【Black Magic URSA Cine Immersive】 実行解像度検証
※執筆中記事
Black Magic URSA Cine Immersive
- Black Magic Designから2025年に発売された高解像度VR用カメラ
- 片目の解像度が8160x7200
- 90FPS / HDRをサポート
Black Magic URSA Cine Immersiveの実行解像度を検証
本記事ではURSA Cine Immersiveの実行解像度の検証を行う。
背景
Davinch Resolveで7200x7200を書き出してVision Proで視聴したときに、4320x4320との違いをあまり感じなかった。
仮説として、実行解像度が4320あたりで頭打ちしている可能性がある。
検証素材
背景に自然、前方に人物が配置され、十分に自然光を浴びている素材。

Davinch Resolveプロジェクト設定
ノードは本番公開用のNeat Videoやnits制限が入ったプロジェクト。

カラー設定は以下
- Display P3
- PQトランスファー関数
- Rec709マトリックス
- Fullレンジ
書き出し解像度
7200から0.8倍ずつ解像度を落としていく。(エンコードエラーを出さないために16の倍数で調整)
- 7200
- 5760
- 4608
- 3680
- 2944
- 2352
- 1872
検証方法
定性分析
ビデオを扱うソフトウェアエンジニアの間でよく使われるのが、動画の1フレームを拡大して静止画として切り出し、自分の目で比較してみることである。
全解像度の比較をそれぞれ行い、どれだけ画質の変化が起こっているかを目視で確認する。
定量分析
VMAFスコアを利用する。VMAFスコアは2つの動画を比較して、どれだけ視覚的に画質の変化が起こっているかを示す指標。
| Score | 指標・説明 |
|---|---|
| 100 | 理論上 品質ロス無し |
| 97 - 99 | 視覚的 品質ロス無し |
| 94 - 96 | 高品質・視聴者から不満が出にくい範囲 |
| 91 - 93 | 細かいテクスチャや速い動きで違和感を感じる |
| 88 - 90 | 多くのシーンで圧縮感を感じる |
使用コマンド
ffmpeg -i <dist> -i <reference> -filter_complex "\
[0:v]zscale=transferin=smpte2084:primariesin=smpte432:matrixin=bt709:rangein=pc,\
zscale=transfer=bt709:primaries=bt709:matrix=bt709:range=tv,\
fps=90,scale=<reference>:<reference>,setsar=1,format=yuv420p10le[dist];\
[1:v]zscale=transferin=smpte2084:primariesin=smpte432:matrixin=bt709:rangein=pc,\
zscale=transfer=bt709:primaries=bt709:matrix=bt709:range=tv,\
fps=90,scale=<reference>:<reference>,setsar=1,format=yuv420p10le[ref];\
[dist][ref]libvmaf=log_fmt=json:log_path=vmaf.json" \
-f null -
- 1つ目のインプットを検証動画、2つ目のインプットをリファレンス動画とする
- 解像度を合わせるためにリファレンス動画の解像度に単純スケールする
- VMAFスコアで使われるモデルはSDRで学習されているため、SDR色域に変換する
検証結果
定性分析
比較画像は以下のようになった。
差分が出やすいポイントを選択するために画面中央左下の砂利が多いポイントを選んだ。
クロッピングサイズは元素材に対して15%でクロップ。
高解像度になるほど、画質の向上を感じづらくなっている気がする。
定量分析
値を直感的に分かりやすくするために、「100 - VMAFスコア」の値で表にした。

縦軸の値が大きいほど、画質の変化が起きていることになるが、解像度が上がるにつれて縦軸値が小さくなっているのがわかる。
つまり、定性&定量評価の結果としては、解像度が7200に近づくにつれて、画質の向上が起きていないわけではないが、変化量小さくなるということになる。
Topazアップスケール
では、Davinchから3680で書き出した素材をTopazでアップスケールしたらどうなるか?
もしかしたら、Davinchの7200よりも綺麗な素材になるか?
以下検証では3680x3680の素材を4608,5760,7200それぞれにTopazのproteusモデルでアップスケールした。
定性分析
両端にDavinchから書き出した3680,7200、中央にTopazでアップスケールした素材を配置した。
「3680 vs 4608 Topaz」は違いを感じるが、「5760 Topaz vs 7200 Topaz」では画質の違いをあまり感じない。
「7200 Topaz vs 7200」ではTopazの方が少しノイズや被写体の締まりが良い気がする。別の言い方をすれば被写体が単純化されているようにも見える。人によってはTopazの方がのっぺりしてて画質が悪いという人もいるかも。
定量分析
TopazアップスケールしたVMAFスコアも計測した。
ピンクの線がTopazでアップスケールしたものを評価対象にしている。
オリジナルの3680から4608Topazはかなり画質の違いがあるが、5760Topazから7200Topazの間ではあまり画質の違いが出ていない。

Davinch書き出し vs Topaz
ではDavinchで書き出した3680を、DavinchとTopazでそれぞれ書き出した5760&7200と比較するとどうなるか?

Topazの方がオリジナルの3680から変化が大きい動画を生成している。
AIが被写体を加工しているので当たり前と言えば当たり前の結果ではある。
圧縮率
次にHEVC圧縮率に注目した。
Topaz 7200とDavinch書き出しの7200をそれぞれ同じ設定でx265/HEVCエンコードしたところ、Topaz 7200ではファイルサイズが1.2GByte、Davinch 7200が14GByteになった。CRF値はいづれも20で設定した。
2つの写真を再度目視で確認すると、Topaz 7200の方がザラつきやノイズが少ないように見える。
おそらく、この差分がエンコード効率に表れていると予想する。
HEVCエンコーダーは単純なフレームが多いほど圧縮率が高くなり、ザラつきや予測困難なフレームが多いほど圧縮率が低くなる。
Topazアップスケールで砂利や岩などの細かい被写体がピクセル単位で単純化された結果だと思われる。
つまり、圧縮効率の観点からは「Topazでアップスケールした方が高画質の動画を低いビットレートで作成できる」ということになる。
イマーシブ空間で比較視聴
最後にビットレートまたは圧縮率をなるべく合わせた状態でVision Proで比較視聴した。
条件は以下
- Topaz 7200
- 圧縮率 CRF:20
- ビットレート 58.18Mbps
- Topaz 5760
- 圧縮率 CRF:20
- ビットレート 33.45Mbps
- Davinch 7200
- 圧縮率 CRF:26
- ビットレート 72.73Mbps
Vision Pro実機で見た感想
- Topaz7200とTopaz5760ではわずかに前者の方が解像度の細かさを感じる
- Davinch7200の解像感はTopaz7200と同じか見方によればさらに細かい所が見えている感じもするが、Topaz7200と比べて、ノイズ、ザラつき、エイリアシングのようなチラつきを感じた
- おそらく実際にノイズと細かい被写体が多いため、VisionProで目線が当たっていない所などがエイリアシングを起こしていると予想する
- 結論としてはTopaz7200が最も視聴体験としては良いと感じた
結論
- URSA Cine Immersiveの素材は4500前後で画質の向上が鈍化する
- 画質の向上が起きないというわけではない
- Topazで7200にアップスケールすると、画質の向上というより、ノイズが少なくなったり、被写体の締まりが良くなる(細かい部分が単純化されるとも言える)
- その結果、ザラつき、チラつきなどが軽減され、視聴体験としてはTopaz7200が最も優れていた
- ただし、映像の内容によってはノイズやザラつきがなく、エイリアシングも起きづらい映像があるかもしれないので、単純に常にTopaz7200が優れているとは言い難い
- 今現在ではTopaz7200でアップスケールして投影するのが最も無難に高品質の映像を投影する方法ではありそう
- Appleが4320を推奨しているのもVisionProのスペック的な問題もあるが、7200まであげると細かいザラつきまで投影され、視聴体験が逆に悪くなるからなのかもしれない
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