MIT-0 はなぜ表示義務を捨てたのか
はじめに
本記事は MIT-0 を推奨するものではなく、用途に応じた使い分けの理解を目的としています
MIT-0(MIT No Attribution License)は MIT ライセンスと名前が似ているため MIT をさらに緩くしたものと説明されることがあります
ですが MIT-0 は単に条文を削った MIT ではありません
この記事では
- MIT-0 が何を目的に作られたのか
- MIT との決定的な違い
を整理します
MIT-0 が要求していること
MIT-0 の要件はほぼありません
MIT が求める
- 著作権表示の保持
- ライセンス文の保持
はいずれも要求されません
ではなにが要件として残っているのかというと
- 免責事項
こちらについては下で詳しく説明していきます
MIT との決定的な違い
- 両者の差について見ていきます
| 観点 | MIT | MIT-0 |
|---|---|---|
| 著作権表示 | 必須 | 不要 |
| ライセンス文 | 必須 | 不要 |
| 帰属表示 | 必須 | 不要 |
| 免責条項 | あり | あり |
上の表から表示義務があるかどうか
これが決定的な差と言えます
なぜ MIT-0 が生まれたのか
MIT-0 は、
Google が OSS 公開のために策定したライセンスです。
サンプルコード、設定ファイルなどに対し毎回著作権表示を書くことが負担となるいうことから表示義務を無くしてしまうというので生まれました
なぜ「パブリックドメイン」にしなかったのか
単に自由に使っていいと言いたいならパブリックドメイン宣言でよさそうに思えます
しかし実務では、パブリックドメインは国によって扱いが違うようです
- 放棄が認められない国
- 解釈が曖昧な国
- 法的に不安定な地域
このような国が存在するため
- 著作権は放棄しない
- ただし行使しない
- 免責は明示する
という構造を取ることで上記の問題を回避しました
MIT-0 が向いているケース
- 先ほど軽く触れましたが MIT-0 が使用されるのに適したケースを紹介します
- サンプルコード
- ボイラープレート
- 設定例
- 学習用リポジトリ
- コピー前提のテンプレート
これらは MIT-0 が生まれるきっかけになったテンプレートなどの基礎的な物の表示義務を放棄すると開発者が使用するハードルを下げるという副作用が見込めるため向いているケースと言えるのではないでしょうか
逆に、
- ライブラリ本体
- 長期メンテナンス前提
- クレジットを残したい場合
では何を使用しているのかを明確に表示することができる MIT の方が適していると思います
まだまだ少数派な MIT-0
MIT-0 の魅力について紹介してきましたが、まだまだ使用しているのは少数です
理由は単純です
- 著作権表示が消える
- 作者の痕跡が残らない
このようなことは多くの OSS 作者の使ってほしいが、名前は残したいという気持ちと相反してしまいます
そのため MIT のほうが心理的に選ばれやすいのです
結論
- MIT-0 は MIT の軽量版ではない
- 表示義務を完全に捨てた設計
- パブリックドメインの不安定さを回避するために作成された
- 実務では基礎的なコードに適している
MIT-0 は気にしてもらえないことを前提にしたライセンスと言えます
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