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生成AI時代のデータ活用最前線!ML女子部Meetup 2025参加レポート

に公開

はじめまして。インテージの王と申します。

2025年11月14日、Google渋谷オフィスにて開催されたML女子部に参加しました。
今回は、「生成AI × データ分析・活用 Meetup 2025」というテーマで、最前線で活躍されている超豪華な3名のゲストが登壇し、生成AI時代のデータ活用について現場のリアルと未来のヒントを語ってくださいました。
本記事では、各セッションの内容を振り返りながら、特に印象的だった内容をご紹介します。

イベントconnpassページ

https://women-ml.connpass.com/event/366580/

登壇者

  • マスクド・アナライズ氏
  • KT氏(Canva Japan)
  • なかむらさとる氏(株式会社出前館)

「社内のおじさんと一緒に考える生成AI導入推進」 — マスクドアナライズ氏


マスクドアナライズ氏のセッションでは、参加者が写真撮影できる時間が設けられた

最初のセッションでは、立場や経験の違いを越えて、生成AIをどう組織に導入させていくかというテーマから話が始まりました。
ここで言う “おじさん” は否定的なニュアンスではなく、年齢や立場ゆえにテクノロジー導入に慎重になりやすい層を指します。マスクドアナライズ氏自身も、多くの企業支援の中で、「おじさん」に拒否された場合が多かったと語りました。

慎重さの背景として挙げられたのは、次のような点でした。

  • 新技術への不確実性
  • 過去の失敗経験
  • 管理職としての判断リスク
  • 他社事例が見えない不安
  • 情報不足から生まれる警戒感
    いずれも“抵抗”ではなく、責任感や不安から自然に生まれる反応です。

マスクドアナライズ氏はここで、“おじさん” が日頃触れている世界観に寄せた2つの例を紹介しました。

野球を例にしたアプローチ — 落合博満さんを軸に語る

日本企業の40〜60代男性に共通言語として最も届きやすいのは「野球」。

マスクドアナライズ氏がよく使うのは落合博満さんの例です。

  • 選手時代の徹底した準備 → AI活用における基礎スキル
  • 監督としての戦略・采配 → 業務でAIをどう判断に使うか
  • 選手を守るマネジメント → AIは人を守るための仕組みである

この例により、

AIは脅威ではなく“組織を強くする道具”である

というメッセージが、“おじさん” の世界観の中で自然と理解されていきます。

“三国志” を使ったわかりやすい説明

三国志に登場する曹操・劉備・諸葛亮といった人物像は、会社組織の役割に重ね合わせやすく、AIの位置づけを説明する際にも非常に有効です。

  • AI → 諸葛亮のような軍師(賢く助言してくれる存在)
  • 管理職 → 曹操や劉備のような意思決定者
  • AIは主役ではなく “支援役”

このたとえによって、マスクドアナライズ氏が、AIの役割は「人を置き換える存在」ではなく「意思決定を支える存在」 であると理解しやすくなる、と話しました。

マスクドアナライズ氏は繰り返し、“おじさん” が拒否している理由は、不安で、知らないだけなんです。」と強調し、だからこそ、導入側が取り組むべきポイントは、次の3つに集約されます。

  1. 社内の合意形成
    生成AIを導入するには、まず組織として一定の理解と賛同を得ることが前提となります。
  2. 生成AIへの理解
    安全かつ適切に使うための基本知識を社内で共有することが欠かせません。
  3. 不安と懸念を無くす
    安全性の説明やプロセスの透明化、実例の提示によって、不安を和らげることが求められます。

これは、AI導入が、技術の話だけではなく、人の心理に寄り添いながら進めるコミュニケーションが欠かせないというメッセージが強く印象に残るセッションでした。

生成AIで働き方をリデザイン — KT氏

続くセッションでは、Canva JapanのKT氏が「生成AIと働き方のリデザイン」というテーマで語りました。

KT氏がまず強調したのは、データ分析や生成AIの価値は「技術そのもの」ではなく、「それによって何が実現できるか」という点です。

ビジネス現場では、必ずしも高度な分析だけが価値を生むのではなく、軽量な可視化や、資料整理・アイデアのたたき台づくりといった「実務の最初の一歩」を前に進めることが、大きなインパクトを生むことも多いといいます。

情報量が爆発的に増えつづける時代、視覚的に理解できる情報の重要性は年々高まっていますが、魅力的なデザインを誰もが簡単に作れるわけではなく、これまでは専門職に頼るのが一般的でした。
そこでCanvaが目指すのは、

  • 誰でも作れる
  • どんなデバイスでも使える
  • デザインから資料作成まで一気通貫
  • 必要な場面で自然に AI がサポート

という “Visual Toolkit” の世界観です。必要な場面で自然にAIがサポートしてくれる仕組みも統合されており、従来の「デザインツール」という枠を超えて、働き方そのものを支える基盤へと進化しつつあります。

セッションの中では、こうした世界観を体験できるデモも行われました。
まずは、参加者全員がCanva Whiteboardに付箋を投稿し、AIがその場で自動分類するデモも行われ、分類結果がリアルタイムで可視化されました。視点の違う参加者の意見が一瞬で整理されていく過程は、AIを使った協働ワークの可能性を直感的に理解できるもので、教育・ワークショップ・会議運営など幅広いシーンで活用できそうだと感じさせられます。

さらに、KT氏はCanva SheetとAIを組み合わせた活用例も紹介しました。
Canva Whiteboardで集めた付箋情報をそのままデータとして扱い、集計や簡単な可視化までシームレスに進められるため、これまでスプレッドシートやBIツールで別途対応していた作業が、ひとつの環境の中で完結します。
こうした機能が組み合わさることで、Canvaが単なるデザインツールにとどまらず、軽量な分析や企画業務の初動にも使えるプラットフォームへと拡張していることが実感できました。

セッションの締めくくりとして、KT氏が語ったメッセージがとても印象的でした。

これからはイマジネーションの時代です。
想像したものを AIが現実に近づけてくれる時代になります。

実際に話を聞く中で、ツールの使い方を覚えること以上に、何を生み出したいのかという“創造の起点”が、これからの価値の源になるのだと改めて実感させられました。

データ分析エージェントでBigQueryを活用 — なかむらさとる氏

最後のセッションでは、出前館のデータエンジニアリングである中村氏が登壇し、Googleの「ADK(Agent Developer Kit)」を活用したBigQuery連携について詳しく紹介しました。

セッション冒頭では、まずADKを使うとどれだけ自然な操作が可能になるのかが実演されました。ユーザーが自然言語で「2025年10月に最も売れた商品の前年比成長率は?」と質問すると、AIが文脈を理解し、必要なテーブルを判断し、自動でSQLを生成。そのSQLをBigQueryに実行し、得られた結果を再び自然言語で返す──という一連の流れがシームレスに動く様子をデモしました。

しかし中村氏は、華やかな未来像を紹介したあと、現実的な問題を率直に語ります。

技術のイベントでこのような紹介例はよく聞こえますが、
実際にはそのまま動くわけがないんです。

その理由として挙げられたのは、日々データを扱う人なら誰もが共感するポイントでした。

  • テーブル名がバラバラで体系化されていない
  • メタデータやdescriptionが整備されていない
  • 同じような名前のテーブルが大量に存在
  • joinのルールが統一されておらず、AIが判断しづらい

AIは魔法ではなく、整ったデータ基盤があってこそ初めて力を発揮する──中村氏はその点を非常に強調していました。

筆者が特に印象的だったのは、mp3ファイルを使った例です。
ファイル名が正しく記述されている場合は、AIが正確に内容を説明してくれるのに、適切な情報が欠けていると全く違う回答が返ってくる。ほんのわずかな入力差で結果が大きく変わるこのデモは、「メタデータ整備の重要性」を象徴するものでした。

そして最後に中村氏は、AI活用の前提として最も大事な点をこう締めくくりました。

AIを活かしたいなら、まずはデータマネジメントです。
草むしりができていない庭に、どんな花も咲きません。

出前館でも、データ基盤の整備には非常に多くの試行錯誤があるとしながらも、正しい方向で地道に続ければ確実に成果が出る、と自身の経験を踏まえて語っていたのが印象的でした。

パネルディスカッション:キャリア・AI・コミュニティ・ガバナンス


パネルトークの様子

パネルディスカッションでは登壇者方々の視点が交わり、生成AI時代におけるキャリアと組織の未来について、より活発的な議論が展開されました。

特に興味深かったのは「経験と勘」の扱い方についてです。データだけでは匂い、質感といった“現場の文脈”を捉えられないため、人の経験は依然として不可欠だという点です。一方で、過去の経験に縛られることの危険性にも触れ、創造性と柔軟性のバランスが重要だと指摘されました。

また、コミュニティは「第三の居場所」として、技術や知識を超えてキャリアに大きな影響を与えるという話題も盛り上がりました。成長や学びは、同じ悩みを抱える仲間がいることで強く前に進むという実感のこもった声が多く語られました。

最後に「データガバナンスをどこから始めるべきか」という質問に対し、三名の方々がそろって「経営層との合意が最優先」と答えたことも印象的でした。AI導入を本当に動かすには、トップの覚悟と合意形成がなければ、現場だけでは前に進めない、これは多くの企業が直面しているリアルだといえます。

おわりに:生成AI時代を進むためのヒント

セッションの内容を振り返りし、三つのキーワードが繰り返し浮かび上がりました。

  • 経験(現場を理解し、データと結びつける力)
  • 創造性(AIでは代替できない価値)
  • 仲間(コミュニティや組織での支え合い)

生成AIは確かに強力ですが、それをどう活かすかを決めるのは人です。
技術と人、そして組織をつなぐ視点こそが、生成AI時代に求められる姿勢であると気づかされる内容でした。

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