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ナレッジシェア文化を1年で定着させた話 - プロジェクト立ち上げから運用まで

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はじめに

株式会社インテージのデジタル戦略本部に所属している林と申します。

本記事では、私たちが約1年かけて「ナレッジシェア文化」を組織に定着させた過程をお伝えします。

「ナレッジシェアを始めたいけど、どこから手をつければいいかわからない」「始めてみたものの、なかなか定着しない」という方に向けて、プロジェクトの立ち上げから現在の運用まで、具体的なステップと学びを共有します。

きっかけ:なぜナレッジシェアを始めたか

デジタル戦略本部の発足

2024年7月、組織再編によりデジタル戦略本部が発足しました。IT技術に精通したメンバーが同じ本部に集まったことで、ある会話が生まれました。

「せっかく技術系の人が集まってるし、ナレッジシェアとかしたいよね」
「それいいね。ちゃんとやりたいから上司に相談しよう」

この「思いつき」を上司に相談したところ、「プロジェクトにして、本部全体で動かしてみましょうか」という提案をいただきました。

思いつきを業務にする

単なる思いつきをプロジェクトにするために、以下を明文化しました。

  • 目的:ナレッジシェア文化を本部に根付かせる
  • KPI:記事件数、投稿者数、閲覧者数
  • 評価方法:四半期ごとの振り返り

プロジェクト憲章を作成することで、「私が個人でやりたいこと」だったのが、「仕事としてやっていくこと」に昇華させることができました。

プロジェクト憲章
プロジェクト憲章_2

準備:他社ヒヤリングから学んだこと

プロジェクト開始前に、ナレッジシェアの取り組みをしている企業3社にヒヤリングを実施しました。

ヒヤリングから見えてきた共通点は、「自走できる人材が前提」という組織構成でした。

会社 特徴
A社 ドキュメントに残すことを徹底。ナレッジシェア参加には予習必須。業務時間外の技術勉強も自然と行われている
B社 中途採用の社員が多く、各自が自主的に学習している
C社 ナレッジシェアのルールも環境もかなり整備されており、情報のメンテナンスも実施されている。技術習得は各自で行うことが多い

また、ヒヤリングした各社とインテージとの環境の違いを踏まえて、以下のようなアドバイスをいただきました。

  • 新卒が毎年入る環境では育成が必要:即戦力前提のモデルはそのまま適用できない
  • 学習を活かせる業務が必要:業務と学習の接続がモチベーションにつながる
  • 表彰制度との連携:評価や賞金などのインセンティブ設計も重要

業務設計とフィードバック

これらのフィードバックから、ナレッジシェアだけでなく「業務ドリブンな学習」との両輪が必要だと認識しました。

ナレッジシェアPJ 業務ドリブンな学習
自発的な学習の質を上げる 業務アサインをきっかけとする学習機会を増やす
自分が知って役立ったことを還元できる モダンな技術を直接活用する業務を設計する
自分の成果物として可視化される

実践:「使われる場づくり」の施策

プラットフォーム選定

ドキュメントツールについては、以下のツールを比較した結果、もともと本部内の多くのメンバーがConfluenceを利用していたことが決め手にもなり、Confluenceを採用しました。

ツール 特徴
Confluence シンプルな機能と操作、Wiki向き。本部では多くのメンバーが利用していた
SharePoint 社内ではスタンダードだが、気楽な記事投稿に向かない
Notion 柔軟性高く利用できるが、本部では利用されていない

コンフルのトップページ

コミュニケーションツールとしてはもともと社内で利用されていてたTeamsを採用し、Confluenceの新着記事や人気記事などを定期的に発信しています。

Teamsチャネル

Confluence、Teams共にもともと本部内で馴染みのあるツールを採用することで、なるべく抵抗なく利用してもらえることを意識しました。

各種施策

「使われる場づくり」として、以下の施策を実施しました。

  1. 新着記事・人気記事のTeams共有:週次でランキングを発信
  2. 各部署への声かけ:業務ノウハウや勉強会ログの投稿を打診
  3. 賑やかしページの設置:気軽に投稿できる雰囲気づくり
  4. 部長・GLブログリレー:マネジメント層からの発信でロールモデル提示
  5. ヘビーユーザーへのインタビュー:活用事例の横展開

成果:2024年度の振り返り

定量目標:すべて達成

項目 目標 結果
記事件数 50件以上 672件
記事投稿者 全体で30人以上、各グループで1名以上 57名(全部署全グループから1名以上)
閲覧者数 全体で50人以上、各部1名以上 76名(本部ほぼ全員)

定性目標:文化として根付いた

  • スキルアップ実感、学習機会の増加を実感する声
  • Teamsでの定期発信によるプラットフォーム活性化

アンケート結果
アンケート結果2

取り組み開始から1年経過し、以下のような状態になりました。

  • 毎週誰かが記事を書いている
  • 毎週500〜1,000ほどの閲覧
  • 毎週50件ほどのページ作成

「プラットフォームが使われ続ける状態を維持すること」が文化醸成につながると実感しています。

その後の展開:2025年度の取り組み

運営体制の変化

2024年度から2025年度にかけて、運営体制を大きく変更しました。

項目 2024年度 2025年度
推進メンバー トップダウンで決定 希望者を公募
目標設定 リーダーが1人で設定 ワークショップで主体的に設定
施策 リーダー主導 3チームに分かれて活動

3チームの活動

2025年度は、推進メンバー内での議論の結果、3つの施策チームが発足しました。

チーム 目的 活動内容
匿名投稿 役職・部署の垣根を越えたフラットなコミュニケーション 匿名で投稿できるSNS型のアプリを開発・運営。気軽にナレッジ共有や雑談ができる場と提供
過去記事ピックアップ 必要なときに該当記事を想起できるようにする 定期的に過去のナレッジシェア記事を紹介
コミュニティ活動 業務よりラフで日常的な交流の場づくり 社内コミュニティの立ち上げと運営

単発イベント

通常活動に加え、単発イベントとしてナレッジシェアにある投稿にまつわるクイズ大会も企画中です。
こちらは近々本部全体のイベントで実施する予定です。

反省と学び

うまくいった点

  • 数字を目標にしたこと:閲覧数や投稿数という明確な指標があり、進捗が見えやすかった
  • 上司の巻き込み:部署間の調整を上司が担当し、推進がスムーズだった
  • プラットフォームの選定:シンプルなConfluenceを選んだことで、導入障壁が低かった
  • 手探りでも改善を続けたこと:状況を一つ一つ考えて改善していく姿勢が定着につながった

課題として残っている点

  • リーダーのワンマン傾向:私がワンマンで推進してしまうきらいがあり、推進メンバーの意見を十分に汲み取れなかった。2025年度は各チームごとにリーダーを選出し、チームごとに主体的に活動するスタイルに変更した
  • 部署ごとの温度差:依然として参加度合いにばらつきがある。部署のミッションや業務内容の兼ね合いもあり、なかなか解消していくのが難しいと感じている

まとめ

ポイント

  1. 思いつきを「プロジェクト」に:目的・KPI・評価方法を明文化して業務にする
  2. 他社事例を参考に、自組織に合わせる:そのまま適用ではなく、自社の状況を踏まえてカスタマイズ
  3. 「使われる場」を作る:プラットフォームを用意するだけでなく、継続的な活性化施策が重要
  4. 数字で進捗を可視化:定量目標があると進みやすい
  5. 運営体制を進化させる:トップダウンから始めても、徐々にボトムアップへ移行

最後に

ナレッジシェア文化の定着は一朝一夕にはいきません。しかし、約1年間地道に取り組むことで、「毎週誰かが記事を書いている」状態を作ることができました。

この記事が、同じようにナレッジシェア文化を根付かせたいと考えている方の参考になれば幸いです。小さな一歩から始めて、ぜひ皆さんの組織でも試してみてください!

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