割を十分に全うしているでしょうか。全う出来ているとしたら、次に期待する役割はなんでしょうか。役割をはっきりさせることも重要です。
ところで、役割は何から生まれるのでしょうか。
私は目的から役割が生まれると考えています。
会社においては、「企業価値を向上させる」などの目的において、製造・販売・管理・経営という役割分担をしています。
いかなる目的であっても、それを複数人で達成しようとした時に役割は生まれます。

目的・役割・期待の関係性
成長すると良いサイクルが回り出す
期待をかけた結果、成長できたならそれは素晴らしいことです。
人は成長すると、成果を出すようになります。
成果を出すと、評価され、報酬が得られます。
するとモチベーションが向上し、さらに良い成果を出すようになるのです。[3]

成長がもたらす、成果・評価/報酬・モチベーションのサイクル
まとめ
何を期待したら良いかわからない人は、役割が期待を生むことを意識して、役割を見直しましょう!

全体像
ここまでに出てきた全ての要素の関係性を繋ぐと図のようになります。
図では表現しきれていない要素(例えば成長をサポートするにはティーチング・コーチングが必要など)もあるのですが、この要素を骨子として、全体像を把握した上で関連することを学んでいくとより強いマネジメントになるのかなと思っています。
私はこれまで、うまく期待を扱えずに甘めの評価をしてきた自認があります。
しかし本当に相手のことを思うのであれば、厳しさ、相手に適切な期待をかけることが必要です。
やり方を変えるのは勇気のいることですが、この考えをベースに挑戦しています。
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教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって提唱された有名な理論です。「人間は期待された通りに成果を出す傾向がある」というもので、上司や組織からの「期待」が本人の自己効力感を高め、自発的な学習や努力を促し、結果としてパフォーマンスの向上をもたらすことを実証しています。 ↩︎
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心理学者エドウィン・ロックによって提唱された理論です。この理論では「具体的で、かつ少し難易度の高い目標」を設定した方が、人のモチベーションとパフォーマンス(成果)は最大化されると実証しています。 ↩︎
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このサイクルを説明する期待理論というものがあります。これは「成果が報酬(評価)をもたらし、それが満足(モチベーション)に繋がる」というメカニズムです。 ↩︎
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