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AI ・人工知能EXPO イベントに潜入してきました!

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1. はじめに

みなさん、初めまして。
jinjerでジンジャー人事データ分析のPdM(プロダクトマネージャー)とタレントマネジメントプロダクトのPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)をしている永田です。

先日、2025年4月15日に開催された AI・人工知能 EXPOのDay1に行ってきました。AI技術の進化と、それがビジネスや社会に与える影響に強い関心を持つ私にとって、会場の熱気は肌で感じるほどで、非常に多くの刺激を受けました。今回は、特に印象に残った展示やセッション、そしてそこから得られた学びや気づきを中心にお伝えしたいと思います。

2. 会場の熱気と注目のテーマ:AIエージェント

会場に足を踏み入れると、まずその活気に圧倒されました。AI技術への期待感と、それをビジネスの現場に実装しようとする企業の熱意がひしひしと伝わってきました。今回のAI EXPOでは、特に AIエージェント に焦点が当てられていたようで、多くの企業がAIエージェントを活用した様々なソリューションを展示していました。会場は、「デジタル人材育成支援エキスポ」と「AI 人工知能のエキスポ」の2つのエリアに分かれていましたが、私は主に後者の AI 人工知能のエキスポ のスペースで最新の技術トレンドを追いかけました。

3. データ分析の革新:キーエンス「KI」の衝撃

数多くの出展企業の中で、私が最も注目したのは キーエンス のブースで展示されていた データ分析ツール「KI」 です。その AIアシスト機能 は、まさにデータ分析の未来を垣間見せてくれるような革新的なものでした。

  • 豊富なテンプレートによる分析の簡便化
    KIの最大の特徴の一つは、100個以上 もの豊富な分析テンプレートが用意されていることです。しかも、これらのテンプレートは常に新しいものが追加されており、ユーザーはまるでライブラリから必要なものを探すように、自分の分析目的に合ったテンプレートを簡単に見つけることができます。これにより、これまでデータ分析に時間をかけていたユーザーも、テンプレートを活用することで大幅な時間短縮と効率化が期待できます。オリジナルで分析ロジックを構築する必要がほとんどなくなるという設計思想は、まさに目から鱗でした。

  • ツリー形式の直感的レポート作成UI
    レポート作成のUIも非常にユニークでした。ロジックツリーのような形式 で、会社全体の売上から始まり、部門別、拠点別、商品別といった階層構造でデータを深掘りしていく様子が視覚的に分かりやすく表示されます。これにより、データの全体像を把握しながら、気になるポイントを直感的に絞り込んでいくことができるため、従来の表計算ソフトなどを使った煩雑なレポート作成とは一線を画していました。

  • 対話型AIアシストによる深い洞察
    さらに驚いたのは、AIアシスト 機能です。これは、ユーザーがAIと対話しながらデータ分析を進めていくという、まさに理想的な形を実現していました。AIは、ユーザーの質問内容に応じて適切な質問をサジェスト してくれたり、回答の数に制限 を設けることで、より効率的で質の高い分析をサポートしてくれます。AIとの対話を通じて、データの中に隠された要因や相関関係をより深く理解することができると感じました。

  • データ加工ワークフローのビジュアル化
    また、データ加工のワークフロービジュアル化 されている点も、KIの大きな魅力だと感じました。データの流れや加工処理が一目で理解できるため、複雑なデータ連携も直感的に設定・管理できそうです。

キーエンスのKIは、単なるデータ分析ツールというだけでなく、AIがユーザーの分析を強力にサポートし、誰もがデータドリブンな意思決定を行えるようにする、そんな未来を感じさせる素晴らしいソリューションでした。

4. 経営管理の未来:ログラスのAI活用

次に興味深かったのは、ログラス のブースです。ログラスは 経営管理ツール であり、特に AIを活用した予実分析機能 に強い印象を受けました。

  • 予実分析の自動化とレポート作成の効率化
    従来の予実管理では、予算と実績の差異が発生した場合、その原因を特定するために多くの時間と労力がかかっていました。しかし、ログラスのAIは、予算と実績の差分の原因を自動的に分析し、レポートとして提示してくれる というのです。これにより、経営企画担当者や事業責任者は、分析業務に費やす時間を大幅に削減し、より戦略的な意思決定に集中できるようになります。レポートの作成も非常に簡単で、必要な項目を選択するだけでAIが自動的に分かりやすいレポートを作成してくれるとのことでした。

  • 直感的で分かりやすいUIによるブレイクダウン分析
    ログラスのUIも非常に洗練されており、作成したレポートやダッシュボードが一元管理されるだけでなく、そこからさらに詳細なデータにブレイクダウン していく操作も直感的で分かりやすい よう設計されていました。これにより、データの背景にある要因を素早く把握し、具体的な改善策を検討することが容易になると感じました。

ログラスのAI活用は、経営管理業務をより効率化し、データに基づいた迅速な意思決定を支援する、まさにこれからの経営管理のあり方を示唆していると感じました。

5. 業務効率化の新たな可能性:AI-OCRの柔軟な拡張性

別のブースで見かけた AI-OCR というAI機能も興味深いものでした。これは、主に 報告業務の効率化 を目的としたAI機能とのことです。

  • 領収書読み取りから独自テンプレートへの対応
    基本的な機能として、経費の領収書をAIが自動で読み取る ことはもちろん、特筆すべきはその拡張性の高さ です。AICRでは、ユーザーが自由にテンプレートを作成できる 仕様になっており、これにより、経費精算だけでなく、例えば健康診断の結果 など、様々な種類の書類に対応できるようになるとのことでした。

  • AIによる報告業務の効率化への期待
    テンプレート機能を活用することで、定型的な報告書の作成業務などをAIに任せることができ、従業員はより創造的な業務に集中できるようになる可能性があります。AIが様々な報告業務を効率化してくれることで、企業全体の生産性向上に貢献することが期待されます。

6. AIと心理学の融合:パーソナライズされた1on1支援

多くのブースで短いプレゼンテーションが行われていましたが、その中で attuned という企業が紹介していた AIと心理学を組み合わせた1on1支援アプリケーション が印象に残りました。従業員の個性やタイプに関する情報をAIに登録することで、個々の従業員に合わせた効果的な声かけやフィードバックの仕方をAIが提案してくれる というのです。これにより、管理職は経験や勘に頼るだけでなく、データに基づいたより質の高いコミュニケーションを従業員と取ることができるようになり、エンゲージメントの向上離職率の低下 に繋がる可能性があると感じました。

7. 今年のトレンド:機械同士の連携プロトコル「MCP」

主催者である 生成AI活用普及協会AI CX協会 のブースでは、今年のAI分野における重要なトレンドとして MCP(Machine Communication Protocol) が紹介されていました。

  • AIがAIに指示を出す未来
    MCPとは、簡単に言えば AI同士が互いに指示を出し合い、連携してタスクを実行する ためのプロトコルとのことです。これは、まるでSF映画に出てくるロボットのように、機械が自律的に判断し、他の機械に指示を出すことで、複雑なタスクを人間を介さずに実行できる未来を示唆しています。

  • スター・ウォーズのR2-D2のような世界観
    説明の中では、例えとして スター・ウォーズのR2-D2 が挙げられていました。R2-D2が他の機械と通信し、様々な指示を出したり、情報を受け取ったりする様子は、まさにMCPが実現しようとしている世界観だと感じました。MCPが普及することで、工場の自動化やスマートシティの実現など、様々な分野で革新的な進展が期待されます。

8. AI知識の標準化:AIパスポートの登場

また、両協会が提供する AIパスポート という資格についても紹介がありました。これは、ITパスポートのように、AIに関する基本的な知識を証明するための資格 であり、AI技術が社会に浸透していく中で、その基礎知識を持つ人材を育成し、可視化することを目的としているとのことです。受験費用も比較的安価であり、診断を受けると有料の公式テキストももらえるということで、私もAIに関する知識を体系的に学ぶ良い機会になるかもしれないと感じました。

9. 小澤健祐氏のセッションから:AIエージェントと今後の展望

AI EXPOのAIテーブルでは、当イベントの主催団体、一般社団法人AICX協会代表理事の小澤さん を含む専門家によるセッションも開催されており、私もいくつか聴講しました。特に印象的だったのは、AIエージェントの今後の進化と、企業や個人がどのように向き合っていくべきか というテーマのセッションでした。

  • オムニモーダルモデルによる高度な推論
    セッションの中で、オムニモーダルモデル [1]の進化により、AIが人間のように様々な情報を統合的に理解し、より高度な推論や判断ができるようになるという話がありました。例えば、「これをこっちに持ってって」という人間の指示に対して、AIはそれが何を意味するのか、どのような目的があるのかを理解し、最適な方法で実行できるようになるということです。
  • 強化学習によるロボットの進化
    さらに、強化学習 のスピードが飛躍的に向上しており、これにより、ロボットが自律的に試行錯誤を繰り返しながら、より効率的な動作やタスクの実行方法を学習できるようになるという点が強調されていました。将来的には、人間が具体的な動作を教えなくても、AIが自らシミュレーションを行い、最適な動き方を学習するようになる可能性もあるとのことです。

  • 言葉と画像による直感的なインターフェース
    ロボットとのコミュニケーションにおいては、従来のプログラミングによる指示だけでなく、言葉や画像による直感的なインターフェース が主流になると考えられています。音声で人間と対話するようにロボットに指示を出したり、画像を見せてタスクを指示したりすることが可能になれば、ロボットの導入や活用がより身近なものになると感じました。

  • 社内独自ツールへの対応とファインチューニングの重要性
    一方で、多くの企業が利用している社内独自のツール にAIエージェントが対応するためには、ファインチューニング が不可欠であるという指摘もありました。汎用的なAIモデルだけでは、各社の固有のシステムや業務プロセスを理解することは難しいため、それぞれの環境に特化したAIの育成が必要になるということです。

  • AIエージェント導入後の継続的な学習
    興味深かったのは、AIエージェントは導入後も強化学習 によって継続的に学習し、進化していくという考え方です。まるで新入社員がOJTを通して仕事を覚えていくように、AIエージェントも実際の業務の中で試行錯誤を繰り返しながら、より高いレベルでタスクを実行できるようになるということです。

  • 個人と企業が取るべき道
    今後のAIの進化を踏まえ、個人レベルではAIを使う側に回る こと、つまりAIツールを積極的に活用していくことが重要であると述べられていました。また、企業としては、MCPのような基盤技術を整備することも重要ですが、コンピュータレス の時代が来ることも視野に入れ、過度なAPI連携などにコストをかけすぎるべきかという疑問も提示されていました。

  • コンピュータレスの時代
    小澤さんは、誰もがチャットGPTのようなAIオペレーターをすぐに使えるようになる現状を踏まえ、将来的にはAPI連携などに多額の投資をするよりも、高性能なAIを利用できる環境を整備する 方がコストパフォーマンスが良い可能性を示唆していました。

小澤さんのセッションは、AI技術の未来に対する期待感とともに、現実的な課題や取るべき戦略についても深く考えさせられる内容でした。

10. おわりに

今回のAI EXPOへの参加は、最新のAI技術に触れる貴重な機会となりました。特に、データ分析、経営管理、業務効率化といった分野でのAIの活用は、今後ますます加速していくと確信しました。また、AIエージェントの進化やMCPといった新たなトレンドにも注目していきたいと思います。

HRSaaS領域でPMMを担当する私が、今回のイベントで得た示唆が3つありました。

  • 1.グローバルとの比較で見える「AIエージェント活用の進み方」
    今回の展示でも、生成AIのユースケースが数多く紹介されていましたが、グローバルのHRSaaSプロダクトではより実務に深く入り込んだAI活用が進んでいる印象を受けました。たとえば、Workdayの「Talent Insights」では、ハイパフォーマーの特定や離職リスクの予測といったピープルアナリティクスが、既にAIに置き換えられています。

  • 2. AIエージェントとの“共業”が当たり前になる未来
    弊社でも提供している「ジンジャー人事データ分析」のような従業員データの可視化・分析業務は、AIとの親和性が非常に高い領域です。今回の展示会を通じて改めて感じたのは、今後このような業務は「人間だけで行うもの」から、「AIエージェントと伴走するもの」へと確実にシフトしていくということです。

  • 3. HRSaaS×AIは、まもなく“主戦場”になる
    今回の展示では、HR関連のSaaSベンダーの出展は少数派でした。しかし、主催者の広報担当の方によると、2025年秋ごろにはHRSaaS系のAIプロダクト出展が一気に増える見込みとのことです。市場としても、生成AIと人事領域の接続が本格化するフェーズに入っていくと感じました。

生成AIとHRSaaSの融合は単なる技術進化ではなく、ユーザー体験そのものの再定義を求められる変化でした。PMMとして、UIやメッセージだけでなく、「なぜこれがユーザーの行動や意思決定にフィットするのか?」を論理的に語れる状態を作ることが、今後ますます重要になると感じました。

このレポートが、今回のAI EXPOに関心のある方や、AI技術の最新動向を知りたい方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

ちなみにこの記事は、生成AIで初稿作成して、修正と画像添付のみ(実動30分程度)で完成しました。

脚注
  1. テキストだけでなく画像や音声、動画など複数の情報形式を一つのモデルで横断的に理解・生成できる、汎用性の高い次世代AI技術です。 ↩︎

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