Claude Max 5xの使用上限、実はProの8.33倍
日常の開発ではClaude Pro($20/月)を使っていました。5時間制限か週間制限のどちらかに常に引っかかる状態が続き、Max 5x($100/月)に切り替えたところ、使用量を確認するたびにまだかなり余裕がある。「5倍どころじゃなくない?」というのが正直な感想でした。
調べてみたら、やはり「5x」は商品名にすぎませんでした。実際の週間クレジットはProの8.33倍。名前以上のお得感には、ちゃんと理由があったわけです。
浮動小数点の丸め忘れ
この事実を明らかにしたのは、海外エンジニアのshellac氏です。2026年1月に公開されたブログ記事は、Hacker Newsでも話題になりました。
きっかけは、Claude Web版のレスポンスに含まれていた1つの数値です。
0.16327272727272726
使用率を表すフィールドなら、普通は「16%」や「0.16」と丸めて返します。ところがこの値はIEEE-754倍精度の生データそのもの。Anthropicの内部で分数として計算された結果が、丸められずにそのまま返されていました。
shellac氏はStern-Brocot Treeという数学的手法で、この浮動小数点数を元の分数に逆算しました。ざっくり言えば「すべての分数を効率よく探索する二分探索」で、上の値は69ステップで 449/2750 に収束します。こうしたサンプルを複数集めて最小公倍数を取れば、分母=各プランの本当のクレジット上限がわかるという仕組みです。
たった2つの数値を丸め忘れただけで、料金体系の裏側が丸見えになってしまいました。
各プランの実際の数値
Claudeは内部で「クレジット」という単位で使用量を管理しています。ユーザーには直接見えない値ですが、逆算で判明した各プランの上限はこうなっていました。
5時間上限
| プラン | credits上限 | 対Pro比 |
|---|---|---|
| Pro $20 | 550,000 | 1x(基準) |
| Max 5x $100 | 3,300,000 | 6x |
| Max 20x $200 | 11,000,000 | 20x |
週間上限
| プラン | credits上限 | 対Pro比 |
|---|---|---|
| Pro $20 | 5,000,000 | 1x(基準) |
| Max 5x $100 | 41,667,000 | 8.33x |
| Max 20x $200 | 83,330,000 | 16.67x |
5時間枠では6倍、週間枠では8.33倍。Max 5xの実態は名前の「5倍」を大きく超えています。Anthropicの計算ミスではなく、短期バースト(5時間)と週間で別々の倍率が設定されているためです。
一方、Max 20xの週間クレジットは5xのちょうど2倍。価格も2倍なので、コスパは5xと変わりません。20xへの切り替えは、週4,000万クレジットを常に使い切る状況になってからでも遅くないでしょう。
クレジット消費の計算式(モデル別レート)
クレジットの消費量はモデルによって異なります。
credits = ceil(入力トークン × input_rate + 出力トークン × output_rate)
| モデル | input_rate | output_rate | 対Haiku比 |
|---|---|---|---|
| Haiku | 0.133 | 0.667 | 1x |
| Sonnet | 0.400 | 2.000 | 3x |
| Opus | 0.667 | 3.333 | 5x |
OpusはHaikuの5倍消費します。同じクレジット上限でも、どのモデルを使うかで体感の「持ち」は大きく変わります。
キャッシュ無料という隠れた優遇
数値の差だけでは、体感の「持ちの良さ」を説明しきれません。もう一つの要因がキャッシュの扱いです。
| サブスク(Pro/Max) | API直接利用 | |
|---|---|---|
| キャッシュ読み取り | 無料 | 入力の10%課金 |
Claude Codeは1回のタスクで何度もファイルを読み、ツールを呼び出します。2回目以降の読み込みはほぼキャッシュヒットですが、サブスクではこの分がまるごと無料。API直接利用では入力トークンの10%が課金されるため、ここだけで大きな差が出ます。
Opus全力使用を想定した場合のAPI換算コストです。
| プラン | 月額 | API等価コスト | 倍率 |
|---|---|---|---|
| Pro | $20 | $163 | 8.1x |
| Max 5x | $100 | $1,354 | 13.5x |
| Max 20x | $200 | $2,708 | 13.5x |
Max 5xの$100は、APIで同じことをやれば$1,354かかる計算です。キャッシュ込みの温かいコンテキストでは、36.7倍のコスパになるケースもあるとshellac氏は試算しています。
どのプランを選ぶか
Pro($20) — Sonnet中心の利用で、Claude Codeは週に数回程度。ただしOpusを頻繁に使うと5時間枠はすぐ尽きます。
Max 5x($100) — Claude Codeを日常的に使うならここが最適解です。「5倍」は商品名で、実質8倍以上の余裕があります。API換算のコスパも13.5倍と、全プラン中もっとも効率が高い。
Max 20x($200) — 5xと単価は同じ。上限に当たるようになってから上げれば十分です。
浮動小数点を2つ丸め忘れたことで見えたのは、Anthropicの価格設計の意図でした。Proはあえて窮屈にし、Max 5xには名前以上の余裕を持たせる。$100への乗り換えを自然に促す構造です。それを知った上で選ぶなら、Max 5xが現状もっとも割の良いプランであることは間違いありません。
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