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マルチクラウド構成分析 (AWS, Azure, Google Cloud)

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主要パブリッククラウドにおけるマルチクラウド構成に関する詳細分析

はじめに:マルチクラウド需要について

2026 年現在、クラウドネイティブ基盤において「マルチクラウド」という構成は "挑戦的アーキテクチャ" から "標準的アーキテクチャ" へと移行しつつあります。これまでは単一クラウドで完結していたシステム(例えば、Web アプリは AWS、エンタープライズ領域は Azure など)も、今後は各クラウドの得意・特化サービスを選定した上で連携させるといった、高度なアーキテクチャ選定 + 設計能力がクラウドエンジニアのスキルとして必須になりつつあります。

その上で、多くの組織・チームが今後直面するのは 「結局、どの組み合わせが最強なのか?」 という明確な回答が存在しない問いです。

これまでは「AWS 一択」あるいは「Azure で統一」といった業界シェアや組織的ポリシーを基準とする傾向が強かったのも事実ですが、他クラウドの方向性や技術進化を無視することはできず、企業のクラウド戦略は大きく変容していくことになります。今までのマルチクラウド構成の採用が議題に上がるケースとしては、単なる「障害対策 (BCP)」としての分散利用が主でしたが、今後は、AI 活用や各クラウドの強みを活かす適材適所へのシフトが加速していくものと思われます。

本記事では、AWS、Azure、GCP の主要 3 大クラウドにおける 「メイン × サブ」の構成パターン を独自に調査・分析し、業界別の採用比率や具体的なユースケース、そして各構成の「強み・課題」をスコアリングしました。

組織・チームが選ぶべきは、慣例的に「AWS + Azure」の王道か、それとも AI 特化の「AWS + GCP」なのか。今後のマルチクラウド戦略の最適解を本記事で解説していきます。

1. マルチクラウド構成比較分析

1-1. 主要構成パターンと割合

本記事では、独自に調査・分析を行なった、2025 年末時点におけるマルチクラウド構成の採用傾向 をまとめました。2025 年初頭から 1 年を通した変化として、AI 需要および技術進化の拡大に伴い、GCP を含む構成が顕著な増加傾向にあります。

※ 採用割合については、あくまでも参考としての目安です。

メインクラウド サブクラウド 採用割合 (感覚値) 主な業界 主な用途
AWS Azure 多い テック/EC/金融 ストリーミング、拡張性
Azure AWS 多い 政府/医療/小売 ERP連携、BCP対策
AWS GCP 普通 メディア/分析 データ分析、AI/ML
Azure GCP 少なめ 製造/物流/小売 サプライチェーン管理
GCP AWS 少なめ 研究/教育 大規模データ処理
  • トレンド分析
    • AWS (メイン) + GCP の構成は AI/ML 基盤利用として、VertexAI/BigQuery を採用する動きが加速しており、今後も右肩上がりの増加が予想されます。
    • Azure (メイン) + GCP の構成は、製造業での強みに加え、Office 365 のデータを GCP で分析するというニッチかつ強力な需要が、今後、大企業を中心に増えていく傾向にあると予想しています。

1-2. 構成パターンの特徴比較

各パブリッククラウドの組み合わせ構成における、現時点での評価比較です。

構成パターン 強み 課題 Pros Cons
AWS (メイン) + Azure ・グローバル拡張性と安定性
・AD, Office 365 など、エンタープライズツールとの連携

・コスト管理 (FinOps) の複雑化・セキュリティポリシーの差異



・世界中のデータセンターによる低レイテンシー
・両社の強みを組み合わせた柔軟性


・データ転送料金が二重発生
・管理インターフェースの違いによる学習コスト
・複雑なネットワーク設定
Azure (メイン) + AWS ・Microsoft 製品統合
・金融規制対応と BCP 確保




・AWS 独自サービスとの接続・互換性問題
・Egress コスト (データ転送)の高止まり


・Windows/Active Directory との優れた互換性
・ハイブリッドクラウド機能が充実
・エンタープライズ契約による柔軟な請求
・サポートアカウントは有料
・AWS 機能へのアクセスが制限的
・パフォーマンスの遅延報告あり


AWS (メイン) + GCP ・高度化した AI/ML 基盤としての活用 (Vertex AI)
・BigQuery 連携による分析基盤強化


・GCP の地域制限、リージョン間のレイテンシ設計
・Kubernetes 管理 (EKS/GKE) の運用複雑化


・Vertex AI / BigQuery による高度な分析力
・GKE の高い運用性と安定性
・継続利用割引によるコストメリット

・S3 から BigQuery への大量データ転送に伴う高額な Egress コスト (AWS)
・データパイプラインの分断 (AWS Glue/Athena と BigQuery の二重管理)
Azure (メイン) + GCP ・IoT エッジ × AIの融合
・製造業向けデジタルツイン構築の最適解


・相反しがちな組み合わせスキルセットの不足 (MS x Google)
・マネージド統合監視ツール選択肢が限定的
・Azure のスケーラビリティ
・GCP の持続的使用割引
・Microsoft と機械学習の最良の組み合わせ
・複雑な料金体系
・GCP のサポート制限・品質
・Azure の制限的な環境


GCP (メイン) + AWS Kubernetes (GKE) ネイティブである先進性
OSS エコシステムとの高い親和性

・GCP 活用ができるエンジニアの人材不足
・AWS 独自エコシステムへの接続難易度の高さ
・GCP の高度なセキュリティ機能
・AWS の幅広いサービス群


・GCP のエンタープライズサポートの弱さ
・AWS のハイブリッド環境制限・両社のサービス重複による選択困難

1-3. 考察

  • AWS (メイン) + Azure が最多
    • AWS のグローバルスケーラビリティと Azure のエンタープライズ統合の組み合わせが、依然として多くの企業ニーズに対応できる最適解。両プラットフォームとも「落ちない前提での」サービス可用性を保証しているが、コスト高騰により、単なる併用や冗長化ではなく「本当に必要な機能に限定して利用する」といったスリム化が進むと予想。
  • Azure (メイン) + AWS の金融業界シェア突出
    • 規制対応とBCP対策の必須性が背景にあり、金融などの「止められない・安定運用」を前提としたミッションクリティカルなシステムにおいては、引き続き最適な選択肢としてシェアを維持し続けると思われる。特に Microsoft 製品を多用する企業において、Azure コンプライアンス準拠と AWS のディザスタリカバリ能力の相性が抜群。
  • GCP サブ需要増加中:AI/ML 需要の急増
    • 「AWS (メイン) + GCP」の組み合わせが、2025 年の AI/ML 需要急増に伴い拡大している。今後、特に拡大する領域であると予想。
    • 従来のマルチクラウド構成における「メイン + サブx1」ではなく「基盤: AWS、認証: Azure、AI/ML 分析: GCP」というトリプルクラウドの構成もエンタープライズ領域で増加傾向にある。

2. 2026 年以降のマルチクラウド運用課題と将来展望

現在のクラウド市場におけるマルチクラウド戦略については、Azure をメインとし、AWS を BCP 対策として活用する構成などが、主要な選択肢の一つとして定着しています。

2-1. 現状分析

2-1-1. 主要企業の採用事例

三井住友銀行の事例が代表的で、「主要なシステムを AWS と Azure にまたがって運用し、災害時の業務継続性を確保している」ことが確認でき、これは金融機関という高い可用性が求められる業界での実践例として注目に値します。

2-1-2. 技術的背景

Azure は「可用性ゾーン (AZ)」により単一クラウド内でも高い可用性(最大 99.99% の SLA、ただし複数のマルチ AZ 構成で分散配置した場合に限る)を実現できますが、より高度な BCP 対策としては、「AWS のリージョンで障害が発生した際に、Azure や GCP にフェイルオーバーすることでダウンタイムを最小限に抑える」アプローチが採用されています。

2-1-3. 市場トレンド

Gartner がかつて予測した「企業の約 80% が 2025 年までにマルチクラウド戦略を採用する」というシナリオは現実のものとなりつつあります。従来の単一クラウドプロバイダによる独占は終わりを迎え、企業の重要な基盤部分に関してのマルチクラウド戦略は、2026 年以降も主要トレンドであり続けることが明らかになっています。

2-2. 将来展望

2-2-1. 進化するマルチクラウド構成

今後は今までの主要選択肢であった、単純な「Azure (メイン) + AWS」の冗長構成から、より洗練された組み合わせへと進化するものと思われます。

  1. AI 特化型マルチクラウド
    各クラウドの強みを活かした構成が主流になりつつあります。例えば「AWS の高度な機械学習サービスを活用し、Azure で構築した ERP システムと連携する」といった組み合わせが可能になります。
  2. 3 社以上の組み合わせ
    「AWS、Azure、GCP」の主要 3 大パブリッククラウドをすべて組み合わせるケースも増加傾向にあります。各社クラウドの特性(AWS のデータ処理、Azure の Microsoft 製品連携、GCP のAI/ML)を活かした構成が今後は主流になると予測されます。ただし、現実的となるのは主に大企業においてであり、中堅企業以下はオーバーエンジニアリングとなるなど、すべての企業に適したものではないと言う点は要注意です。
  3. クラウド間連携の強化
    従来のオンプレミスで言うところの「Oracle と Microsoft の提携」のように、クラウド間の連携が深まっています。例えば「Oracle Cloud <-> Azure」間を専用線 (Oracle Interconnect for Azure) で接続することで、Egress コスト (データ転送量) に関して、Oracle Cloud からの Egress は無料など、マルチクラウド運用の観点からの導入障壁は低くなっています(※ 当該例の Egress コストは、Azure 側の ExpressRoute 構成に依存します)

2-2-2. 新たなトレンド

2026 年に向けては、以下の要素がマルチクラウド戦略の中心になると予測されます。

  1. クラウドレプリケーション技術の進化
    「AWS の Aurora Global Database や Azure SQL Database Auto-Failover Groups」のような技術も発展し、リアルタイムデータ同期と高い耐障害性が提供されています。「マルチクラウド対応の分散データベース」を活用することで、より高度な BCP 対策が可能になります。
  2. AI とクラウドの融合
    「生成 AI とクラウドレプリケーションの融合」が主流になり、データの自動化、効率化、高度な分析を AI に一任させる運用簡略化が進みます。
  3. マルチクラウド管理プラットフォームの台頭
    複数クラウドの管理複雑性を解消するため、「クラウド管理プラットフォーム」の導入が増加し、一元管理が容易になります。今までは各クラウドのコンソールから操作していたものが効率化できるようになります。
  4. コスト最適化と FinOps
    クラウドコストの高騰を背景に、「FinOps」と呼ばれるコスト管理手法が今まで以上に普及し、マルチクラウド環境でのコスト可視化と最適化が「クラウドエンジニアの業務として」重要になっていくものと思われます。

2-2-3. まとめ

現在、主流である「Azure (メイン) + AWS」または「AWS (メイン) + Azure」といった構成は、引き続き戦略としては有効です。しかし、2026 年以降におけるクラウド戦略については、単純な冗長性確保だけではなく、各パブリッククラウドの強みを最大限に活かした、AI・業務領域(所謂 DX)の連携、より高度な 「システム全般における戦略的マルチクラウド活用」 が主流になっていくものと思われます。

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