あらゆる情報を「いい感じ」に。個人データ分類・収納のススメ
はじめに
私たちは日々、人との予定、タスク(ToDo)、ランチの写真、日記、お金の記録など、様々な情報に囲まれて生活しています。これらの多様な情報をうまく保存し、活用していくためには、情報の「整理整頓」が不可欠です。
世の中には、こうした情報を便利に管理できるソフトウェアが数多く存在しますが、選択肢が多すぎてかえって混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。
この記事では、あらゆる情報を「タスク・予定」「メディア」「テキスト」 の3つに大別し、それぞれに適した方法で管理するという『個人データ分類・収納のススメ』を共有します。
「いい感じ」の定義
この記事では、以下の要件を満たす状態を「いい感じ」と定義します。
- セキュリティが確保されている(機密性・完全性・可用性)
- ユーザーにとって使いやすい(ユーザーフレンドリーである)
- 無料または手頃な価格で利用できる
- 特定の企業やサービスに過度に依存しない
- オープンフォーマットやオープンソースが望ましい
- データのバックアップが容易である
いきなり結論
自分に関するあらゆるデータを「いい感じ」に扱うにはどうすればよいか。2025年6月時点での、私なりの結論を共有します。本質は、データを3種類に大別し、それぞれを最適なツールで独立して管理することです。
- 分類: 全てのデータを「タスク・予定」「メディア」「テキスト」、そして「その他」に分類する。
-
タスク・予定:
Google カレンダー
で管理する。 - メディア: 個人の状況に応じて、ローカルストレージとクラウドストレージを使い分けて保存する。
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テキスト: マークダウン形式(
.md
)で記述し、フォルダ階層で管理する。保存場所はローカルまたはクラウド。 - その他: 分類できないデータは極力減らし、本当に重要なものだけをクラウドで管理する。
なぜ3つに分けるのか?
データを3つに分ける理由は、この分類が直感的で分かりやすく、かつ現状ではそれぞれに特化した優れた管理方法が存在するため、結果として効率が良いからです。
理想を言えば、あらゆるデータを一元管理できる「いい感じ」のサービスがあれば良いのですが、私の知る限りでは存在しません。仮に存在したとしても、高価なSaaS(Software as a Service)になる可能性が高いでしょう。それならば、自分でNAS(Network Attached Storage)を構築したり、VSCode
のような高機能エディタを活用したりする方が、コストパフォーマンスや自由度の面で優れていると私は考えます。
分類:すべての情報を3つに分ける
全ての情報をたった3つに分類するというのは、大胆な提案に聞こえるかもしれません。しかし、意外と実用的です。
タスク・予定
ここで「タスク」とは「やるべきこと・やりたいこと」を、「予定」とは「特定の時間に発生するイベント」を指します。例えば、「洗濯をする」はタスク、「友人と会う」は予定です。期限が明確でない「買い物リスト」のようなものもタスクとして一元管理します。
タスクは予定と異なり、期限を過ぎても完了するまでリストに残り続ける、という点が特徴です。
テキストファイル
「テキストファイル」とは、その名の通り文字情報だけで構成されるファイルです。日記や議事録、アイデアメモ、そして日々の家計簿などもテキストファイルとして管理できます。
メディアファイル
動画、画像、音声ファイルのほか、特定のソフトウェア(Microsoft Word
やExcel
、Adobe製品など)に紐づく専用ファイルもここに分類します。これらはテキストエディタで開いても直接内容を解読できない「バイナリファイル」である、と定義します。
管理:分類したデータをどう扱うか
前の章でデータを3種類に分類しました。この章では、分類したデータをそれぞれどのように管理するのが良いか、2025年6月12日時点でのベストプラクティスを紹介します。
ただし、これはあくまで一例です。ここで紹介する方法が使えない環境であっても、同様の考え方で代替ツールを探すことで、最適な管理体制を築くことができるはずです。
タスク・予定の管理
タスクと予定の管理には、カレンダーアプリの活用が最適です。私はGoogle カレンダー
を利用していますが、タスク管理機能とカレンダー機能が統合されていれば、他のアプリでも問題ありません。
この方法は、特定企業(Google)への依存という点で懸念はありますが、カレンダーデータを標準形式(.ics
)で書き出して他のサービスへ移行することも可能です。その圧倒的な利便性は、デメリットを上回ると言えるでしょう。
テキストファイルの管理
テキストファイルは数が多くなりがちなので、一貫したルールで管理することが重要です。
-
マークダウン記法で書く
まず、ファイルの記述形式にはマークダウン記法をお勧めします。見出しやリストなどを簡単な記号で記述できるため、文章の構造が分かりやすく、後から見返しやすいからです。 -
フォルダ階層で整理する
これらのファイルはPCのフォルダのように、階層構造(ディレクトリ構造)で分類・管理します。「仕事」「趣味」「学習」のように大別し、さらに細かくフォルダ分けしていくと良いでしょう。 -
エディタと同期設定
この方法で整理されたファイル群は、Obsidian
、VSCode
、Boostnote
といった多くのマークダウンエディタでそのまま編集できます。中でも、PC版とモバイル版があり、同期も容易なObsidian
は特におすすめです。データの保全性を高めるため、
Google Drive
やOneDrive
などのクラウドストレージと同期してバックアップを取りましょう。ローカルフォルダとクラウドを同期するツールは数多くありますが、私はAndroidアプリのFolderSync
などを活用しています。また、Obsidian
には公式の有料同期サービス(Obsidian Sync)もあります。
この仕組みを整えれば、あとは自由にテキストファイルを活用するだけです。例えば、以下のような工夫でさらに便利になります。
- 日記や議事録のテンプレートを用意する
- 自分なりのフォルダ収納規則をつくる
- 拡張機能を使ってグラフなどを作成する
この方法は、先に挙げた「いい感じ」の要件をほぼ全て満たしています。
メディアファイルの管理
メディアファイルは容量が大きくなりがちで、管理に最も頭を悩ませるポイントかもしれません。
私の結論は、『基本はローカルストレージ(PCや外付けHDD)で管理し、本当に重要なファイルのみクラウドで同期・バックアップする』という方法で対応しています。
ただし、写真については例外があります。私はよく写真を撮るので、Amazonプライム
の特典であるAmazon Photos
を利用しています。プライム会員であれば容量無制限で写真を保存できるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。(※2025年6月現在の情報です)
ローカル保存を主体とすることで特定企業への依存度を下げつつ、クラウドバックアップで可用性を確保します。Amazon Photos
のようなサービスは便利ですが、サービス内容が将来変更されるリスクは常に念頭に置いておきましょう。
おわりに
ここまで、私なりの『個人データ分類・収納のススメ』を紹介してきました。この記事で提案した分類・管理方法が、皆さんの情報整理の一助となれば幸いです。
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