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ファイルとフォルダの命名規則 2025

に公開

2000年以降に生まれた人たちが第一線で仕事をするようになり、西暦の下二桁が日付の最大31を超える2032年まであと7年となりました。
2000年問題に対処した人が2100年にも仕事をしているケースはほぼ無いでしょうし、コンピュータの性能向上により年を10進数2桁で保存する処理を書く人はもういないと思います。

そんななか、先日見てしまったんです。

250420-文書名.xlsx

というファイル名を作る人を。

年度の変わり目ということもあり、ちょっと考えてしまったことが続いたので文書化してみようと思います。

日付フォーマット

そもそも / がファイル名に使えないのですが、区切る場合の標準は、

https://ja.wikipedia.org/wiki/ISO_8601

のとおり YYYY-MM-DD です。

  • 西暦の年・月・日 の区切りは -
  • 和暦の年・月・日 の区切りは .

区切りを - にしたので、日付の前後の区切りは _ になって、

2025-04-20_文書名.xlsx
文書の種類名_2025-04-20_文書名.xlsx

になります。ぜひ - で区切ってください。ファイル名が年から始まってるのに、探すときには年は念頭になくて「5月の...何日だっけ...」とか思ってることが多いはずです。ファイルがたくさん並ぶと目が滑ります。

日付と時刻の間の T は、ログファイルならともかく、人が作るファイル名で "年月日時分秒" が必要になることは少ないと思うので、必要なら _ の後に書いてもらえば良いでしょう。どうせ : が使えないので完璧に準拠はできません。

フォルダ内のファイル・フォルダの数

上限: 1 画面に収まるように

Explorerだけでなく OneDrive や BOX で見る人がいる場合、スクロールを強制するのは控えてください。ブラウザの遅延更新を待つのがストレスです。

下限: 5 個以上になるように

特にサブフォルダの数が少ない場合、本当にサブフォルダが必要か考えたほうがいいです。

ファイルの数が少ないのは、本来のフォルダとしての「関連する複数のファイルをまとめる」役割によるものかもしれないので一概に悪いとは言いません。たくさんのメール本文と添付ファイルを全部単一のフォルダにバラまいて管理したい人間はいないでしょう。

とはいえ、「ほとんどのサブフォルダが中にファイルを 1 つしか持っていない」状態になったら再考が必要です。

階層の深さを3までに

5-7-5 で作れとは言いませんが、短期記憶に残りやすい程度の情報量で場所を伝えられるようにしてください。

もちろん、前提条件として共有している部分は除きます。

(プロジェクト用フォルダがあって)「aaa/bbb/ccc の下」(に日付順のフォルダがある)

くらいじゃないと、説明するほうも大変じゃないですか?

ファイル・フォルダの個数と階層のバランス

一例として5 年間、毎日1ファイル作らなければならないケースを考えます。

  • YYYY-MM-DD.txt だと 1 フォルダに 1825 ファイル
  • YYYY/MM-DD.txt だと 1 フォルダに 365 ファイルあるフォルダが 5 個
  • YYYY-MM/DD.txt だと 1 フォルダに 31 ファイルあるフォルダが 60 個
  • YYYY/MM/DD.txt だと 1 フォルダに 31 ファイルあるフォルダが 12 個で、これが 5 個

最後のものなどは子アイテムの最大が 31でちょうどよさそうですが、フォルダの性質を考えると、1年間の間は「毎回 YYYY をダブルクリックする」のです。

「1年間毎回これをダブルクリックする」がフォルダの上位にあれば年度替わりで自分のショートカットを切り替えればいいのですが、これがフォルダツリーの中間にあったら邪魔じゃないですか?

ファイルの分類

ファイル名を見ただけで、そのファイルがどのフォルダに置かれるべきなのかわかるようにしてください。分類aaa bbb ccc の略称 a b c を作って

/aaa/bbb/ccc/abc-nnn_文書名.xlsx

といった構造を考えてみてください。

ファイルを渡しておいて「このファイル、原本どこにあるの?」という質問に答えるの面倒ですよね?

作ってはいけないファイル・フォルダ

OLD / backup

ほかの手段を考えてください。バージョン管理システムを覚えろというわけではありません。どういった意図ででOLDに置いたのか、他の人に伝わりますか?
まだ参照する必要があるファイルなら明確にファイル名に「昔の情報」と書くべきです。
見なくていいファイルなら見えないところに持って行ってください。
現行ファイルが入っているフォルダ以下の検索で検出されても迷惑でしかない。古い情報も含めて検索したくなったらそのように指定して検索すればいいので、違ったところに保存してほしい。

バージョン管理システムを使うソースファイルでも obsolete ディレクトリは残っていたりしますよね。 old とは意味合いが違います。

WORK / TEMP / 個人用

WORK って何のつもりですかね。「仕事」の英訳ですかね。仕事の成果物ならそのまま保存してください。それとも、成果物にならないものを作っているのですか?
ドラフトだから人に出せない? そんなことはありません。あたなの貴重な時間を使った成果物はみんなで大事にします。明日あなたが熱を出して休むことになっても誰かがフォローできるよう、最新版を共有できる状態にしてください 😢

その他

「その他」って何ですか。このファイルなんですか?と聞いて帰ってきた答えで分類しなおしてみてください。そもそも仕事の成果物で「その他」って。「その他xxxに関する資料」なら「xxxに関する資料」で分類してください。

何が問題って、「その他」のフォルダだと、中を見て読んでみるまで何があるかわからないんです。

分類のないファイル

プロジェクトフォルダのルートにとりあえず置いてませんか。

注意が必要なファイルなど

派生版

どれだけ理想を語っても、最初からゴールに一直線で向かうのは至難の業です。試行錯誤や比較検討は必要です。ファイル名に _ver2 _bk を付けたくなるのはわかります。でもここで使用してほしいのは、どういった目的で存在するファイルなのかを示すキーワードです。 Git でいえばブランチ名です。単なる番号や日付だけでは困ります。
ただし、番号だけでもそれが意味を持っていて共有できている場合には、存分に派生してください。とはいっても「new」とか「次期」を使いたくなったら要注意です。

_最新版

ここまで読んだら、 _最新版 ファイル名がどんな面白い状況をうみだすか想像できますよね。

潔く、何もついてないのが現時点で正式に共有できる版、としてください。

連番の採番と変更ルール

ゼロから連番、文書の種類ごとに100番台・200番台を分ける、いろいろあると思います。

管理が面倒だと文書を作らなくなります。見つけるのが大変だと誰も見つけようとしなくなります。プログラムと同じく、書いている時間より読むことを必要としている時間のほうが長いです。書く労力が大変なことは承知しているので、 小さくていいからとにかく書き始めて残して変更して改善してほしい 。その際、連番は変更できたほうが作りやすく、あったほうが整理しやすいです。

気軽に番号振って書き始めてほしいものですが、一度付与したファイル名を変更すると参照元の文書も変えなければならない、という話が出ます。でも ファイル名≒文書の名前 であることを考えてほしい。参照させるときファイル名を書きたくなるのですが、

aaa/bbb/ccc/abc-010_ZZZZ.xlsx

であれば、

  1. ファイル名を書かず、「abc_ZZZZ を参照」と変更の可能性ある連番を含まない名称を使用する

    実際に参照しようとするとちょっと苦労するかもしれない。

  2. ファイル名を書いて、事象が発生する確率を鑑みて手作業で修正することにする

    そもそも、そんなにあちらこちらの文書を参照しなければならないか?

  3. ファイル名を書いて、参照先のファイルは執筆時点では確かにそこにあったものを参照することにしていた、と判断して、やはり手作業で直させる

    もしかしたら、古い版を参照しないと参照元の文書との整合性が取れなくなってたりするかもしれません。

  4. ファイル名を書くいて、参照先のファイルががまだ同名で存在することを自動的に確認するしくみを作る

    修正は手作業なんですけどね。

の、どの作戦にするのかは考えておいたほうがいいでしょう。ファイルの修正履歴をどのレベルで管理するのかプロジェクトと相談です。

ドキュメント台帳

本当に要りますか?ファイル一覧の情報しかないなら、自動で作ってください。

ファイルのステータスによって場所が移動する

逆に、

  • ドラフト
  • 提出済み
  • 期限切れ

これらのフォルダをファイルが移動する運用は、一か所で管理するように変更してドキュメント台帳に状態を記載したほうがいいかもしれません。

未解決の事項

  • ファイル名に日付がついてないと最新版かどうかわからない、という意見

    「メールで送るファイル名には送付日付を付けるのがマナーじゃないの?」

    『日付がついてたら最新版かどうかわかるの?』(ちょっと意地の悪い聞き方ですね)

    「向こうの人が見ているファイルとちがうということはわかるよ。向こうだって自分がいつのファイルを送ったか気づけるようじゃないと困るでしょ」

    というお話なのですが、文書をどうやって共有するかの問題なので、今回深入りしません。
    「_最新版」よりはマシですけどね…。

  • ファイル名に版数をつけたい。どのタイミングで改版する?、という質問

    「版数管理が必要なとき」に付けたらいいと思います。

    どちらかというと、対外的な必要性で版数が必要となっているのではないでしょうか。これも外部とのコミュニケーションの問題なので、ファイルの命名規則の話とは分けて考えたいです。

  • 日付の区切りに - を使うと、Explorerでファイル選択の頭出しに 20250420... の文字をテンキーで爆速で打てる人が不便を被る

    私は仕事中フルキーボードがおけるような環境ではないので「そうですか」の感想以上のものは出ないんですが、テンキーの - も爆速で打てるように慣れてもらいましょう。

最後に

冒頭にも書きましたが再掲。

プログラミングでの関数名・変数名の命名がうまい人は、ドキュメントの命名もよく考えてつけてるれるんじゃないかな?と勝手に想像しています。

そして、 変更は少しずつ

鶴の一声でストレージサービスの引っ越しが決定したのでなければ、ルールの変更は少しずつ、試してみてから利用者が「なるほどそのほうが便利かも」と思える状況になってから実施しましょう。

いろいろなことを一度に変えると拒否反応が出て、どれも変わらないまま元に戻ります。

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