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なぜあるの?「レートリミット制限」の正体と、3つの大切な役割

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なぜあるの?「レートリミット制限」の正体と、3つの大切な役割

はじめに:あの「しばらくお待ちください」の正体

人気アーティストのチケット発売日、サイトにアクセスが集中して「ただいま混み合っています」と表示された経験、ありませんか?あるいは、スマホアプリで何度もボタンを連打したら、「少し時間をおいてから再度お試しください」と怒られてしまったり。

実はこれら、単なる「混雑」や「エラー」ではありません。
そこには、Webサービス全体がパンクしないように、そして私たちユーザー全員を守るために、「レートリミット制限」という、目に見えないヒーローが働いているのです。

今日は、この「レートリミット制限」が一体何者で、どんな大切な役割を果たしているのか、その3つの顔を一緒に見ていきましょう!

レートリミット制限とは?一言でいうと…

レートリミット制限とは、
「一定の時間内に、あなた(やプログラム)がサービスに対して送れるリクエスト(お願い)の回数を制限するルール」
のことです。

例えば、「1分間に60回までしかお願いを聞けませんよ!」といったルールを決めて、それを超えるお願いは一時的にお断りする仕組みです。

では、なぜこんな一見「意地悪」にも思えるルールが必要なのでしょうか?
それには、3つの深くて大切な理由があるのです。


👮‍♂️ 役割①:『安定』を守る交通整理員

一番の目的は、サービスがパンクして倒れてしまわないように、その安定を守ることです。

  • 使い所・目的:

    • サーバー(サービスを提供しているコンピューター)が、処理しきれないほどの大量のリクエストでダウンしてしまうのを防ぐ。
    • 特定の誰かのせいで、他のユーザー全員がサービスを使えなくなる事態を避ける。
  • 身近な例え:超人気のラーメン屋さん

    • 想像してみてください。一杯作るのに5分かかるラーメン屋さんに、1分間で100人のお客さんが「ラーメン!」と一斉に注文したらどうなるでしょう?厨房はパニックになり、誰のラーメンも作れなくなり、お店は営業停止(サーバーダウン)に追い込まれます。
    • そこで、「レートリミット」という名の交通整理員が登場します。「お客様、大変申し訳ありませんが、店内に入れるのは10人までです!他の方は、順番に列でお待ちください!」と案内します。
    • これにより、厨房は自分のペースで確実にラーメンを作り続けることができ、お店は営業を続けられます。お客さんは少し待つかもしれませんが、最終的には全員が美味しいラーメンを食べることができますよね。

レートリミットの役割①は、お店(サーバー)が自分の能力を超えた注文で潰れてしまわないように、リクエストの交通整理をすることなのです。


🎟️ 役割②:『公平』を守るチケット係

二つ目の目的は、全ての人にサービスを公平に利用するチャンスを与えることです。

  • 使い所・目的:

    • 一部のユーザー(特に自動化プログラム)が、サービスのリソースを独り占めしてしまうのを防ぐ。
    • 先着順のサービスなどで、多くの人に平等な機会を提供する。
  • 身近な例え:人気コンサートのチケット販売

    • もしチケット販売に何の制限もなかったら、どうなるでしょう?一人の悪徳業者が、超高性能なプログラムを使って、発売開始0.1秒で何千枚ものチケットを買い占めてしまうかもしれません。そうなると、本当にライブに行きたい普通のファンは、一枚もチケットを買うことができません。
    • そこで、「レートリミット」という名のチケット係が、「お一人様、1分間に10回までしか購入ボタンは押せません!」というルールを設けます。
    • これにより、プログラムによる高速な連続アクセスはブロックされ、人間が手でクリックする多くのファンにも、チケットを購入する公平なチャンスが生まれるのです。

レートリミットの役割②は、資源(チケットや情報)が一部の人に独占されないように、一人あたりのリクエスト回数に上限を設けて、みんなの公平性を守ることなのです。


🛡️ 役割③:『安全』を守る門番

三つ目の、そして非常に重要な目的は、悪意のある攻撃からサービスとユーザーの情報を守ることです。

  • 使い所・目的:

    • パスワードを何度も試す「ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)」のような、セキュリティを脅かす行為を阻止する。
    • 悪意のあるボットによる、サービスの妨害や情報収集を防ぐ。
  • 身近な例え:マンションのオートロックと、銀行の窓口

    • もし、あなたの家の鍵穴に、怪しい人が何万通りものカギをガチャガチャと連続で試してきたら、怖いですよね?
    • そこで、「レートリミット」という名の屈強な門番が、「ログインに5回連続で失敗したため、このアカウントを15分間ロックします!」と宣言します。
    • これにより、攻撃者はパスワードを無限に試すことができなくなり、不正ログインを未然に防ぐことができます。これは、銀行のATMで暗証番号を数回間違えるとカードが使えなくなるのと同じ、あなたのアカウントを守るための重要な仕組みです。

レートリミットの役割③は、悪意のある攻撃者が執拗にドアを叩き続けるのを防ぎ、サービスとあなたの個人情報の安全を守ることなのです。


まとめ:3つの顔を持つ、縁の下の力持ち

今日の話をまとめると、レートリミット制限は、それぞれ異なる目的を持つ3人のヒーローとして、私たちのインターネット生活を支えてくれていることがわかります。

ヒーローの顔 役割 目的 身近な例え
交通整理員 安定の確保 サーバーダウンの防止 人気ラーメン屋の行列整理
チケット係 公平の確保 リソースの独占防止 コンサートのチケット販売
門番 安全の確保 不正アクセス・攻撃の阻止 銀行の暗証番号ロック

一見すると、私たちを制限する「邪魔なルール」に見えるかもしれません。しかしその実態は、サービス全体が 「安定」して動き、みんなが「公平」に使えて、そして私たちが「安全」 でいられるように、24時間365日、文句も言わずに働き続ける、縁の下の力持ちなのです。

次に「しばらくお待ちください」の画面に出会ったら、この3人のヒーローたちの活躍を、ちょっぴり応援してあげてくださいね!

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