drizzle のスキーマ定義からドキュメントを自動生成するツール drizzle-docs-generator
drizzle は TypeScript でスキーマ定義が記述できることや軽量であることから注目されている ORM です。
v1.0 がβリリースされており、正式公開も近そうです。
drizzle のスキーマ定義から Markdown 形式のドキュメント及び DBML 形式のテーブル定義を生成する CLI ツールを開発したので紹介します。
課題感:スキーマ定義とドキュメントのズレによる問題
drizzle などの ORM でスキーマ定義を管理していると、次のような経験をよくするのではないでしょうか。
- スキーマ変更したのに、ドキュメント更新し忘れた
- JSDoc に書いたコメントを、Notion や Confluence などの wiki にも書き直している
- ドキュメントではなく、スキーマ定義のコードを読まないとカラム定義の詳細がわからない
スキーマ定義とドキュメントを二重管理することで、こういった事象は多々起こりえます。
drizzle には公式のドキュメント生成機能がありません。
また、drizzle-kit の DDL 生成も comment 句に非対応です。
結果、DDL からドキュメントを作成しても、スキーマ定義ファイルを確認する羽目になります。
drizzle-docs-generator の紹介
drizzle-docs-generator は drizzle のスキーマ定義からカラムやテーブルに関する説明を含めたドキュメントを自動生成でき、上述のような問題を解決できます。
CI/CD パイプラインに組み込むことで、スキーマ変更時に自動的にドキュメントを更新し、スキーマ定義とドキュメントのズレを根本的に解消できます。
npm からインストールできます。
$ npm install -D drizzle-docs-generator
# pnpm の場合
$ pnpm add -D drizzle-docs-generator
# global install の場合
$ npm install -g drizzle-docs-generator
このツールでは、前述の通り、Markdown 形式のドキュメント または DBML (Database Markup Language) 形式のテーブル定義を生成できます。
それぞれの機能について紹介します。
Markdown 形式のドキュメント生成
次のようにコマンドを実行することで Markdown 形式のドキュメントを生成できます。
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema.ts -d mysql -f markdown -o ./docs
schema.ts を対象にコマンドを実行した場合、次のようなディレクトリが生成されます。
コマンドで指定したパスにドキュメント用のディレクトリを作成し、README.md にテーブル一覧および ER 図が記載されます。
ER 図は mermaid 形式で記載されるため、GitHub などで閲覧可能です。
また、同一ディレクトリ上にテーブルごとのドキュメントである <tablename>.md が生成されます。
このドキュメントにはカラム一覧、制約、インデックス、drizzle で設定した relation に基づく他テーブルとの関係が記されます。
schema.ts のように JSDoc をスキーマ定義を書くことで、JSDoc に記載したコメントをドキュメントに記載する仕組みとなっています。
/** User accounts table storing basic user information */
export const users = mysqlTable(
"users",
{
/** Auto-generated unique identifier */
id: serial("id").primaryKey(),
/** User's display name */
name: varchar("name", { length: 100 }).notNull(),
/** Email address (must be unique) */
email: varchar("email", { length: 255 }).unique().notNull(),
/** Whether the user account is active */
active: boolean("active").default(true),
/** Timestamp when the user was created */
createdAt: timestamp("created_at").defaultNow(),
},
(table) => [index("users_email_idx").on(table.email)],
);
MySQL, PostgreSQL, SQLite 形式のスキーマ定義に対応しており、-d オプションで利用している DB のスキーマ定義を指定できます。
# mysql
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema.ts -d mysql -f markdown -o ./docs
# postgresql
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema.ts -d postgresql -f markdown -o ./docs
# sqlite
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema.ts -d sqlite -f markdown -o ./docs
単一ディレクトリに複数ファイルでスキーマ定義をまとめている場合、スキーマ定義があるディレクトリを指定することで利用できます。
# src/db/schema 配下にスキーマ定義をまとめている場合
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema/ -d mysql -f markdown -o ./docs
単一ファイルにドキュメントをまとめたい場合、 --single-file + -o <filepath> を利用します。
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema.ts -d mysql -f markdown --single-file -o doc.md
非常にテーブル定義が多い場合に ER 図はノイズになり得るため、--no-er-diagram オプションを使って ER 図を Markdown 出力から除外できます。
DBML 形式のテーブル定義
DBML はテーブル定義を記述するための DSL です。
dbdiagram.io や dbdocs.io を使うことで、DBML 形式のファイルから ER 図やテーブル定義を閲覧しやすい形で確認できます。
次のようにコマンドを実行することで DBML 形式のテーブル定義を生成できます。
$ drizzle-docs generate ./src/db/schema.ts -d mysql -f dbml -o schema.dbml
schema.ts を対象にコマンドを実行した場合、次のようなファイルが生成されます。
この DBML を dbdiagram.io にインポートすると、ER 図とテーブル定義を視覚的に確認できます。

Markdown 形式と同じく MySQL, PostgreSQL, SQLite のスキーマ定義 及び 複数ファイルによるスキーマ定義に対応しています。
v1 対応について
drizzle は v1.0 がβリリースされています。
v1.0 では relation 定義の方法が v0 から変更されています。
drizzle-docs-generator ではどちらの relation 定義にも対応しています。
そのため、どちらのバージョンを利用されていてもご利用いただけます。
GitHub リポジトリ上にはそれぞれの DB(MySQL, PostgreSQL, SQLite)に対応する v0 系・v1 系のスキーマ定義および生成されたドキュメントの例を掲載しています。
実装について
次のようにスキーマファイルから情報を抽出しています。
- TypeScript Compiler API を利用して、スキーマファイルを AST に変換
- drizzle のテーブル定義に利用される
mysqlTable()などの関数呼び出しを検出 - 上記の関数呼び出しの第一引数からテーブル名を、第二引数のオブジェクトからカラム名やカラムの設定に関するメソッドチェーンを抽出
- テーブル定義の関数呼び出し及びその引数の JSDoc をそれぞれテーブル及びカラムのドキュメントとする
- relations 関数内の
one(),many()呼び出しからテーブル間の関係を抽出
その後、これらの情報を整形して Markdown ファイル または DBML ファイルを生成しています。
終わりに
drizzle のスキーマ定義からドキュメントを生成できる drizzle-docs-generator を紹介しました。
drizzle を利用されていて、スキーマ定義とドキュメントの同期にお困りの方はぜひご利用ください!
star や PR、Issue などもよければお願いします。
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