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ADS-Bレシーバーをおうちに置く

に公開

経緯

こんにちは。

突然ですが、やる気を出せば東京湾からまで歩いていけるくらいのところにある私の家は、羽田空港から飛んで行く飛行機がよく見えます。日本の、あるいは東アジアの玄関口である羽田空港は2分に1本クラスの頻度で飛行機が離着陸していると言われています。

ところで、少し前に眠っていたRaspberry Piが“航空情報局”に!Flightradar24有料プランを無料で楽しむ裏ワザなる記事がPC Watch(インプレス)から出てまいりました。無線受信装置置いてレーダー[1]情報を渡せば実質タダでFlightrader24(以下FR24)とFlightawareの課金プラン(しかも結構高いの)が使えるというのです。

飛行機が好きで、飛行機がよく見えるところに住処を持ち、コンピューターも余っている。こんな好条件でFR24がタダになる。家にパソコンがたくさんがある私としては、これのために一台捧げたり、何かと同居させてもいいなという気持ちになってしまうわけです。

セットアップ

情報収集

設置予定場所の座標と海抜を把握する必要があります。

座標は言うまでもなくGoogle Mapsをひらけば一発でわかります。お好みでしたらその他の即両方をお試しいただいても良いでしょう。

海抜については、Flighawareだけなら地上高でも良いはずです。ちなみに地面の海抜のデータは地理院地図にあります。iPhoneであれば気圧計があるので、それで概ねの高さはわかるでしょう。

ハードウェア

概ね必要なのは以下のとおりです。

  • 64ビットPC(ラズパイとかでも、デスクPCとかでもOK)
  • RTL2832U+R820T/R820T2/R828Dのあたりが載ったDVB-T(海外の地デジ)受信装置(アリエクで2500円くらいで入手可能。大体50~100海里くらい拾える。)
  • 自宅の窓にアンテナを取り付けるためのスペース

ホームラボ用のNWへの外部接続のために一台、Tailscaleのゲートウェイとしてラズパイを置いています。PCについては、こいつのUSBポートと計算資源を流用することとしました。この機材は窓の近くに置かれているのでちょうど良かったのです。

届いたら、ラズパイのUSBに挿し、アンテナは窓際に置いておきます。私は窓サッシに弱めの両面テープで止めています。

ソフトウェア

専用イメージを使っても良いですが、今回はTailscaleと相乗りしている端末なので、コマンドで色々入れていきます。

まずはFlightaware

日本では1090MHzを使うので、Raspberry Pi OSにdump1090-faを入れることでとりあえずFlightaware向けの通信が可能になります。aptコマンドで簡単に入ります。デーモン化もしておきましょう。

$ sudo apt install dump1090-fa
$ sudo systemctl enable dump1090-fa

続いてFlightaware向けの送信ツール(piaware)を導入します。

$ wget https://ja.flightaware.com/adsb/piaware/files/packages/pool/piaware/f/flightaware-apt-repository/flightaware-apt-repository_1.2_all.deb
$ sudo dpkg -i flightaware-apt-repository_1.2_all.deb
$ sudo apt update
$ sudo apt install piaware

最後に再起動し数分待つことで、Flightaware向け情報を送信するようになります。HTTPでhttp://{端末IP}:8080にアクセスするとSkyawareツールが起動し、地図上で確認することができます。

Flightawareのアカウント紐付け

ドキュメントには https://www.flightaware.com/adsb/piaware/claim/ だけでいけると書いてありますが、私の家では失敗しました。

以下のコマンドでFeeder IDというものを出せます(UUIDです)。

$ cat /var/cache/piaware/feeder_id

これをもとに、https://www.flightaware.com/adsb/piaware/claim/{feederId}にアクセスするとアカウントの紐付けができます。

続いてFR24

以下を実行すると、自動でセットアップが走ります。

$ wget -qO- https://fr24.com/install.sh | sudo bash -s

ここで設置場所の座標と海抜を聞かれます。座標については小数点以下2桁(大体一つの字〜丁くらいの粒度)で公開されるので、ほどほどに合わせておきましょう。

聞かれる情報は以下のとおりです。

  • メアド(FR24のアカウントに紐づくので同じものを!)
  • 過去に使ってたADS-B端末があるなら、それの共有キー(初めてなら空欄)
  • MLAT[2]に参加するか
  • アンテナ設置場所の緯度
  • アンテナ設置場所の経度
  • アンテナ設置場所の海抜

これを送れば後ほどメールが届き、FR24に登録したと言う旨の連絡が届きます。
また、http://{端末IP}:8754/tracked.html から、受信した飛行機の情報を見ることができます。

運用

FR24はBusinessプランに、FlightawareはEnterpriseプランになれます。
FR24では機齢などもわかります。

おわりに

非常に簡単にFlightrader24やFlighawareにデータと見返りのアカウントをもらえるようになりました。数万円浮くのはいいですよね。皆さんも試してみてください。

脚注
  1. 正確には、今はレーダーではなくADS-Bであり、今回もADS-B Outと呼ばれる1090MHzの通信 ↩︎

  2. 他の測量地点のデータと突合して位置を正確にする機能 ↩︎

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