Observability Conference Tokyo 2025に登壇しました
こんにちは、株式会社ispec CTOの @yamad07です。
少し間が空いてしまいましたが、Observability Conference Tokyo 2025に登壇させていただきました。
Observability Conference Tokyoは今回が初開催でしたが来年以降もぜひ開催されてほしいので、その想いも込めて記事として残しておきたいと思います(そして来年以降の開催にあたり、何かお手伝いできることがあればぜひ協力したい、という気持ちも表明しておきます)。
私とオブザーバビリティ
オブザーバビリティに本格的に興味を持ったのは、弊社が今年の7月ごろから始めたCloudSailという新規プロダクトの立ち上げの頃です。私はこのプロダクトの事業責任者(今はプロダクトマネージャーのような立ち位置)として事業開発およびプロダクトの検討をしていたのですが、その過程でオブザーバビリティを高めることが事業の価値に直結するのではないか、という仮説が生まれたのがきっかけです。
オブザーバビリティという言葉自体はもちろん以前から知っていましたし、ispecでもDatadogを導入してトレースやログを取るなど最低限のことはやっていました。ただこの時の自分の理解では、『SRE領域のもので監視から派生したプラクティスの1つ』程度としか認識しておらず、その重要性を十分に認識できていなかったように思います。
しかし、前述したCloudSailのプロダクトを検討する過程でオブザーバビリティを高めることの重要性を感じ、そこから関連書籍を読んだり技術を触ってみたりして勉強を始めました。特に強く印象に残ったのは、『実践 OpenTelemetry』の以下の記述です。
オブザーバビリティがなければコントローラビリティもありません。オブザーバビリティによって、変更と期待する結果との間でフィードバックループを閉じられるからです。
システムをどのようにコントロールしたいか。それに合わせてオブザーバビリティを設計することで、事業のフィードバックループの質とスピードが改善される。これがオブザーバビリティの本質的な価値であるという理解に至りました。
登壇について
ちょうどCloudSailのオブザーバビリティ周りの設計を深めているタイミングでObservability Conference Tokyoの登壇募集の告知を拝見し、これは良い機会だと思い応募させていただきました。結果的に採択いただき『医療システムのObservability向上のためのOpenTelemetry活用』というタイトルで発表をさせていただきました。
内容としては前述したCloudSailというプロダクトにおいてオブザーバビリティを高めるためのアーキテクチャ設計・工夫というテーマでお話しさせていただきました。オブザーバビリティを高めることがお客様の体験に直接つながること、オブザーバビリティを高めるためにOpenTelemetry Collectorをどう活用したか、などを中心にお話ししました。
登壇の内容を組み立てるにあたり、イベントの前にオブザーバビリティは誰のものか?というオーガナイザー大谷さんのブログにもかなりインスパイアされました。強く印象に残った部分を引用します。
本番環境では様々なことが起こります。事前に負荷試験環境などで想定していたものとはデータも違うしトラフィックも異なる。本番環境で何が起こっているかを把握し、様々なオプションを検討し、課題に対してできるだけ早く対処するために、オブザーバビリティは本番環境に関わるすべての人に役に立つはずです。これはSREチームだけのものではないし、プラットフォームチームだけのものでもないし、もちろんアプリケーションチームだけのものでもない。本番環境に関わる人すべての問題領域のはずです。
オブザーバビリティは本番環境に関わる人すべての問題領域です。たとえば私はCTOとしてCloudSailの事業立ち上げやプロダクトマネジメントに関わる中で、事業価値を高めるためにオブザーバビリティをどう向上させるべきか、それを実現するためにどうアーキテクチャを設計するか、を考えることが求められています。他の役割の方から見たオブザーバビリティの価値はまた違ったものになるかもしれませんし、そういう多様な視点があるものこそ、オブザーバビリティの面白さの一つなのだろうと思います。
今回の登壇では、オブザーバビリティと事業価値の結びつきを意識しつつ技術的な面白さも盛り込むという形でお話しさせていただきました。登壇後に「オブザーバビリティが事業のスケーラビリティに直結してますよね」というようなフィードバックもいただき、お伝えしたいことは多少なりとも伝えられたのかなと感じています。
その他のセッションについて
登壇前は登壇準備等でバタバタしており、セッションをあまり聞けなかったのですが、登壇後はいくつかのセッションを聞くことができました。印象に残ったものを簡単に紹介します。
LLMオブザーバビリティにおけるトレースの拡張
LLMオブザーバビリティのセッションでは、私自身があまりキャッチアップできていないOpenTelemetryの生成AI向けSemantic Conventionsの話がメインでした。非常に整理された内容でお話しされており、概観を掴むには最適な発表内容だったので、その後自分でキャッチアップする際の取っ掛かりとしてかなり参考になりました。
SRE × マネジメントレイヤーが挑戦した組織・会社のオブザーバビリティ改革 ― ビジネス価値と信頼性を両立するリアルな挑戦
オブザーバビリティをマネジメントに活かすという話は、経営レイヤーの人間として非常にインスピレーションを受けました。ispecではホラクラシー組織を採用しているのですが、サークルの中でチェックリストやメトリクス、プロジェクトなどを定義してサークルの現状を把握した上で理想状態とのギャップを埋めるためのアクションを取る、という考え方はオブザーバビリティの考え方とかなり近いので、この辺りの話もそのうちブログとして書きたいと思います。
クローズドセッション
クローズドセッションも印象に残っています。オーガナイザーの大谷さんが「オブザーバビリティの価値はいろんな所でいろんな言葉で語られているから、最終的に自分の言葉で語れるようになっていれば今日のイベントを開催した価値があったと思う」とおっしゃっていました。今回のイベントでは、登壇準備のために自分の考えを整理したり、他のセッションを聞くことができ、「オブザーバビリティによって事業価値をどう高められるか」という問いがより深まったように思います。
最後に
今回のイベントを通じて自分自身のオブザーバビリティへの考え方も深まりましたし、継続的に学び発信をしていきたいと思います。
このような素晴らしいイベントを企画・運営してくださったオーガナイザーの皆様、実行委員の皆様、スポンサーの皆様、そして参加者の皆様に心より感謝申し上げます。来年以降も開催されればぜひ参加したいと思います!
Discussion