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インフラ経験者が初めて自宅サーバーを買って Proxmox を入れた話

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前回の記事では、「なぜクラウドではなく実機にこだわるのか」という話を書きました。

今回はその続き——実際にサーバーをどうやって選んで、どう動かしたかの話です。


自宅サーバー運用は初めてだった

業務でのインフラ経験はあっても、自分でサーバーを選んで買って自宅に設置するとなると、また話が違った。

「ラックマウント型とタワー型、自宅に置くにはどちらが現実的?」「iLO の設定は自前でやるの?」「RAID は組んでおくべき?」——クラウドや業務環境では誰かが整えてくれていた部分を、全部自分で考える必要がある。調べるほど選択肢が出てきて、最初はどこから手をつければいいか迷いました。

でも、ある時期からそれが逆に楽しくなってきた。「迷うなら買ってみよう」 という気持ちで、実機を手元に置くことにしました。頭で考えるより、実際に触ったほうが早い、という判断です。


HPE ML30 を選んだ理由

タワー型のエントリーサーバーをいくつか比較した結果、HPE ML30 Gen10 に決めました。決め手は3つです。

① 価格が比較的手頃

サーバー専用機としては入門寄りの価格帯で、「とりあえず試してみる」には悪くない選択でした。

② iLO(リモート管理機能)が便利

HPE のサーバーには iLO(Integrated Lights-Out) というリモート管理機能が標準で搭載されています。

これが思いのほか便利でした。ブラウザからサーバーの電源を入れたり、コンソール画面を遠隔で見たりできます。「物理的にサーバーの前に行かなくても操作できる」というのは、自宅サーバー運用でかなり効いてきます。

iLO を知るまでは「サーバー = 毎回画面とキーボードを繋げて操作するもの」と思っていたので、これを知ったときは少し感動しました。

③ 「枠」だけ買って、パーツは eBay で揃えた

実はちょっとしたコスト削減の工夫があって、本体(筐体)だけを購入し、細かいパーツは eBay で別途調達しています。

メモリやストレージは eBay で同型のパーツを探すと、セット購入より安く揃えられることがある。エンタープライズ向けの中古パーツが流通しているのは、こういう用途にはありがたい話です。

ちなみに届いたとき、思ったより大きかった。タワー型とはいえ、机の横に置くには存在感がありすぎる。今はなんとか部屋の隅に収まっています(笑)。


ESXi が使えなくなった問題

サーバーが手元に来たとき、最初から ESXi(VMware のハイパーバイザー) がインストールされていました。VMware は長年、仮想化のデファクトスタンダード的な存在です。

「これをそのまま使えばいいか」と思っていたのですが、そうはいきませんでした。

2023〜2024年にかけて、Broadcom が VMware を買収し、ライセンス体系が大幅に変わりました。 個人や小規模利用向けの無償版 ESXi が配布終了になり、ダウンロードすらできない状況に。

「さすがに個人が趣味で使うには厳しいな」

これは多くのホームラボ運用者が直面した問題で、当時 X や Reddit でもかなり話題になっていました。コンテンツを作るためのインフラとして使うつもりだったので、別の選択肢を真剣に探す必要が出てきました。


Proxmox か、Nutanix か

ハイパーバイザーの代替を探したとき、候補に挙がったのが2つです。

Proxmox VENutanix

Nutanix はエンタープライズ向けのハイパーコンバージドインフラで、機能は豊富です。ただ、調べていくと「独自の癖が強い」「学習コストが高い」という声が多く見られました。それ自体が悪いわけではないのですが、今回の目的は 「受講者に Linux を学んでもらうための環境を作ること」 であって、ハイパーバイザー自体を深掘りしたいわけではない。

Proxmox VE は OSS(オープンソース)のハイパーバイザーで、個人・中小規模での利用者が多い。コミュニティも活発で、ドキュメントや日本語の情報も豊富です。「困ったときに調べやすい」というのは、知識ゼロからスタートする身としてはかなり重要な選択基準でした。

というわけで、Proxmox VE を選びました。


Proxmox のインストール

HPE のサーバーには SPP(Service Pack for ProLiant) という、ドライバや管理ツールをまとめたインストールパックが用意されています。これのおかげで OS のインストールがスムーズで、「よくわからないドライバ問題」が起きにくかった。

Proxmox VE 自体のインストールも、手順通りに進めれば詰まるところはほぼありません。公式のインストーラーが GUI 形式で、ネットワーク設定やストレージの割当を画面に従って入力していくだけです。

インストールが完了して、ブラウザで管理画面(Web UI)を開いたとき——「ちゃんと動いてる」 という感覚がありました。

仮想マシンの一覧が表示されていて、「新規 VM を作成」のボタンがある。自分で設定したサーバーの上に、自分で仮想マシンを作れる状態になっている。

サーバー知識がゼロだった数ヶ月前を思うと、少し信じられない気持ちでした。


最初の仮想マシンを動かした日

Proxmox の管理画面から Ubuntu Server の ISO を読み込んで、仮想マシンを作成しました。インストールが完了して、ターミナルに ubuntu login: と表示されたとき——

「これ、本物のサーバーで動いてる Linux だ」

クラウドで仮想マシンを立てるときと、なんとなく感覚が違う。物理的にそのサーバーがそこにある、という感触があります。「ファンが回っている音がする箱の中で Linux が動いている」という体験は、EC2 のインスタンスを起動するときとは確かに異なるものです。

これが、「実機にこだわろう」と思った理由の正体だったかもしれません。


現在の構成

この ML30 の上に、今は以下のような仮想マシンが動いています。

  • TrueNAS(ストレージ管理 / iSCSI でネットワーク越しにディスクを提供)
  • Guacamole(ブラウザから演習サーバーに接続するための踏み台)
  • 演習用 Linux サーバー(受講者が実際に触る環境)
  • L3 ルーター VM(ネットワーク演習用 / FRRouting)

1台のサーバーの中に複数の仮想マシンが走っていて、それぞれが役割を持って連携している。こういう構成を自分で作れるようになるまで、思っていたより時間はかかりませんでした。

ただ、そこに至るまでにはいろいろとつまずきがあって——それはまた別の回に書きます。


まとめ

  • サーバー知識ゼロでも、調べながら動かせる
  • ML30 は iLO・コスパ・パーツ調達のしやすさで選んだ
  • ESXi は Broadcom の方針変更で個人利用が難しくなった
  • Proxmox は OSS・利用者が多い・情報が豊富で選びやすい
  • 実機で Linux が動いた瞬間の感触は、クラウドとやはり違う

次回: TrueNAS の iSCSI が開通するまで(失敗談あり)


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