アルミフレーム机にスピーカーなどを固定する
アルミフレームによる机の自作は、その剛性や拡張性の高さから根強い人気があります。机の設計は架台を作るようなものでそこまで付け加えることもありませんが、アルミフレームの魅力はあらゆるものを机に取り付けられることにあります。

机の全体像(背面から)。ディスプレイアームやスピーカースタンドを机のフレームに直接取付けている
一般的なディスプレイアームやスピーカースタンドは、机に置くか天板をクランプで挟むことによって固定されます。しかし、アルミフレームで机を組む場合、机にそれらを固定するためのパーツを作ることで、クランプを使わず机に直接そうしたものを取付けることができます。
たとえば、ディスプレイアーム (Ergotron LX) は、直径35mmの円柱に直接取付けることができます。つまり、直径35mmのパイプが机から生えていればよいわけです。今回は入手性と強度の点から、外径35mm, 肉厚3mmのアルミパイプを使いました。
スピーカースタンドも同様に考えることができます。コンテンツ制作用のモニタスピーカーには、 iLoud Micro Monitor や Genelec 8x3x のように、UNC 3/8-16のネジでマイクスタンドに取付けられるようになっている機種もあります。この場合は、マイクスタンドの先端部分だけを高さ調節のできる形で机に取付ければ足ります。今回はK&M 20004を使用しました。

取付方法の概念図

取付部分の写真
まず、高さ固定タイプについて考えます。パイプ-金物、金物-アルミフレームというふうに2段階に分けて固定すると後の位置調整が楽になるので、素直にそのように作ります。金物(写真の黒い部分)は、すべて黒アルマイト加工のアルミ切削パーツです。当初市販の3DプリンタやMJFで制作してみたらクリープが起こるなど強度が不足したので、JLCCNCに発注しました。1個あたり数十ドルです。

高さ固定タイプの断面図
アルミパイプへの穴あけは自宅で電動工具を用いて行うため、穴の精度はまず出ません。1-2ミリは平気でズレますし、芯も振れます。といって一品物の加工を依頼するのも気が引けます。結果、ステンレス3Dプリントでパイプの内径にあわせたスペーサーを作り、これを介してナットで固定することにしました。
図面にはありませんが、ディスプレイアームのほかに電気スタンドも同様に固定しているので、パイプ径違いも作りました。組立性を向上するため、ステンレス3Dプリントでネジ山を形成し、タップでさらう方式を試してみましたが、安物のタップでは歯が立たず苦労しました。今回のようにほとんどバラさないものについては、組立時にスペーサーとナットを瞬間接着剤で仮止めすれば足ります。

固定長の取付金具の分解写真

固定長の取付金具を組立てた様子。左が電気スタンド用、右がディスプレイアーム用。
次に、長さ調節タイプについて考えます。固定位置を調節可能にする場合、パイプに直接穴をあけて留めることはできません。よくあるのはロッドクランプのように穴の横にスリットを切っておき、ボルトで締める構造です。しかし、この方法は1点物を作ろうとすると加工費が高くなってしまいます。このとき、とりうる選択肢は次の2つです。今回はパイプが塗装されており、個体差があることが予想されたので 2. の方式をとりました。
- パイプを固定するスリットつきブロックは既製品を利用する。
- パイプを固定するブロックを2つに割る。

高さ調節可能タイプの断面図
このブロックは典型的な三枚締めのケースです。固定ネジを緩めるとすべての部品が一度に緩んでしまうので、通常は避けるべきとされています。今回は一度固定したらそこまで動かさないと想定し、見た目を優先して三枚締めとしました。三枚締めをしない場合、ボルトの頭が8本も見えることになるので、さすがにゴツすぎるかなという判断です。

固定したパイプ類を前面から見たところ
以上のようにして机のフレームに直接機器類を固定できました。穴間の寸法はアルミフレームの溝間隔にあわせて調整してください。
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