ObsidianとGemini CLIで知識を育てる:第二の脳は作曲もする
はじめに:インプットした知識、ちゃんと「自分のもの」になってますか?
こんにちは!
Zennや技術ブログを読んで、「なるほど!」と思った知識。数週間後、いざ使おうとしたら「あれ、なんだっけ…?」と、結局もう一度ググり直す…。そんな経験、ありませんか?
私たちは毎日たくさんの情報をインプットしますが、その多くは「消費」するだけで、自分の「資産」にはなっていません。これでは、せっかくの学びがもったいないですよね。
この記事で提案するのは、インプットした知識を、AIの手を借りて、いつでも使える「自分だけの知識体系(セカンドブレイン)」へと育てていく新しい方法です。
難しい話はありません。目指すのは、面倒なことはAIに任せて、知識が勝手に繋がり、賢くなっていく仕組みづくりです。
その考え方のヒント:「Zettelkasten(ツェッテルカステン)」
今回の仕組みの裏には、「Zettelkasten」というドイツ生まれのメモ術があります。考え方は驚くほどシンプルです。
メモは、一個一個バラバラだと意味がない。繋げて初めて、すごい力を発揮する。
たったこれだけです。メモ同士をリンクで繋げることで、後から見返したときに新しい発見が生まれたり、アイデアが閃いたりする確率がグンと上がります。
でも、これを手作業でやるのは、正直めちゃくちゃ面倒くさい…。
そこで、AIの出番です。
このZettelkastenの「面倒な部分」を、Gemini CLIに「執事」や「アシスタント」のように丸投げしてしまいましょう。
AI活用法の違い:今回は「育てる」ことに集中する
AIの活用法はたくさんありますが、その中でも、yydevelopさんの記事「ObsidianとGemini CLIで知識を育てる:第二の脳を構築する実践ガイド」で紹介されている、GEMINI.mdにカスタムコマンドを定義するというアイデアは画期的です。
yydevelopさんの記事のようにAIをアイデアの壁打ち相手にするのも素晴らしい使い方ですが、この記事では、その画期的な仕組みを「知識を育てる」という、また別の目的に応用してみます。目指すのは「知的生産のプロセス全体を支えるパートナー」としてのAI活用です。
【実践例】新しいフレームワーク「Svelte」を学ぶなら?
この仕組みがどれだけパワフルか、具体的な例で見てみましょう。
従来の学習法(情報を「消費」するだけ)
- 公式サイトのチュートリアルを読む。
- YouTubeで解説動画を見る。
- 参考になりそうなQiita記事をいくつかブラウザでブックマークする。
→ 1ヶ月後、ほとんど忘れている。ブックマークも見返さない。
新しい学習法(知識を「育成」する)
-
【とりあえず保存】
公式サイトや参考記事を見つけたら、すかさずObsidian Web Clipperでページ全体をObsidianに保存します。 -
【AIで下ごしらえ (Step 1)】
workflow:create_literature_noteを実行。するとGeminiが、保存した記事を自動で要約し、「知識の種」として整理してくれます。 -
【自分の言葉でメモ】
学習中に「Svelteのこの思想は、Reactより直感的かも」といった気づきがあれば、それもObsidianにメモしておきます(FleetingNote)。 -
【AIに構造化をお任せ (Step 2)】
週末にworkflow:draft_permanent_noteを実行。するとGeminiが、「"Reactivity"や"State Management"に関するノートが溜まっていますね。これらを統合して**『Svelteの思想』**というノートを作りませんか?」と提案してくれます。OKすると、関連ノートへのリンクがまとまった、自分だけのオリジナル解説ノートが誕生します。 -
【自動ファイリング (Step 3)】
最後にworkflow:update_index_noteを実行。新しくできたノートが、目次ファイルに自動で登録されます。
→ 1ヶ月後、あなたは単にSvelteを学んだだけでなく、「自分だけの、いつでも参照できるSvelte知識体系」を手にしています。 これが、知識を「資産」にするということです。
知識を“育てる”3つのワークフロー
この仕組みは、3つのシンプルなワークフロー(カスタムコマンド)で動いています。
Step 1: 【種まき】 AIが情報を要約し、知識の種を作る
Step 2: 【芽吹き】 AIが知識を繋ぎ、新しい発見を促す
Step 3: 【ファイリング】 AIが目次を更新し、知識を迷子にしない
【応用編】セカンドブレインは作曲もする!
この「知識を育てる」という考え方は、プログラミング学習だけでなく、クリエイティブな活動にも応用できます。例えば、DAWを使って作曲をしている方なら、こんなワークフローはいかがでしょうか。
Step 4: 【インスピレーションの解析】 AIが音声素材を知的に分析する
DAWでふと作ったドラムループや、参考にした楽曲の一部(.wavや.mp3)を特定のフォルダ(AudioSource/)に保存しておきます。
そして、新しく定義した /workflow:analyze_audio_source を実行します。このワークフローは、単にファイル情報を表示するのではありません。技術的な解析と、Web上の集合知を組み合わせ、あなたの創作を刺激する「評価」と「提案」を行います。
### `/workflow:analyze_audio_source`
**目的**: `AudioSource/`フォルダの音声ファイルを技術的・音楽的に分析し、創作のインスピレーションとなる評価と提案をまとめたノートを作成します。
**アクション**:
1. **音声ファイルの検出 (Gemini)**: ...
2. **技術的特徴の解析 (Gemini)**:
* `librosa`ライブラリを使い、音声からテンポやキーなどの特徴を抽出します。
3. **Web情報の収集 (Gemini)**:
* ファイル名から曲名を特定し、Web検索でジャンル、ムード、レビューなどの関連情報を収集します。
4. **AudioNoteの作成 (Gemini)**:
* 技術データとWeb情報を統合し、「どんな曲か」「どういうフレーズやリズムが使えそうか」といった評価と提案を含むノートを`AudioNote/`に作成します。
5. **処理済みファイルの移動 (Gemini)**: ...
実際に実行すると、Geminiは音声ファイルを解析し、以下のようなインテリジェントなノートを自動で作成してくれます。

このように、自分が作った素材やインスピレーションの源泉を、後から検索・参照可能な「音のZettelkasten」として育てていくことができるのです。
Step 5: 【アイデアの具現化】 AIとの共同作曲
さらに、この仕組みは分析に留まりません。/workflow:generate_music_idea を実行すれば、あなたの創造的な指示と、AIによる分析結果を融合させ、具体的な音楽アイデアをMIDIとWAVファイルとして生成します。
### `/workflow:generate_music_idea`
**目的:** `FleetingNote`に記述された創造的な指示と、任意で指定された`AudioSource`の技術的特徴を組み合わせ、具体的な音楽アイデアをMIDIファイルとWAVファイルとして生成します。
**アクション:**
1. **ユーザーの操作**:
* `FleetingNote/`に、実現したい音楽のアイデア(例:「Eマイナーキーで、BPM120くらいのアンビエントな曲」)を記述したノートを作成します。
* (任意)`AudioSource/`に、参考にしたい音声ファイル(.wav, .mp3)を配置します。
* (必須)`my_vault/SoundFonts/`に、`default.sf2`という名前でGeneral MIDI対応のSoundFontファイルを配置します。
2. **Geminiの自動処理**: ...
例えば、「beat_idea.mdに書いた『創造的なリズム』という指示と、参考曲.mp3の雰囲気を参考に、新しい曲を作って」とお願いすると、Geminiは以下のように動作します。
-
beat_idea.mdから「創造的に」という意図を読み取る。 -
参考曲.mp3を解析し、テンポ(約129BPM)とキー(Eメジャー)を特定する。 - これらの情報を統合し、Pythonスクリプト(
librosa,midiutil,fluidsynthを使用)を実行。 - 結果として、キーがEメジャーでBPM129の、新しいメロディとコード進行を持つMIDIファイルとWAVファイルを生成する。

このように、漠然としたアイデアの種(FleetingNote)と、具体的な参考音源(AudioSource)をAIに渡すだけで、具体的な音楽のスケッチが自動で生成されるのです。これはまさに、AIとの共同作曲と言えるでしょう。
おわりに:AIは、あなたの思考を拡張するパートナー
AIに答えを出させるのではなく、AIに面倒な作業を任せる。そうすることで、私たち人間は、より高次の「どのテーマを探求しようか?」「この知識とあの知識をどう繋げようか?」といった、本当に面白くて創造的な活動に集中できます。
AIは、私たちの思考を代替するものではなく、拡張してくれる最高のパートナーです。
ちなみに、この記事の構成や言い回しも、Geminiとの対話を繰り返しながらブラッシュアップしました。まさにAIとの協業です。
ぜひ、このワークフローを試して、あなただけの「セカンドブレイン」を育ててみてください!
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