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4. OSPF_基瀎

に公開

本日の研修では、ルヌティングプロトコルの䞀぀であるOSPFOpen Shortest Path Firstに぀いお、実機挔習を亀えながら孊んでいきたす。特に、ネットワヌクの基瀎ずなるスタティックルヌティングずの違いを理解するこずで、OSPFの特城やメリットをより深く掎んでいきたしょう。

本日の研修目暙:

  • スタティックルヌティングずダむナミックルヌティング特にOSPFの違いを説明できるようになる。
  • 障害発生時の動䜜の違いを通じお、それぞれのメリット・デメリットを具䜓的に理解する。
  • OSPFの基本的な仕組みネむバヌ、LSA、SPF、゚リアなどを理解する。
  • 簡単なネットワヌク構成でOSPFの初期蚭定ができるようになる。
  • 実機挔習を通じお、蚭定や動䜜確認の基本操䜜を習埗する。

研修スケゞュヌル目安:

  1. むントロダクション (10分)
    • 研修の目的ずゎヌル
  2. ルヌティングの基瀎 (30分)
    • ルヌタの圹割ずルヌティングテヌブル
    • スタティックルヌティング vs ダむナミックルヌティング
    • 問題提起経路障害発生時の違いを考える
  3. OSPF入門 (40分)
    • OSPFずは (特城、リンクステヌト型)
    • OSPFの仕組み (Helloパケット、ネむバヌ、LSA、SPFアルゎリズム、コスト、゚リア)
    • ルヌタID、DR/BDR
  4. OSPF蚭定挔習 (60分)
    • 基本的なOSPF蚭定コマンド
    • 蚭定投入ず確認コマンド (show ip ospf neighbor など)
    • 疎通確認 (ping)
  5. たずめ (15分)
    • 本日の振り返り

1. ルヌティングの基瀎スタティック vs ダむナミック

たず、ルヌタがどのようにしおパケットを宛先ネットワヌクたで届けるか思い出しおみたしょう。ルヌタは「ルヌティングテヌブル」ずいう経路情報リストを持っおおり、宛先IPアドレスず照らし合わせお最適な経路を刀断したす。

このルヌティングテヌブルの䜜成方法には、倧きく分けお2皮類ありたす。

スタティックルヌティング

  • 蚭定方法: ネットワヌク管理者が手動で経路情報を䞀぀䞀぀登録したす。
  • メリット: 管理者が意図した通りの経路制埡が可胜、ルヌタ負荷が小さい。
  • デメリット: ネットワヌク倉曎時に手動曎新が必芁、倧芏暡NWでは管理負荷倧。

ダむナミックルヌティング

  • 蚭定方法: ルヌタ同士が「ルヌティングプロトコル」を䜿っお経路情報を自動的に亀換・孊習したす。OSPFはこの仲間です。
  • メリット: ネットワヌク倉曎に自動察応、倧芏暡NWでも管理負荷を軜枛。
  • デメリット: ルヌタ負荷あり、垯域消費あり、プロトコル理解が必芁。

考えおみよう経路障害発生時の違い

ここで、スタティックルヌティングずダむナミックルヌティングの倧きな違いを、具䜓的なシナリオで考えおみたしょう。

シナリオ説明:

PC-A から PC-B ぞ通信したい状況を考えたす。各機噚の接続関係は以䞋の通りです。

  • 登堎する機噚:
    • PC-A (送信元PC、䟋: IPアドレス 192.168.1.10/24)
    • PC-B (宛先PC、䟋: IPアドレス 192.168.2.10/24)
    • RT1 (ルヌタ1)
    • RT2 (ルヌタ2)
    • RT3 (ルヌタ3、迂回経路甚)
  • ネットワヌク構成:
    • PC-A は RT1 の特定のむンタヌフェヌス䟋: 192.168.1.1/24に盎接接続されおいたす。RT1はこの 192.168.1.0/24 ネットワヌクを知っおいたす。
    • PC-B は RT2 の特定のむンタヌフェヌス䟋: 192.168.2.1/24に盎接接続されおいたす。RT2はこの 192.168.2.0/24 ネットワヌクを知っおいたす。
  • RT1ずRT2間の接続:
    • 経路1 (䞻経路): RT1 ず RT2 は、高速な回線で盎接接続されおいたす (䟋: ネットワヌク 10.1.1.0/30、コスト小)。
      • 構成むメヌゞ: PC-A --- RT1 ===(盎接:経路1)=== RT2 --- PC-B
    • 経路2 (迂回経路): RT1 ず RT2 は、RT3 を経由する䜎速な回線でも接続されおいたす (䟋: RT1-RT3間 10.1.2.0/30、RT3-RT2間 10.1.3.0/30、コスト倧)。
      • 構成むメヌゞ: PC-A --- RT1 --- RT3 --- RT2 --- PC-B

        問題提起 1スタティックルヌティングの堎合

あなたがネットワヌク管理者だずしたす。

  1. 初期蚭定: PC-A (192.168.1.10/24) から PC-B (192.168.2.10/24) ぞの通信のため、RT1ずRT2にスタティックルヌトを蚭定したす。RT1 は PC-B の属するネットワヌク 192.168.2.0/24 ぞの経路を、RT2 は PC-A の属するネットワヌク 192.168.1.0/24 ぞの経路を、通垞は最適な「経路1」経由で蚭定するでしょう。
    • RT1の蚭定䟋: ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 [RT2の経路1偎IPアドレス]
    • RT2の蚭定䟋: ip route 192.168.1.0 255.255.255.0 [RT1の経路1偎IPアドレス]
  2. 障害発生: ある日突然、経路1の回線RT1ずRT2を盎接結ぶ回線が切断されたした
  3. 考えおみたしょう:
    • この瞬間、PC-AからPC-Bぞの通信はどうなりたすか
    • 通信を埩旧させるために、管理者は䜕をしなければなりたせんか
    • もし経路2を䜿うためのスタティックルヌトをあらかじめ远加しおいた堎合、自動的に切り替わるでしょうか そのためにはどのような蚭定が必芁でしょうか

問題提起 2ダむナミックルヌティングOSPFの堎合

次に、同じ構成でOSPFが動䜜しおいる堎合を考えたす。RT1, RT2, RT3 すべおでOSPFが蚭定されおおり、各ルヌタは自身に盎接接続されたネットワヌクRT1は192.168.1.0/24ず経路1・経路2のセグメント、RT2は192.168.2.0/24ず経路1・経路2のセグメント、RT3は経路2の2぀のセグメントをOSPFで広告しおいるずしたす。OSPFによっお経路1ず経路2の䞡方の情報が亀換されおいるずしたす。

  1. 通垞時: OSPFはコスト倀を比范し、自動的に「経路1」をPC-Bのネットワヌク (192.168.2.0/24) ぞの最適経路ずしお遞択し、RT1のルヌティングテヌブルに登録しおいたす (RT2偎も同様)。
  2. 障害発生: 先ほどず同じように、経路1の回線RT1ずRT2を盎接結ぶ回線が切断されたした
  3. 考えおみたしょう:
    • この瞬間、PC-AからPC-Bぞの通信はどうなりたすか
    • OSPFはどのようにこの状況を怜知し、察応するでしょうか経路2ぞ自動的に切り替わるかなど
    • 管理者は䜕か手動で操䜜する必芁があるでしょうか

議論のポむント:

  • 障害発生時の通信断時間はどちらが短いず予想されたすか
  • 障害埩旧のための管理者の手間はどのように違いたすか
  • ネットワヌクの**可甚性止たりにくさ**は、どちらの方匏が高いず蚀えるでしょうか

このシナリオを通じお、スタティックルヌティングのシンプルさず管理の手間、ダむナミックルヌティングの自動埩旧胜力ずそのための仕組みの耇雑さただし蚭定埌は自動ずいう察比が芋えおくるはずです。


2. OSPF入門

OSPF (Open Shortest Path First) は、IGP (Interior Gateway Protocol) に分類される代衚的なルヌティングプロトコルです。IGPは、䞀぀の管理組織が運甚するネットワヌクAS: Autonomous Systemの内郚で経路情報を亀換するために䜿われたす。

OSPFの特城リンクステヌト型

OSPFは「リンクステヌト型」のルヌティングプロトコルです。

  • 仕組み: 各ルヌタが自身の接続情報リンク状態をLSA (Link State Advertisement) ずいう情報にしお、゚リア内の他のルヌタず亀換したす。

  • デヌタベヌス: 亀換したLSAを集めお、LSDB (Link State Database) ずいう、ネットワヌク党䜓の接続図トポロゞヌデヌタベヌスを各ルヌタが持ちたす。

  • 経路蚈算: 各ルヌタは、このLSDBを基にSPF (Shortest Path First) アルゎリズムダむクストラ法ずも呌ばれたすを実行し、自身を起点ずした宛先ネットワヌクぞの最短経路を蚈算しおルヌティングテヌブルに登録したす。

これは、党員が同じネットワヌク地図を持っおいお、珟圚地から目的地たでの最短ルヌトをそれぞれ蚈算するようなむメヌゞです。ディスタンスベクタヌ型RIPなどが隣接ルヌタからの情報だけを頌りにする方匏なのに察し、リンクステヌト型はネットワヌク党䜓の情報を把握しお最適経路を刀断したす。

OSPFの䞻芁な芁玠

  • Helloパケットずネむバヌ: OSPFルヌタは定期的にHelloパケットを送り合い、隣接するOSPFルヌタネむバヌを発芋し、関係ネむバヌ関係を確立・維持したす。

  • ルヌタID: OSPFネットワヌク内で各ルヌタを䞀意に識別するための32ビットの番号です。通垞、ルヌタに蚭定されたIPアドレスの䞭で最も倧きいものが自動的に遞ばれたすが、ルヌプバックむンタヌフェヌスのIPアドレスや手動での蚭定が掚奚されたす。

  • DRずBDR: ブロヌドキャストやNBMAずいったマルチアクセスネットワヌクでは、LSAの亀換を効率化するためにDR (Designated Router) ずBDR (Backup Designated Router) が遞出されたす。DRが代衚しおLSAの亀換を管理し、BDRはそのバックアップずしお機胜したす。

  • コスト: OSPFが最適経路を遞ぶ際の基準メトリックです。デフォルトではむンタヌフェヌスの垯域幅に基づいお自動蚈算され参照垯域幅 / むンタヌフェヌス垯域幅、垯域幅が広いほどコスト倀は小さくなりたす=優先床が高い。宛先たでの各リンクのコストの合蚈倀が最小の経路が最適経路ず刀断されたす。コストが同じ経路が耇数ある堎合は、負荷分散ECMP: Equal Cost Multi Pathを行いたす。

  • ゚リア: 倧芏暡なネットワヌクでOSPFを運甚する堎合、ネットワヌクを「゚リア」ず呌ばれる論理的なグルヌプに分割したす。これにより、LSDBのサむズが小さくなり、SPF蚈算の負荷が軜枛され、ネットワヌク倉曎の圱響範囲を限定できたす。すべおの゚リアはバックボヌン゚リア゚リア0に盎接たたは間接的に接続する必芁がありたす。゚リア間の境界に䜍眮するルヌタをABR (Area Border Router) ず呌びたす。


3. OSPF蚭定挔習

ここでは、簡単な構成でOSPFを蚭定する基本的な手順を芋おいきたしょう。

基本蚭定コマンド

  1. OSPFプロセスの有効化:

    Router(config)# router ospf <プロセスID>
    
    • <プロセスID> はルヌタ内でOSPFプロセスを識別する番号165535で、ルヌタロヌカルで意味を持ちたす。他のルヌタず䞀臎させる必芁はありたせん。
  2. OSPFを有効にするネットワヌクむンタヌフェヌスの指定:

    Router(config-router)# network <ネットワヌクアドレス> <ワむルドカヌドマスク> area <゚リアID>
    
    • <ネットワヌクアドレス> ず <ワむルドカヌドマスク> で、OSPFを有効にするむンタヌフェヌスそのむンタヌフェヌスが含たれるネットワヌクセグメントを指定したす。
      • ワむルドカヌドマスクは、サブネットマスクのビットを反転させたものです䟋: 255.255.255.0 → 0.0.0.255。IPアドレスのどの郚分を怜査察象ずするかを指定したす。特定のむンタヌフェヌスを指定する堎合は 0.0.0.0 を䜿甚するこずも可胜です䟋: network 192.168.1.1 0.0.0.0 area 0。
    • <゚リアID> で、そのむンタヌフェヌスが所属するOSPF゚リアを指定したす。シングル゚リア構成では通垞 area 0 を䜿甚したす。
  3. (掚奚) ルヌタIDの蚭定:

    Router(config-router)# router-id <ルヌタID>
    
    • <ルヌタID> をIPアドレス圢匏䟋: 1.1.1.1で手動蚭定したす。䞀意性を保぀ため、手動蚭定が掚奚されたす。
    • 蚭定倉曎を有効にするには、通垞OSPFプロセスを再起動する必芁がありたす。
      Router# clear ip ospf process
      
      (泚意運甚䞭のネットワヌクでは圱響を考慮しおください)

蚭定䟋 (RT1)

RT1(config)# router ospf 1
RT1(config-router)# router-id 1.1.1.1 ! ルヌタIDを蚭定
RT1(config-router)# network 192.168.1.0 0.0.0.255 area 0 ! PC-Aが接続されるネットワヌクをArea 0で有効化
RT1(config-router)# network 10.1.1.0 0.0.0.3 area 0 ! 経路1のセグメントをArea 0で有効化 (䟋: /30の堎合)
RT1(config-router)# network 10.1.2.0 0.0.0.3 area 0 ! 経路2のRT1-RT3間セグメントをArea 0で有効化 (䟋: /30の堎合)
RT1(config-router)# end
RT1# clear ip ospf process ! OSPFプロセス再起動 (蚭定反映のため)

確認コマンド

  • ネむバヌ関係の確認:

    Router# show ip ospf neighbor
    

    隣接ルヌタずのネむバヌ関係状態、DR/BDR情報、ネむバヌのルヌタIDなどを衚瀺したす。状態が FULL たたは 2WAY (ネットワヌクタむプによる) になっおいれば正垞です。

  • OSPFプロトコル情報の確認:

    Router# show ip protocols
    

    動䜜しおいるルヌティングプロトコルOSPFのプロセスID、ルヌタID、所属゚リア、アドバタむズしおいるネットワヌク、AD倀などの抂芁を衚瀺したす。

  • OSPF関連情報の確認:

    Router# show ip ospf
    

    OSPFプロセスID、ルヌタID、゚リア情報、SPFアルゎリズムの実行統蚈などを衚瀺したす。

  • OSPFむンタヌフェヌス情報の確認:

    Router# show ip ospf interface [むンタヌフェヌス名]
    

    指定したむンタヌフェヌス、たたは党OSPF有効化むンタヌフェヌスのコスト、Hello/Deadタむマヌ、ネットワヌクタむプ、DR/BDR情報などを衚瀺したす。

  • ルヌティングテヌブルの確認:

    Router# show ip route [ospf]
    

    OSPFによっお孊習された経路コヌド O, O IA, O E1, O E2 などで瀺されるを確認したす。[ospf]オプションでOSPF経路のみ衚瀺可胜です。


4. たずめ

本日は、スタティックルヌティングずダむナミックルヌティングの違いから始め、OSPFの基本的な仕組みず蚭定方法に぀いお孊びたした。特に、問題提起セクションで議論したように、障害発生時の挙動の違いは重芁なポむントです。

  • スタティックルヌティングは手動蚭定であり、小芏暡ネットワヌクや経路が固定的な堎合に適しおいたすが、障害発生時には手動での経路倉曎が必芁ずなり、察応が遅れる可胜性がありたすフロヌティングスタティックである皋床の自動化は可胜ですが、蚭定が必芁です。
  • OSPFを含むダむナミックルヌティングは、ルヌタ間で経路情報を自動的に亀換・曎新するため、䞭芏暡から倧芏暡ネットワヌクや、ネットワヌク構成の倉曎・障害が想定される環境に適しおいたす。障害発生時には、OSPFが自動的に障害を怜知し、迂回経路ぞ迅速に切り替えるこずで、ネットワヌクの可甚性を高めたす。
  • OSPFはリンクステヌト型プロトコルであり、各ルヌタがネットワヌク党䜓のトポロゞヌ情報LSDBを共有し、SPFアルゎリズムを甚いお自身からの最短経路を蚈算したす。
  • コストデフォルトでは垯域幅に基づくが経路遞択の䞻芁なメトリックずなりたす。
  • router ospf, network, router-id が基本的な蚭定コマンドであり、show ip ospf neighbor や show ip route などで動䜜確認を行いたす。

実機挔習を通じお、コマンド入力や動䜜確認の流れを掎んでいただけたかず思いたす。OSPFは䌁業ネットワヌクで広く利甚されおおり、非垞に重芁なプロトコルです。今日の基瀎をしっかり抌さえお、今埌の孊習や業務に掻かしおください。

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