実は皆さんPMです。自治体職員の仕事を“プロジェクトマネジメント”として言語化するツールを開発した話
🎯 この記事の対象読者
- 日々の定型業務に追われ、「もっと楽にならないか…」と感じているすべての自治体職員の方
- 「DX」という言葉は聞くけれど、何から手をつけていいか分からないと感じている方
- 自分の仕事を「ただの事務」だと思っていて、スキルとしてどう言語化していいか分からない方
- とりあえず、自分の仕事がカッコよく変換されるのを見て、なんか元気を出したい方
💡 この記事を読むと得られること
- 「自治体職員の仕事=PM(プロジェクトマネジメント)」という視点で、自分の業務を棚卸し・言語化する具体的な方法
- 今回自作したツール「Gov PM Translator」を使って、ゲーム感覚で自分の仕事を振り返る体験
- 明日からすぐに実践できる、「自分の仕事のすごさ」を見える化する小さな一歩
- 「自分の仕事ってこんな価値があったんだ!」という、DX推進への小さな自信
🚀 はじめに:なぜこのTipsを共有したいか
「役所の仕事って、地味な事務作業だよね」
もしあなたがそう思っているなら、それは大きな誤解です。むしろ、「世界標準のプロジェクトマネジメントを、息をするように回している」 と言った方が正しいかもしれません。
私はこれまで、自治体・周辺領域を含めてトータル20年弱ほど、基礎自治体・県・国・そして現在もいろんな場所で仕事をしてきました。
一番衝撃を受けたのは、とある組織で大規模なシステム構築プロジェクトに関わったときのことです。何億円も動くプロジェクトで、システムをつくり、データを移行し、全体を管理する。一見華やかに見える仕事ですが、そこでやっていることは、「人と話してやることを決め、予算を確保し、スケジュールを引き、突発的なトラブルに対応しながら実行までぶん回す」 という動きそのものでした。
ふと気づいたんです。
「これ、友人が保険年金課の係員だった時にやってた『保険料通知の発送』とまったく同じ構造じゃないか?」 と。
何をやるか決めて(仕様策定)、関係部署や業者と調整し(ステークホルダー管理)、絶対に遅れないようスケジュールを引き(工程管理)、誤字脱字がないか血眼でチェックし(品質管理)、住民からの問い合わせ対応まで見る(サポート体制構築)。
自治体職員のみなさんが「ただの事務」だと思っているその業務の裏側には、実は凄まじいレベルのPMスキルが詰まっています。でも、当の本人たちがそれに気づいていない。「自分はITやデジタルに詳しくないから」と自信を持てずにいる。
このギャップを埋めたい。
そう思って、皆さんの「いつもの事務」を入力すると、一瞬で「PMスキル」に超翻訳してくれるWebアプリGov PM Translator(GitHub)を作りました。
😫 課題:【自治体職員が自分の仕事の価値に気づけていない】のつらい現実
皆さんの職場に、こんな「あるある」はありませんか?
- 「またこの季節が来た…」:毎年の保険料通知や年度更新業務。やることは複雑・膨大・変更も多い。なのに、「去年の通りにやればいい」とスキルとしての価値が認識されない。
- 「調整、調整、また調整」:庁内の関係課、印刷業者、封入業者、システムベンダー…。四方八方と調整して、トラブルを未然に防いでいるのに、それはいつもの「事務」で当たり前に時間が流れていく。
- 「DX? 私には無理です」:AIやシステムの話が出ると、「私は現場の事務屋だから」と、つい一歩引いてしまう。
特に悔しいのが、「本人が自分のヤバさ(凄さ)に全く気づいていない」 ことです。
とある自治体の職員Aさんの話です。彼女は、2万枚の発送文書をわずか2日で庁内で印刷しきり、複雑な封入パターンをミスなく組み、発送段取りを完璧に整えていました。
また、全国のいろんな自治体では、コロナ禍の業務で、方針が二転三転する中、コールセンターを立ち上げ、現場のオペレーションを死守した職員さんたちもいました。
これ、民間企業なら「腕利きのプロジェクトマネージャー」として評価されるレベルです。でも、彼らは口を揃えてこう言います。
「いやいや、ただの事務ですから」
この自己認識の謙虚さも、DXを進める上でのネックになっている気がしたので今回の記事を書いてみました。
✨ 提案:【Gov PM Translator】で、あなたの仕事を「翻訳」しよう
「自分の仕事をPMとして棚卸ししましょう」と言われても、いきなり専門用語を使うのは難しいですよね。
そこで、入力するだけで勝手に変換してくれるツールを開発しました。
🛠️ Gov PM Translator (自治体PM変換機)
ブラウザだけで動くWebアプリです。スマホからでもPCからでも使えます。
👉 アプリはこちらから使えます
https://hosoyayusaku.github.io/gov-pm-translator/

🛡️ 庁内のPCでも安心の「セキュリティ設計」
「役所のPCで勝手なサイトに業務内容を入れていいの?」と心配になる方もいると思います。安心してください。
-
完全クライアントサイド動作:
このツールの「スタンダードモード」は、あなたのブラウザの中(JavaScript)だけで動いています。入力した文字が外部のサーバーに送信されることは一切ありません。 -
履歴に残らない:
ブラウザを閉じれば、入力内容はすべて消えます。
📜 何ができるの?
いつもの「地味な業務メモ」を入力すると、以下のように「PM経歴書」に変換されます。
例:「事業者さんに電話した」「印刷にミスがないかチェックした」と入力すると…
⬇️ 変換!
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🤝 ステークホルダーマネジメント
- 多様な関係者との利害調整および合意形成のリード
-
✅ 品質管理 (QA/QC)
- 成果物の品質基準策定および厳格な検証プロセスの遂行
このように、「あ、私のやってる電話対応って『ステークホルダーマネジメント』だったんだ!」 と気づくことができます。
💻 具体的な手順をやってみよう!
それでは、実際にツールを使って、あなたの仕事を「PMスキル」に変換してみましょう。所要時間は3分です。
① ツールにアクセスする
まずは Gov PM Translator を開いて、「スタート」ボタンを押します。
② 業務を「ありのまま」入力する
入力画面になったら、直近でやった作業を箇条書きで入力していってください。カッコつける必要はありません。むしろ泥臭い言葉のほうが面白くなります。
- 「クレーム対応で謝り倒した」
- 「課長への説明資料を作った」
- 「エクセルで集計した」
- 「封入作業を手伝った」
入力したら、エンターキーかチェックボタンを押してリストに追加していきます。
③ 「PMスキルに変換」ボタンをON!
リストができたら、画面下の「✨ PMスキルに変換」ボタンを押してください。
一瞬で、あなたの入力したタスクが、PMBOK(有名なプロジェクトマネジメントの知識体系)に基づいたカッコいい用語に変換されます。

④ 結果を画像で保存
表示された「自治体PM経歴書」カードは、画像としてダウンロードできます。
スマホに保存してもよし、印刷してデスクに貼っておくのもよしです。雑談のネタに使ってもらえたら嬉しいです。
🤖 さらに高度な「AIモード」も搭載(おすすめ)
もし、あなたが個人のGoogle Gemini APIキーを持っている場合(あるいはDX担当者でAPIに理解がある場合)、「AIモード」を試すことができます。
- スタンダードモード: キーワード辞書によるパターン変換(登録不要・完全オフライン)
- AIモード: Googleの生成AI (Gemini 2.5 Flash-Lite) が、文脈を読み取って翻訳
AIモードなら、「〇〇課と△△課の板挟みになって調整した」といった複雑な愚痴(?)も、「Stakeholder Management 利害関係者の調整・管理」のように、立派なスキルに変換してくれます。
少しマニアックですが、AIモードの後ろ側での電文のやり取りも少し見えるようにして、AIの面白さを少し見えるようにしてみました。

(※AIモードの場合はGoogleのAPIサーバーへテキストが送信されます。データの扱いはGemini API 利用規約に準拠します)
🔭 今後の展望と野望
皆さんが自分の仕事の価値を認識して捉え直すと、未来は少しづつ変わります。
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DXの「発注者」として強くなる
「自分たちの業務プロセスのここがボトルネックだ」と分かっているので、ビジネスパートナーである事業者さんと「ここをツールでこういった楽をしたい」と具体で的確な会話を自信をもってできるようになります。 -
テクノロジーの「後乗せ」ができる
「PMスキル(段取り力)」という土台があって初めて、DXやAIという「ブースター/パワードスーツ」が効果を発揮します。皆さんはすでにガチな土台を持っています。あとはツールを乗せるだけです。 -
自信と誇りを持てる
人手不足や高齢化・複雑化が進む中、社会インフラを支えているのは、間違いなく現場の皆さんです。「事務屋さん」ではなく「社会インフラのPM」として、胸を張って仕事を語れるようになります。
🔚 おわりに:小さな一歩が、大きな変化を生むと信じて
皆さんが毎年当たり前にこなしているその業務は、実は驚異的なバランス&調整で成り立っている、高度なプロジェクトです。
まずはこのツールを使って、そのすごさに、自分自身で気づいてあげてください。
「なんだ、私けっこう凄いことやってるじゃん」
そう思えた瞬間から、あなたの自治体DXはもう始まっています。
この記事を読まれた皆さんが、少し自信をもってDXに向かうきっかけになれば何よりも嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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