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業務の「AI向き・不向き」を瞬時に仕分け!業務分析ツール「bp-separator」を開発した話

に公開
2025/12/06

🎯 この記事の対象読者

  • 「AIで業務改善」と言われても、具体的にどこから手をつけていいか悩んでいる自治体職員の方
  • 現場の業務を分析して楽になってもらいたいDX推進担当者
  • React と Gemini API を組み合わせた、実用的なアプリ開発に興味があるエンジニア
  • 「AIは魔法の杖ではない」という現実的な視点で、地に足ついた地道な道を歩く方

💡 この記事を読むと得られること

  • 業務プロセスを「AIが得意なこと」と「人間がすべきこと」に切り分ける具体的なイメージ
  • ユーザーの思考を止めないUI(Excelライク)と、AIの文脈理解を両立させるプロンプトエンジニアリングの知見
  • サーバーレス(GitHub Pages)かつセキュア(BYOK(Bring Your Own API Key)方式)にAIツールを運用するアーキテクチャの参考例

🚀 はじめに:なぜこの記事を書いたか

「AIを使えば、仕事がなくなる?」
「AI導入で、劇的に人が減らせる?」

そんな極端な議論を耳にすることがありますが、正直なところ、AIは魔法の杖ではありません。

特に日本の自治体や企業の現場では、労働法制(解雇規制)の観点からも、また慢性的な人手不足という現状からも、「人を減らす」ことより「今いるメンバーで、現場を少しでも良くすること」こそが求められていると思います。

「なんでもかんでもAI」と期待するのではなく、「ここはAI、ここは人間」と適切に役割分担(仕分け)をする。 そんな頭の体操ができる「おもちゃ」のようなツールがあれば、DXの最初の一歩が踏み出しやすくなるのではないか?

そんな思いから、遊び心を込めて 「Business Process Separator (bp-separator)」 というツールを作ってみました。


😫 課題:「AI活用」の掛け声と、現場の混乱

「業務効率化だ!AIを使え!」と号令がかかっても、現場では次のような混乱が起きがちです。

混沌でよくある流れ図

「そもそも、この業務はAIに向いているのか?」
この判断がつかないままツール導入に走ると、結構な確率で失敗して疲れるだけで終わってしまいます(PoCあるある現象)。なんでかって言うと、既に存在している仕組みやシステムの方が優秀な場合も多々あるからです。


✨ 解決策:業務仕分けツール「bp-separator」

そこで今回開発したのは、業務の流れを入力するだけで、Geminiさんが「AIへの向き不向き」を3段階で診断してくれるツールです。

項目 内容
ツール名 bp-separator (Business Process Separator)
概要 ユーザーがGUIで業務フローを入力し、「RUN ANALYSIS」ボタンを押すと、Geminiが業務概要と各タスクのAI適合度を分析・表示・レポート化するツール。
利用シーン 業務棚卸しワークショップ、BPR(業務改革)の事前分析、頭の体操
GitHubリポジトリ https://github.com/HosoyaYusaku/bp-separator
デモサイト https://hosoyayusaku.github.io/bp-separator/

🛠️ 技術スタックと選定理由

今回は「試しやすい」「保守性が高い」ことを重視し、以下のスタックを選定しました。

技術 役割 選定理由
TypeScript (React + Vite) フロントエンド 高速な動作とコンポーネント指向による保守性の高さを重視。サクサク動くUIを実現するため。
Google Gemini API 推論・要約 無料枠(Flash/Pro)でも非常に高性能。複雑な業務文脈の理解と、JSON形式への構造化出力に優れているため採用。
GitHub Pages デプロイ サーバーを持たず、無料で公開可能。ユーザーが自分のAPIキーを入力する「BYOK (Bring Your Own Key)」方式を採用し、セキュリティと低運用コストを両立。
Tailwind CSS UI/UX 画面表示と、BPRで必須となる「紙での出力」用レイアウト(print:修飾子)を単一コードで管理するため。

📜 コードのハイライト

このツールの心臓部は、Geminiに「冷徹な業務改善コンサルタント」として振る舞ってもらうためのシステムプロンプトです。ここを工夫することで、単なるToDoリストが「分析レポート」に変わります。

// ユーザーの入力負荷を下げつつ、AIに文脈を理解させるためのシステムプロンプト
const SYSTEM_PROMPT = `
あなたは冷徹かつ論理的なBPRコンサルタントです。
ユーザーが入力した「業務概要」と「タスクリスト」を分析し、各タスクを以下の3つに分類してください。

【分類基準】
1. AI_OPTIMAL: ルールベース、計算、データ処理、下書き作成などAIが高速に完遂できるもの。
2. HYBRID: 人間の判断が必要だが、AIによる支援(分析、要約、翻訳、検知)が有効なもの。
3. HUMAN_ESSENTIAL: 最終責任、物理的な作業、高度な対人折衝、感情的ケアが必要なもの。

【重要:文脈補完】
タスクが単語のみ(例:「印刷」「配布」)であっても、「業務概要」の文脈から具体的な作業内容を推測して分析してください。
reasonフィールドには、分類理由と文脈の解釈(50文字以内)を記述してください。
prescriptionフィールドには、具体的な改善アクション(RPA導入、Gemini活用など)を記述してください。
`;

💻 使い方

GeminiのAPIキーさえあれば試せるようにしています。

① 環境構築

  1. Node.jsの準備: v22.17.0 推奨です。
  2. Gemini APIキーの取得: Google AI Studioからキーを取得してください。
  3. リポジトリのクローン:
    git clone https://github.com/HosoyaYusaku/bp-separator.git
    cd bp-separator
    
  4. インストール:
    npm install
    

② ツールの実行

ローカルサーバーを立ち上げます。

npm run dev

ブラウザで表示されたURL(通常は http://localhost:5173)にアクセスし、右上の設定アイコンからGemini APIキーを入力すれば準備完了です。

③ 出力結果(Before / After)

  • Before: 「メール確認」「資料作成」「印刷」といった単調なタスクリスト
  • After:
    • メール確認 → 🤖 HYBRID: 重要度判定をAIに任せ、判断は人間が実施。
    • 資料作成 → ⚡ AI_OPTIMAL: 過去データを元にAIが下書きを作成可能。
    • 印刷 → ✋ HUMAN_ESSENTIAL: 物理的な紙媒体の扱いは人間(またはプリンタ)の領域。

このように、タスクごとに色分けされ、「なぜそうなのか」の理由と改善案が表示されます。


🧗 開発でつまづいた点と解決策

「AI賢いから、適当に投げても分かってくれるでしょ?」と思っていましたが、現実は甘くありませんでした。AIは魔法の杖ではありません!と冒頭に書いた言葉は、身をもって学習したため自信をもって書くことができました(汗)

  • 課題:入力体験(UX)と分析精度のトレードオフ
    • ユーザーがExcelのように思考を止めずにサクサク入力できるUIを目指した結果、タスクが「印刷」「確認」といった単語レベルで分断されてしまいました。
    • その結果、AIが「何の資料の印刷か?」「誰への確認か?」という文脈(コンテキスト)を理解できず、分析結果がトンチンカンなものになってしまいました。
  • 解決策:コンテキスト注入型のプロンプト設計
    • 画面上部に「業務概要(コンテキスト)」を入力する場所を追加しました。
    • システムプロンプト内で、「タスクリストが単語のみであっても、この業務概要の文脈を使って補完せよ」と明示的に指示。
    • これにより、「手軽な入力体験」を維持したまま、「練磨された行革職人のような深い洞察」を引き出すことに成功しました。

🔭 今後の展望と野望

このツールはあくまで「おもちゃ」であり、きっかけ作りです。しかし、こうした小さなツールを通じて、「AIという社会を便利にしてくれるアイテム」を適切に・賢く使う文化を行政に根付かせたいと考えています。

目指すのは、行政界隈から「単調で面倒な仕事」を一掃すること。

それによって、職員の皆さんが
「働いていて楽しいなぁ」
「公務ってやりがいがあるなぁ!!」
と感じられる時間を、1分でも1秒でも増やしたい。

難しくて大変な道のりですが、AI活用の実装を通じて、そんな未来へ一歩一歩進めていきたいと思っています。


🔚 おわりに:小さな一歩が、大きな変化を生むと信じて

「bp-separator」は、誰でも自由に使える「みんなの道具」として、プログラムの中身まで公開しています。 難しいことはさておき、まずはブラウザからサイトを開いて、職場の同僚と「この面倒な仕事、AIはどう判定するかな?」「意外とAI任せでよさそう!」なんて言いながら、ゲーム感覚で遊んでみてください。
APIキーを初めて取って使ってみた、そんなきっかけになればとても嬉しいです。
小さな実験の積み重ねが、業務改善の起点になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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