Tokuyeという名前でAI開発支援ツールをつくりました
どうも、ご無沙汰してますAWS大好き芸人のken11です。
世間ではClaude Code等が流行っていますが、流れに逆行するようにAI開発支援ツールを自作してしまいました。
なぜつくったのか?なにが違うのか?つくってみてどうだったのか?といった話をしたいと思います
Tokuyeについて
Tokuye(トクイェ) は、リポジトリ全体の文脈を理解しながら、ユーザの隣で開発を進める AI-powered development assistant agent です。
「この関数どこ?」「この設計どっちに寄せる?」みたいな会話をしながら、必要なコードを検索して、変更案を作って、Gitのブランチに落とし込む。
やりたいのは、AIに“賢いコード片生成”をさせることよりも、プロジェクトの一貫性を保ったまま前に進むことです。
名前はアイヌ語で「友だち」を意味する言葉から取りました。開発の“相棒”という立ち位置が一番しっくりきたからです。

自分でつくった理由
AI開発支援ツール自体は前から追っていて、1年以上前には OpenHands の同人誌を書くくらいには、熱心に触ってました。
で、いろいろ触ってみて思ったんですが——「たしかに便利」なのに、現場で使い続けると、じわじわつらくなる瞬間があるなと。そのツラみって、だいたいが技術力の話じゃなくて、運用と開発体験のズレなんですよね。
たとえば、既存ツールだとこんな課題を感じることがありました。
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エディタの変更を強いられる
- それだけで開発スタイルが変わる。導入コストが高い。
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コストの可視化が甘くて怖い
- どれだけ燃えるかわからない状態で回すのは、精神的にも運用的にも厳しい。
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このコストは個人じゃなく、プロジェクトのコストに寄せたい
- インフラ費と同じ扱いにしたい。個人課金ベースだとチーム運用に乗らない。
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.gitignoreを尊重しない設計は、事故の匂いがする-
.env漏れは「起きたら終わり」系の事故なので、仕組みで潰したい。
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コンテキスト把握漏れが多い
- こっちが頑張ってプロンプトやドキュメントを整えないと、重複実装・迷走が起きやすい。
そして決定打はシンプルで、自分がNvim使いだったこと。
「ターミナルから出ない」ことは、単なる好みではなく、日々の速度と集中を守る条件でした。
だったらもう、必要な前提を全部自分で置いたほうが早い。
そう思って作り始めたのが Tokuye です。
Tokuyeの思想
Tokuyeは「AIがコードを書いてくれる」以上に、既存の開発スタイルが壊れないことを大事にしています。
1) Stay in Your Terminal, Keep Your Editor
Tokuyeはターミナルで動くTUIです。
特定のIDEに寄せない。エディタを変えさせない。VimでもEmacsでも、普段の環境のまま使える。
「AI開発支援」を導入した途端に、開発体験全体を作り替えるのは違うと思っていて、あくまでいつもの開発に“もう一人増える”くらいの変化に収めたいというのが思いです。
2) AIは置き換えではなく、チームメイト
TokuyeはGit運用に寄せています。流れは基本これです。
- 人間が課題を書く
- AIがブランチを切って変更案を作る
- 人間がレビューしてマージ(または差し戻し)
勝手に全部やって終わり、にはしない。
“自動化”より、レビュー可能性を優先しています。
3) コストは「個人課金」じゃなく「プロジェクト課金」
TokuyeがAWS Bedrock前提なのは、思想的にはここが一番大きいです。
- IAMで利用権限を切れる
- コストがプロジェクト単位で追いやすい
- 組織の監査・運用に乗せやすい
AI開発の費用って、今後はインフラ費みたいに「プロダクトの原価」に入っていくはずで、個人課金に寄せると運用が崩れる、という見立てがあります。
4) .gitignore を尊重するのは「オプション」じゃない
.env 漏れは気合いで防ぐものじゃなく、デフォルトで踏めないようにするべき。
Tokuyeはファイル操作を含めて .gitignore を前提にしています。
5) コンテキストは、人間が毎回渡すものじゃない
「このファイル読んで」「この関数見て」を毎回やるのは限界がある。
だからTokuyeは、最初から リポジトリ解析を土台にしました。
- repo-summary:全体を要約して持たせる
- repo-summary-rag:tree-sitterで関数/クラス単位に切って、FAISSで検索できるようにする
この2段があるだけで、AIの迷走や重複実装が体感で減ります。
何ができるの?
Tokuyeの機能を一言でいうと「賢いチャット」ではなくて、開発のための道具箱です。
リポジトリ解析
まず全体像を掴ませる。これがないと、だいたい迷走する。
- repo-summary:リポジトリをClaude向けXMLにまとめる(この発想はRepomixから影響を受けています)
- repo-summary-rag:FAISS + tree-sitterで“意味検索”できるようにする(tree-sitterまわりはlangchain-communityの実装を参考にさせてもらいました)
ターミナルの対話UI(TUI)
Textualで作ったUIで、会話しながら作業を進めます。
- セッション永続化
- 会話サマリ
- トークン消費と概算コスト表示(※ap-northeast-1の参考値)
開発用ツール群
地味だけど一番効くところ。
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.gitignore前提のファイル操作(読む/書く/探す/移動/削除) - Git操作(ブランチ、コミット)
- パッチ適用(git diffを当てるためのフォールバック複数)
- Issueの一時保存(Issueを保存して呼び戻す)
AIが見当違いな方向に作業を進めてリセットすることになっても、Issueを再読み込みできるようにしています。やり直しの簡略化、的な
Tokuyeの使い方
実際に使うことの簡単さも重視していて、今回は初めてuvxで起動できる形で配布しています。
0) AWSの設定をする
export AWS_PROFILE=
Bedrockの利用権限のあるAWSプロファイルを設定してください
1) 設定ファイルを置く
プロジェクトルート(Tokuyeを使って開発を進めたいリポジトリのローカルディレクトリ)に .tokuye/config.yaml を用意します。
cd /path/to/your/project
mkdir -p .tokuye
touch .tokuye/config.yaml
bedrock_model_id: global.anthropic.claude-sonnet-4-5-20250929-v1:0
bedrock_embedding_model_id: amazon.titan-embed-text-v2:0
model_temperature: 0.2
pr_branch_prefix: tokuye/
strands_session_dir: sessions
name: とくえ
2) uvxでそのまま起動する(おすすめ)
uvx --from git+https://github.com/ken11/tokuye.git tokuye --project-root /path/to/your/project -lang ja
初回実行の注意
初回はFAISSインデックスを作るので時間がかかります。
さらにリポジトリの読み込み・embedding作成でトークンも消費します。規模の大きいリポジトリの場合はコストに気をつけてください。
TUIで概算コストは出しますが、当然、実コストはAWS請求が正です。
(バグでループするとその分燃えるので、ここは今後も改善が必要なポイントです)
つくってみてどうだったか
開発速度はかなり向上したなというのが感想です。
やはり、いままで別のツールを使っていたときのような手戻りも減りましたし、もともとの自分の開発スタイルと差分無く取り組めるのでストレスも少ないです。
2025年はほとんどこのTokuye(のプロトタイプ)と過ごしていたので、実装がとても楽でした。
あと、不安が減ったのもよかったポイントです。
- エディタを変えないでいい
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.gitignore前提で事故の恐怖が薄い - コストが見える(少なくとも“見ようとできる”)
- コンテキスト把握の精度が上がって、重複実装や迷走が減る
一方で、まだ課題もはっきりあります。
- 自分の利用範囲では困らないが、まだバグは多いので改善したい
- Web検索やMCPが未実装で、最新ドキュメント追従が弱い
- 対応モデル追加や(必要なら)Google Cloud対応も、将来的には広げたい
自分でも使いながらどんどん改善していくつもりなので、IssueでもPRでも、雑なフィードバックでも歓迎です。
Strands Agentsについて
ところで、今回心臓部とも言えるエージェント機能に、AWSのStrands Agentsライブラリを採用しました。
実は途中までは違ったんですが、いろいろあってStrands Agentsを使ってフルリビルドした経緯があります。
このStrands Agentsについてもいろいろ学べたのはとてもよかったです。仕事柄、AI Agentをつくるための手段はなるべく多く持っておきたいので、今回TokuyeをつくったことでStrands Agentsについての知見も溜まったのは副産物的ですがよかったポイントです。
まとめ
というわけで、AI開発支援ツール?AIコードアシスタント?Tokuyeをなんとか年内に出すことができました。
世間で流行っているツールとはいろいろ目指している方向が違うと思いますが、気になった方はぜひ使ってみてください。
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