組織拡大で迷う経営者が『自分の小さな箱から脱出する方法』を読んで、ちょっと試してみていること
はじめに
開発組織など、会社を構成する組織をマネジメントしていると、「技術」だけではどうにもならない場面にぶつかることがあります。
会議や、レビューでのの指摘が刺々しくなったり、 プロジェクトの進行に微妙な温度差が出たり、 チームの中に“なにか言いづらい空気”が漂っていたり。
そういうとき、プロセスやツールを整えるのも大事だけど、 結局のところ「人と人」の関係性がうまくいってないだけ、ということがよくあるなと感じます。
進められて、やけに引っかかったので読んでみた
先日、とある経営者におすすめの本があると紹介してもらった。
**『自分の小さな箱から脱出する方法』**という少し変わったタイトルの本でした。
「箱?」と思いながらページをめくってみると、 人間関係における“無意識の思い込み”や“正当化”について書かれた本で、 自己啓発っぽいけど、どこか実践的でもある不思議な内容でした。
読んでみて「めちゃくちゃ感動した!」というほどではないけど、 経営や組織づくりをやっている自分にとって、 「ちょっとした視点のズレ」が積み重なって、 チームの歯車が噛み合わなくなることってよくあるよな、と思わされました。
「箱」って要するに、自分を正当化する心のクセみたいなもの
本の中で言う「箱」って、要はこういう状態なのだと理解してます。
- 相手の行動を悪く解釈してしまう(本当は忙しいだけなのに、やる気がないように見えるとか)
- 自分はちゃんとしてるのに、周りが問題だと思い込む
- 正しさを主張したくなって、無意識に相手を“間違っている人”として見てしまう
こういう「箱」に自分が入っていると、 周囲の人を“人”としてじゃなく、“問題”や“障害物”みたいに扱ってしまうそうです。「言われてみれば……」と思う場面が、自分の過去にもいくつか思い当たりました。日々多くの意思決定を下し、人や組織を動かしていく中で、自分でも気づかないうちに「箱」に入ってしまうことがあります。「組織の中の人が思ったように動かない」「なぜこんな簡単なことが伝わらないのか」「自分ばかりが頑張っている」——こうした感情が芽生えた時、実はそれは自分が「箱」の中にいるサインなんだろうなと思うようになりました。
少しずつ意識してみていること
この本を読んでから、「じゃあ明日からめちゃくちゃいいマネジメントをします!」とはなりませんでした(笑) でも、ここ最近ちょっとだけ意識して試していることがあります。
- 相手の言動に引っかかりを感じたとき、「自分が箱に入ってるかも?」と疑ってみる
- 正しさよりも、相手の置かれている状況に目を向ける
- イラッとしたときこそ、相手の意図を想像してみる
劇的な変化はないですが、 話し方が少し変えてみたり、1on1での対話のしかたも少し変わってきたなと思うのももしかしたらこの影響かもしれません。
結局、組織は「人」でできているから
開発組織として技術を磨くのは当然ですが、 組織の“空気”とか“信頼”のような目に見えないものをどう扱うかって、 今後ますます重要になっていく気がします。この本に書かれていることが“正解”かどうかはわかりません。 でも、「もしかすると、自分の見方がチームの動きを止めているかもしれない」 そう思えるだけでも、少し関係性の歯車が噛み合うきっかけになるかもしれないなと。
最後に
特に誰かに「この本すごくいいから読んで!」とは言いません。 でも、開発組織を率いていて、ちょっとしたコミュニケーションのズレや、
空気の重たさにモヤモヤしている人がいたら、 この「箱」って考え方を一度自分に当てはめてみるのは、 悪くない選択肢かもしれません。
📚参考:
- 『自分の小さな箱から脱出する方法』(アービンジャー・インスティチュート著)
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