AWS Backupでコールドストレージ移行不可の壁を「ハイブリッド構成」で突破した話
🏗 はじめに
AWSでシステムを運用する際、コンプライアンスや監査の都合で「データの10年間保持」を求められることがあります。
今回、Aurora (PostgreSQL) のバックアップをAWS Backupで統合管理しようとした際、ひとつの大きな壁にぶつかりました。
この記事では、RTO(目標復旧時間)を守りつつ、コストを抑えて10年間の長期保管を実現した「PITRと標準バックアップのハイブリッド構成」について解説します。
📐 最初の設計:安く済ませるはずだった
当初は以下のような構成を検討していました。
- 要件: 10年間のバックアップ保持
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当初のプラン: AWS Backupで毎日バックアップを取得
- 10日経過したらコールドストレージ(S3 Glacier)へ自動移行
- 10年(3650日)経過後に削除
- リカバリ要件: RTO 2時間以内
「これなら安く安全に運用できるだろう」と考えていました。
⚠️ 課題:Auroraがコールドストレージ移行に非対応
設計を進める中で、AWSのドキュメントに記載されている致命的な事実に直面します。
なんとAuroraの表記がないのです。
つまり、10年間のバックアップをすべてウォームストレージに置き続ける必要があり、当初の想定よりもストレージコストが大幅に膨らむことが判明しました。
✅ 解決策:PITRと標準バックアップのハイブリッド構成
コストを抑えるには、「毎日フルバックアップを取って10年残す」のをやめるしかありません。
そこで、以下の構成に変更しました。
1. PITR(連続バックアップ)をフル活用
- 保持期間: 35日間(最大)
- 目的: 日常的な障害復旧(RTO 2時間の達成)
- メリット: 35日以内であれば、秒単位の任意のタイミングにリストア可能。
2. 標準バックアップ(スナップショット)の頻度を下げる
- 保持期間: 10年間
- 取得頻度: 毎月1回(月次バックアップ)
- 目的: 数年以上前のデータが必要になった際のアーカイブ。
📊 構成の可視化
💰 この構成のメリット
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大幅なコスト削減
Auroraのバックアップはウォームストレージ料金がかかります。毎日保存すると膨大なコストになりますが、月次に絞ることで現実的な金額に収まります。 -
RTOの担保
直近35日間のトラブルであれば、PITRによって迅速かつ柔軟な復旧が可能です。10年前のデータを秒単位で復旧したいというニーズは稀であるため、長期保管分は月次スナップショットで十分という判断です。
🏁 まとめ
AWS BackupでAuroraを扱う際は、 「コールドストレージに移行できない」 という仕様を前提に設計する必要があります。
- 直近の復旧: PITRで担保
- 長期の保管: スナップショットの頻度を下げてコスト最適化
このハイブリッド構成は、Auroraの運用において非常に有効なパターンの一つです。
同じような要件で頭を悩ませている方の参考になれば幸いです。

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