ChatGPTに出会った日、私は一人でなくなった
前回、VBAでの試行錯誤の話をしました。今回はその続き——AIと出会ってから、何が変わったかの話です。
翻訳ツールに、限界を感じていた
VBAで翻訳マクロを作り、DeepLの無料APIを使っていた。
精度に不満があった。業務文書の専門用語や文脈で、どうしても物足りない。有料プランへの移行も検討していた。
コードはこんな具合でした。ループへの自信がなく、コピペ専用・データ抽出専用の関数を大量に作るしかなかった。今思えば、やってはいけない方法だったかもしれない。でも当時の私には、それが精一杯の工夫でした。

ハードウェア部門で、ソフトに詳しい人間がいなかった。チームで私だけがやるしかない。その孤独感も、じわじわと効いていました。
そんな時期に、ChatGPTが登場した。試しに使った翻訳が見事なもので、ネイティブの同僚に確認しても違和感のない結果だった。そして、APIもあると知った。
「DeepLの代わりに使えるか?」——その疑問を、ChatGPTに投げてみたんです。
「すると、コードが返ってきた」
正直、そこまで期待していませんでした。
でも、実際のコードがそのまま返ってきた。
衝撃でした。
ただ、APIの購入方法も導入方法も全然わからなかった。だから全部聞きました。
準備が整って、「まさかね」と思いながら実装した。
最初はエラーだった。エラー内容をそのまま返したら、ChatGPTがデバッグしてくれた。
そして、動いた。
細々と一人でコードを書き、エラーと戦ってきた。そんな日々がふと頭をよぎりました。
「あ、もう自分でコードを書かなくていいんだ。」
そんな、ほっとした感触。肩にそっと手を添えられたような、安心感が生まれました。
その日、同僚に声を大にして言いました。
「これで世界が変わる。」
1ヶ月かかっていた実装が、3日になった
ChatGPTを使い始めてすぐに気づいたのは、実装スピードの変化でした。
以前は1ヶ月かかっていたものが、3日ほどで終わるようになった。
最も大きかったのは、ループ処理の変化でした。
「こういう処理を書いてほしい」と伝えると、ちゃんとループで書いてくる。
冗長だったコードが、すっきり締まった。適切なコメントも入っている。
これは単なる効率化ではなかった。ずっと一人で手探りしてきた自分に、初めて「相棒」ができた瞬間だった。
AIと二人三脚で、コードを書いた
AIと組んでから、自分の役割が変わりました。
以前は「似た事例を検索して、自分のケースにアレンジする」という作業が大変だった。
AIと組んでからは、「自分のやりたいことを伝えるだけ」で終わる。
「伝えるだけ」といっても、当時はまだ細分化して順番通りに言わないといけなかった。それでも、以前よりははるかにマシだった。
自分もコードを見ながら「もしかしてここかな?」「こういう可能性ない?」と、わからないなりに協力していた。
当時は本当に、二人三脚だった。
いちばん覚えているのは、AIがずっと同じ箇所のデバッグに固執して、全然進まないときのこと。
しびれを切らして、「そこじゃなくて、こっちの可能性ない?」と伝えた。
これが正解だった、なんてこともあった。
(今のAIの精度なら、ほぼ完全に指示者でいられると思いますが。)
それでもVBAに限界を感じた理由
AI×VBAで2年ほど経った頃、「やれることはやりきった」という感覚が出てきました。
一方で、AIそのものの進化が目覚ましくなっていた。自分専用のAIアシスタントを設定できる機能(カスタムGPT・Gems)を作って業務を効率化するようにもなった。
でも、AIには苦手なことがありました。
「既存のデータをそのまま転記する」作業です。
たとえばデータベースから特定のデータを指定の箇所にコピーするだけの処理。これをAIにやらせると、どうしても改変されてしまう。
「改変するな」とプロンプトで縛っても、どうしても改変してしまう。AIにとって、忠実に転記することは本質的に苦手なのだと気づいた。
ここで気づいたことがあります。
定型作業は通常のコード、生成・まとめ・判断はAI。この使い分けが重要だ。
そして——VBAでこの使い分けを実現するのは、私には非常に困難でした。
同僚の一言が、すべてを変えた
そんな頃、同僚から一言。
「GeminiのCanvasでAIにHTML書かせたら、動いたよ」
試してみたら、本当に動いた。
ブラウザさえあればどのPCでも動く。
環境依存のバグが起きにくい。
UIの自由度が段違い。
定型処理もAI処理も、同じアプリの中でうまく使い分けができる。
「なんでこんなことに気づかなかったんだ。」
HTMLが書けることは知っていた。
ただ、「HTMLを書けばその場で画面に反映される」のは本当に知らなかった。その実態を目の当たりにしたとき、はっとした。
乗り換えない理由がなかった。
あの日から——私は、一人でコードを書いていない。
次回は、初めてWebアプリを作った日の話をします。
シリーズ予告
| 回 | テーマ |
|---|---|
| 第1回 | 元ソニーの半導体エンジニアが〜 |
| 第2回 | ← 今回の記事 |
| 第3回 | Webアプリを初めて作った日 |
| 第4回 | AIコーディングツールの進化 |
| 第5回 | ソフト未経験でもAIで戦える――私が気づいた「強み」の使い方 |
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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