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データモデリングの知見を広めるために輪読会からハンズオン研修まで企画・運営した過程と成果

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本記事の3行サマリ

  • 勉強会トピック選定の戦略:重要×非緊急、かつ組織課題と技術トレンドを紐付けてトピック選定。
  • 知識定着のための仕掛け:輪読会(知識習得)からハンズオン(実践)へ段階的に移行。予習復習会や振り返り会も導入して知識の定着をフォロー。
  • 1年後の成果:社内ナレッジページ投稿数が2記事から15記事へ急増。参加者も実務への活用実感や技術の面白さを体感。

はじめに

こんにちは。株式会社インテージの石渡です。

多くの方が年度初めを迎える4月。新入社員を迎える新しいプロジェクトが始まる異動先で全く新しい業務を始める、などで新たな知識の普及やキャッチアップが必要になる時期ではないでしょうか。

本記事では、私が約1年前に行ったデータモデリングの輪読会とハンズオン研修の企画・運営過程に加え、現在に至るまで少しずつ出てきた成果について紹介します。

どうすれば勉強会や研修の内容を実務へ活かしてもらえるのか」「全員が研修へ参加できるようにするにはどうすればいいか」といった1年前の自分と同じ悩みを抱える方に対し、少しでも参考になれば幸いです。

本記事では、輪読会や研修といった勉強会の企画を進めていく中で工夫した点や開催後の効果について取り上げ、具体的なデータモデリングやdbtの技術的な話は割愛します。

勉強会のトピックを決める:なぜそれが組織にとって必要なのか

重要性が高く、緊急性が低いトピックを選ぶ

勉強会のテーマ選びで最も重要なのは、重要だが緊急ではないものを選ぶことです。

それらは日々の業務に追われる中で後回しにされがちですが、重要だが緊急ではないトピックは、勉強会で取り上げなければ習得の機会が失われてしまいます

そこで、以下のようなタスク管理の定番である重要度×緊急度マトリクスを、勉強会トピック選定の初動に適用しました。


筆者私見を基に作成

組織課題と技術課題を結びつけてトピックを精査する

単なる重要×非緊急での選定に留まらず、組織課題と技術トレンドが交差する点までトピックを磨き上げました。

ここで重要なのが、組織と技術の将来像から逆算した課題を選定することです

今回は以下のようにトピックを洗練させ、社内のデータをより活用可能な形にしたいという組織課題と、Snowflake / dbt といったモダンデータスタックによる技術トレンドに着目し、データモデリングを勉強会テーマに選びました。


筆者私見を基に作成

勉強会をデザインする:どのように知識を活用可能な形に定着させるか

知識の定着と技術の習得を両立させる

本勉強会は、学習の定着率を示す「ラーニングピラミッド」を意識し、以下の構成でデザインしました。

  • 書籍輪読会: 『アジャイルデータモデリング』[1]を分担して要約した内容を共有し、グループディスカッションによって知識を定着。
  • ハンズオン研修: dbtを用いたSnowflake上のデータモデリングハンズオンを通し、知識を活用可能な形で定着。グループメンバーは体験、リーダーはメンバーへ教えることで知識の活用を狙う。

以下のように輪読会とハンズオン研修を続けて開催したことにより、アクティブラーニングの領域であるグループ討論以降へ段階的に移行できるよう設計しました。


参加者募集の際に共有したスケジュール(企画当時はハンズオン研修企画中のため意向のみ共有)

予習復習会を実施する

当日の1時間だけでは理解や議論が不十分になる懸念に対し、予習復習会をセットで導入し、学習脱落者ゼロと議論への全員参加を目標としました。

特にデータベース周りの理論などを中心に共有することで、参加者は内容の理解に必要な前提知識を理解したうえで参加できるようになりました


実際に共有した予習会資料

予習復習会は、書籍の内容理解を深めるだけでなく、実務に必要な周辺知識を補完する絶好の機会となりました。

人の巻き込みとゴールを意識する:どのように推進していくべきか

必要に応じて専門会社の支援を組み合わせる

社内リソースだけで全てを完結させることに固執せず、必要に応じて研修やコンサルティングを提供する専門会社の支援も組み合わせました

これにより、運営側が社内の文脈に合わせた環境構築とフォローアップに集中できることに加え、専門家の知見を掛け合わせることで、研修全体の質と信頼性を一段引き上げることができました。


株式会社風音屋様に講義いただいた際の資料[2]

今回の連携は、自身の上長へ早めにやりたいことを伝え、アドバイスをいただきながら適切な支援先を繋いでいただいたことで実現しました。

ハンズオン研修の各グループリーダーと継続的にやり取りする

各グループにリーダーを立て、進捗確認や各グループで抱えている課題を議論する時間を定期的に作りました。

全体共有事項としてその時の技術トレンドなども紹介することで、単なる進捗共有と相談の場ではなく、よりお互いの技術的知見を深められる場となるよう工夫しました。


実際に共有したアジェンダページ

また、運営を自分一人で抱え込まず、適宜役割を分散させることで組織全体で研修に取り組むという空気感の醸成に繋がりました。

振り返り会を開催して実務への活用をグループ内で考える

研修の最後には各グループでオンラインホワイトボードを使い、YWT(やったこと/わかったこと/つぎにやること)を整理し議論しました。


実際に使ったオンラインホワイトボード(公開用に内容をマスキング)

これにより、研修成果の次への繋げ方を議論することで、実務へのスムーズな移行を実現しました。

得られた効果:勉強会終了から1年経った上での振り返り

ナレッジシェアページにdbtの記事が複数投稿された

先日紹介した林さんの記事にある通り、弊社には個々人が学習した成果を気軽に共有できるナレッジシェアのスペースがあります。

https://zenn.dev/intage_tech/articles/fea23279cadb19

ナレッジシェアページ内では作成されたページにタグが付与できるため、dbtに関するタグで検索してみると、勉強会開始前は2記事しかなかったものが15記事まで飛躍的に増加していました。


ナレッジシェアページ内でdbtのタグ検索を行った結果(公開用に作成者名をマスキング)

内容も基礎的な内容から、機械学習やJinjaライブラリーの利用、イベント参加レポートに至るまで広範なトピックが揃っていることが伺えます。

参加者の声①: dbtを顧客案件に活用し、チャットグループも立ち上げて定期的な情報発信をしているKさん

Kさんは勉強会当時、データサイエンティストとして業務に励む1年目社員でした。

当初はデータモデリングを直近の業務で活用する場面が限られていましたが、興味から勉強会に参加し、dbtの魅力にはまりました

実際の業務で活用し、自動生成されるドキュメントやデータフロー図の精度の高さに驚いたそうです。


Kさんが社内共有した資料の抜粋(公開用に詳細内容をマスキング)

また、勉強会終了後に部内メンバーを巻き込んだチャットグループを立ち上げて、現在でも定期的な情報発信をしています。


Kさん作成のTeamsチャットグループ(公開用に発信者等をマスキング)

研修が終わっても各メンバーが自律的に最新情報を追いかけてアウトプットし続けているのは、勉強会の狙い以上の成果でした。

参加者の声②: dbtを社内案件に活用し、データ基盤の改善を目指すHさん

Hさんはdbtのハンズオン研修から参加した、データエンジニアとして業務に励む中途入社6年目社員でした。

研修に参加し、シンプルな技術習得に限らず、データモデリングの思想を学べたことでデータ基盤の改善策を立案できたとのことです。


Hさん立案のデータ基盤改善案

参加された方が知識・技術を身に着け、自ら主体的に提案して業務改善を図るのは、こちらも狙い以上の成果でした。

おわりに

勉強会の企画・運営は相応の労力が必要な仕事ですが、自分が一番そのトピックに精通し、誰よりも楽しみながら推進していくことが結果として周囲を巻き込む最大の力になったと感じています。

この記事が、新しい一歩を踏み出す皆さんの力になれば嬉しいです。

参考情報

脚注
  1. ローレンス・コル(著), ジム・スタグニット(著), 株式会社風音屋(翻訳/監修), 打出紘基(翻訳), 佐々木江亜(翻訳), 土川稔生(翻訳), 濱田大樹(翻訳), 妹尾拡樹(翻訳), ゆずたそ(翻訳)(2024年12月26日)『アジャイルデータモデリング』講談社 https://amzn.asia/d/07VXKS8O ↩︎

  2. 株式会社風音屋「株式会社インテージ様にて Snowflake と dbt によるデータモデリングの実践研修を行いました」(2025年9月9日) https://kazaneya.com/24170d0c5ac88004b3d7cf5aa2e1dd4c ↩︎

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