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ソフト未経験が2ヶ月でAI業務ツール14個を稼働させた話【連載まとめ】

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1. この記事が生まれた、少し変わった経緯

この連載を書こうと言ったのは、実はAIだった。

ツールを一緒に作っている最中に「これまでのプロセスを、記録に残してみませんか」と提案された。最初は「え、わたしが?」と思った。記事を書くなんて考えたこともなかった。でも書き始めてみて、過去の自分を順番に振り返ったとき、あることに気づいた。

「コードを書くこと」から最も遠ざかった時、一番高度なシステムを作れるようになっていた。

これが、5本書いて初めて言語化できた、この2年間の一番の逆説だ。

本記事は、全5話の連載「元ソニーの半導体エンジニアが、ソフト未経験からAI業務ツールを作り、13個稼働させるまで」のまとめだ。この1記事で連載の全体像と、各話で得られるものがわかる。 連載を途中から読み始めようとしている人のロードマップとして使ってほしい。


2. 結果から先に見せる:今動いている14のツール

まずは結果から。連載を書き始めた時点では13個だったツールが、執筆中にさらに1つ増え、現在は14個が現場で動いている。

翻訳系(5本):翻訳ツール・検証結果翻訳・列指定翻訳・シート翻訳・Word翻訳
検品系(2本):検品用マニュアル翻訳・検品リスト作成
マニュアル系(2本):原稿作成(AIチェック)・動画から原稿作成
その他(5本):修理レポート・検証項目作成・単発プロンプト・依頼書読取・議事録🆕

多くは日々の現場の不便さや、何気ない雑談から生まれている。

どうやってここまで来たか。5話に分けて書いた。


3. 全記録:手段の進化と、私の役割の変遷

5本の記事を書き終えた今だから言える話として、先に整理しておく。

使う手段が変わるたびに、自分の「現場での立ち位置」が変わっていった:

  • Excelコピペ時代:ただの「作業者」
  • VBA × ChatGPT時代:慣れないコードをつなぎ合わせる存在
  • Webアプリ(Canvas)時代:わからないことは全部AIに聞き、判断だけを下す存在
  • Antigravity登場後:自律AIと対話しながらシステム全体を考える「設計者」

ただし、正直に言うと——これは5本書き終えた今、後から気づいた整理だ。 当時の自分はこんなにきれいに変化を意識していなかった。各記事の中でも「設計者になった」とは書いていない。ただ目の前の「面倒くさい作業」を消すことだけに執着して、使える道具が変わったら過去のやり方を全部捨てて乗り換えてきた。それだけだ。

各記事を読むと、もっと混乱していて、もっとリアルな過程が出てくる。


4. 全5話:それぞれで得られるもの

第1話|全記録:コピペ地獄から始まった

新製品検証の手作業コピペという「地獄」から、いかにして抜け出す一歩を踏み出したか。VBAマクロでの格闘から、最新の自律型AIに辿り着くまでの全体像を描く導入編。すべては「この作業、もっと楽にならないの?」という現場の強烈な欲求から始まった。

✍️ 書いてみて気づいたのは、「最初の一歩はいつも、合理的な判断じゃなくて、限界からの逃走だった」ということ。


第2話|ChatGPTに出会った日、私は一人でなくなった

1ヶ月かかっていたVBAの実装が、ChatGPTという「相棒」を得たことで3日で完了した体験。単なるスピード向上だけでなく、「チームに自分一人でやるしかない」という孤独が終わった瞬間の話。VBAの限界(定型転記はAIが苦手、という気づき)と「同僚の一言」でそれまでのVBAをあっさり捨てる決断も描かれている。

✍️ この話を書いていて一番感情が揺れた。技術の話のつもりが、「一人じゃなくなった」という感覚の話になっていた。


第3話|Webアプリを初めて作った日、私はもう迷わなかった

「Vercel」も「HTML」も知らない状態から、10分でWebアプリを公開した話。この記事の本質は技術よりもスタンスにある。「わからなくていい、全部AIに聞けば進める」 という確信が、このWebアプリ作成の体験で完全に固まった。「知らない」が怖くなくなった瞬間の記録。

✍️ 書きながら、「自分って全然ためらってなかったんだな」と気づいた。ChatGPTとの2年間で、もう失敗を怖がらなくなっていた。


第4話|AIコーディングツールが、次元を超えた日

AIが自律的にコンソールのエラーを読み取り、ブラウザでテストを実行し、自らバグを修正する「Antigravity」に触れたときの全能感。ChatGPTの「差分コピペ」時代→Codexでの「状況説明の不要化」→自律デバッグへ、3段階の変化を語る。ここに至り、自分の役割は「設計」と「動作確認」だけになった。

✍️ 「インストールして、虜になった」という章タイトルにした通り、書いていてもワクワクが再発した回だった。


第5話|ソフト未経験でも、AIで戦える。私が気づいた強みの正体

なぜソフト未経験の自分にこれができたのか? 答えは「現場の最も痛いところを知っていること」「古い道具への未練がなく即座に乗り換えるフットワーク」「曖昧な課題を分解し、AIに伝わる言葉にする力」——この3つ。AI時代に真に武器になるのは、技術力より「何を解決したいかを知り、言葉にできる現場の人間」だという、連載の結論。

✍️ 「強みってコードじゃなかった」と書いていて気づいた。半導体の仕事が、こんなところで活きるとは思っていなかった。


5. おわりに

正直、ゲーム感覚でやっている。子どもの頃、従兄弟とぶっ通しで時間を忘れて12時間スーファミをやっていたときと、まったく同じ感覚だ。

やりたいことはまだ無数にある。ツール同士をもっと連携させたいし、他のチームの課題も解決したい。

もしあなたが、日々のExcel作業でただ「Ctrl+C」と「Ctrl+V」を繰り返しながら「この作業、いつ終わるんだろう」と思っているなら——
技術力がなくても、AIという最強の相棒さえいれば、必ず景色は変えられる。

ぜひ、第1話の「コピペ地獄」 から読んでみてほしい。ここが、あなたの現場を変える小さなきっかけになれば嬉しい。

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