
ライプニッツの夢
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17世紀、ライプニッツは夢を見た。「すべての思考を計算に変えられるなら、人類の争いは終わる。正しい答えを計算するだけでいい」と。その夢は350年かけて、少しずつ形になり、そして限界を露わにした。 ブールは論理を代数に変えた。独学の数学者ブールが、2000年の哲学を数式に書き換えた。フレーゲはその先へ進み、数学の全体を論理から厳密に建て直そうとした。カントールは無限を数えようとして、数学者たちの怒りと嘲笑を受けながら、無限に無限の種類があることを証明した。 ラッセルとホワイトヘッドは10年をかけて「プリンキピア・マテマティカ」を書いた。数学のすべてを矛盾のない論理体系として打ち立てるために。 そしてヒルベルトが宣言した。「解けない問題など存在しない」と。 しかし、1931年、ゲーデルがその夢を砕いた。どんな無矛盾な体系にも、その体系の中では証明も反証もできない命題が存在する。数学は自分自身の完全性を証明できない。 そして、その衝撃の中で、チューリングは別の問いを立てた。「計算とは何か」。 この本は勝利の歴史ではない。夢が砕かれ、限界が発見され、それでも次の問いが生まれ続けた350年の物語だ。そしてその終着点に、現代のコンピュータとAIがいる。
Chapters
はじめに:計算の夢
第1章 ライプニッツ――「思考する機械」という夢
第2章 ブール――論理を代数に変えた靴職人の息子
第3章 フレーゲ――2000年の論理学を革命した孤独な数学者
第4章 カントール――無限を数える
第5章 プリンキピア・マテマティカ――数学を論理から建て直す10年間
第6章 ヒルベルト――「解けない問題など存在しない」
第7章 ゲーデル――数学の夢が砕けた朝
第8章 チューリング――計算とは何か
おわりに:夢の行方と現代
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