量子力学「観測問題」に挑戦!BSM研究ノート(3) 波動関数の連続的な変化
波動関数の連続的な変化
この記事はシリーズ第3回です。
前回では、BSM(分岐選択モデル)を使って2つの物理実験の解釈をしました。
さて今回は、BSMならではの考察として、波動関数の連続的な変化について説明します。
従来の量子力学ではシュレディンガー方程式による波動関数の時間変化については説明されていますが、観測(相互作用)のときにどのように波動関数が変化するかについては説明がありませんでした。
BSMの考え方を使うと、例えば検出器に向かって進む量子の波動関数をスローモーションでみるとどういう変化が起きるのか、ということを考えることができますので、これを紹介します。
波束の連続的収縮(再正規化)
例として、光子が検出器に向かって進んでいて、このまま進めば100%の波が検出器に取り込まれるとします。レーザー光だとすると光子の波束は進行方向に長く伸びています。波束の長さをLとし、簡単のため均一な波(Lの長さの中で振幅が一定)であるとします。

この波束の先端が検出器に到達した瞬間から、波束の最後尾が検出器に到達する瞬間のどこかで相互作用が発生します。どのタイミングで発生するかは(均一な波ですから)ランダムに決まります。
相互作用が発生する瞬間には波束は消失し電子のエネルギーに変化するので、不連続に変化しますが、相互作用が発生しない間は波動関数が連続的に変化します。
例えば、長さLの1%が検出器に消えた瞬間を考えます。この瞬間まで相互作用が成立していないとき、
波動関数の振幅が変化していなければ、波動関数の振幅の2乗を積分すると0.99になります。波動関数の振幅の2乗の積分値はすべての確率でなくてはならないので、1である必要があります。波動関数の先端の1%相互作用しないことが決定した瞬間には、あとの99%の波のどこかで必ず相互作用を起こすはずなので、その分、振幅は√(100/99)≈ 1.005 倍に増幅されることになります。これを波動関数の再正規化といいます。
波束が検出器に取り込まれていくにつれて、波の振幅は徐々に増幅されていきます。このように波が進行しながら増幅されていくプロセスのどこかで必ず相互作用が発生して、その瞬間に波束は消失します。

これと同じことは第2回のビームスプリッタの実験でも言えます。ビームスプリッタの実験ではビームを分割し、経路Aにのみ検出器を置きました。光子の波束はビームスプリッタにより2つの経路A,Bに分割され、各々の経路の振幅は元の1/√2になります。

そして経路Aの波束の先端が検出器に到達した瞬間から波束の最後尾が検出器に到達するまでの間、(相互作用が発生しなければ)、経路Aの残りの波束と経路Bの波束は連続的に再正規化され、最後には経路Bの振幅は元の振幅に戻ります。

経路Aと経路Bの空間的に離れた波束が互いに影響を受けて変化するのはとても奇妙に感じますが、光子が最小単位として振る舞う以上は論理的にこのような変化をしなくては辻褄があわないのです。
要点:相互作用が起きない場合も波動関数は再正規化され、残りの可能性が強調される。
今回はBSMの考え方で相互作用が起きなかったときに波動関数の再正規化について説明しました。
次回(最終回)は課題と展望を整理し、シリーズを締めくくります。
シリーズ記事リンク
量子力学「観測問題」に挑戦!BSM研究ノート(1) はじめに
量子力学「観測問題」に挑戦!BSM研究ノート(2) 実験事実の解釈
量子力学「観測問題」に挑戦!波動関数の(3)連続的な変化
量子力学「観測問題」に挑戦!BSM研究ノート(4) まとめ
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